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知れ渡る魔王復活!終

12月31日 午後19時31分更新

1月1日 午後22時7分更新

1月2日 午後20時47分更新





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リヴァイアサンの海玉

・母なる海の結晶。海玉には水に適応する魔力

が封じられている。持ち主のMPを継続消費中

は水中での呼吸が可能となり影響も完全に遮断する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おーー!」


「これがあれば悩む必要は一切なかろう?」


すっごいお宝だった。


「…お礼を幾ら言っても言い足りないよ」


わざわざ足を運び、望みを叶えてくれたんだ。感謝しかない。


「一々、遠慮し気にするでない。妾も彼奴の元気な顔が見れて満足じゃ」


「お返ししなきゃな」


「お返し?それじゃ永遠の愛を誓って貰おうかの」


むふ〜っと鼻息を荒くして答える。


「欲しい物とかないか?」


「む、無視するでない!」


「だってそれとこれは話が別じゃん…」


純粋な感謝を混同するのは駄目だと思う。


ーー相変わらず悠は義理堅いわね。お礼なんて要らないのよ?


隣で聴いてたオルガが喋った。


ーー()()に遠慮は要らない…そうですよねアジ・ダハーカ様?


「……」


「うむ!悠は我々の身内じゃ」


…世辞じゃなく本心で言ってくれてると鈍感だって揶揄される俺にも分かる。


「妻に甘えぬ夫は居らんわ」


「妻?それは我の話ですかな」


フカナヅチが不敵な笑みを浮かべた。


「…藪から棒に妄想を口にしおって」


「お言葉ですがここは引けませぬ」


「むぐぐっ…フカナヅチめ……次の稽古で地獄を見せてやるから覚悟するんじゃぞ」


ーー…公私混同は余り感心しません。


「五月蝿い!お主だってクラーケンと外聞を気にせず喧嘩しとったじゃろーが」


ーーそ、それはその……。


オルドは目を泳がせ口籠もった。


ーーあらあら…藪を突っついて蛇が出たわ。


ーーお父さんケンカしたの?


ーー勝ったの!?負けたの?相手は?教えて〜。


「私も気になります」



オルドは困った様子で狼狽していた。微笑ましい光景を眺め小声で呟く。


「…絆で結ばれた家族…」


「ん?何ぞ言ったか」


「なんでもないよ」


唐突にいけすかない狭間の女神を思い浮かべた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『また逢いましょう。愛しき玩具よ』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……あの時、喜劇や悲劇がどうとか…結末がなんちゃらって言ってたっけ?


次、会ったらはっきり言ってやるさ。


俺が歩み綴った物語は最高の結末を必ず迎えるってな!


その後、海玉のお礼も兼ねとびっきりのご馳走を用意し豪勢な宴を皆で楽しんだ。



〜夜21時50分 龍神の水郷 野営地〜



「結局、遺跡を調べに行かないのか?」


「ああ」


荷造りをしつつ、ウェールズの問いに答える。


オルド一家は巣に帰り、アジ・ダハーカとフカナヅチは神樹の根本で爆睡中。


…原因は酒を飲んだからに違いない。アルコールに免疫がなかったのか泥酔してしまったのだ。まぁ…お土産に買った度数が滅法、高いワインだったし食性が根本的に龍と人では違う所為もあるのだろう。


「今度、ゆっくり調査するよ」


水中活動の制限は解決したが赤い結晶石を破壊する方法も探さないとな。

焦る必要もないしじっくり模索しよう。


「また遊びに来るし」


その時は二人の告白に返事をしなきゃいけない。


……ある意味じゃ一番の難題だな。


「次は何日後だ?」


「えーっと…近い内に」


「具体的に言え」


「…用事を片付けて落ち着いた頃かな」


「……」


そう言うと不満そうにウェールズは眉間に皺を寄せる。


「速攻で用事を片付けろ」


「ははは!まだ帰ってもない内に気が早すぎだろ」


着替えの服を畳み、腰袋に仕舞いつつ答えた。


「…ちょっとついて来い」


「?」


ウェールズが外へ出て行く。

彼女の変な態度に疑問を感じつつ、後を追った。



〜数分後 龍神の水郷 龍の滝〜



龍峰から流れる水が無数の滝となり、水郷へ流れる


霊脈を含み、仄かに輝く美瀑が夜の闇に映え素晴らしい風景を演出していた。


正に大自然のパワースポット!


先を歩いていたウェールズの足が止まり振り返る。


彼女は何も喋らず、黙って俺を見ていた。


「綺麗だな」


沈黙が嫌で先に口を開く。


「私が見つけたお気に入りの場所だ」


ウェールズは徐に近付き、俺をジーッと見上げる。


「えーと…」


無表情でどんな意図があるかさっぱり読めない。


「……」


「うぉ!?…わっわっわっ…」


両手で強く胸を押されバランスを崩しそのまま、尻餅を突いた。


水に浸かったお陰で尻がずぶ濡れである。


「い、いきなり何を……ふぁ!?」


ウェールズが押し倒すように覆い被さる。水飛沫が辺りに飛んだ。


一瞬だけ輝き消える雫はまるで小さな流れ星だ。


「黒永悠」


「は、はい」


「……あの日からずっと私の中で炎が消えない」


「へ?」


「お前と一緒に過ごせば過ごすほど…炎は強く燃え胸を焦がし……訳が分からない感覚に陥る」


「……」


「アジ・ダハーカ様やフカナヅチと戯れるお前の姿を見てると……胸が苦しくなりもどかしい思いに駆られた」


水で濡れ、赤い髪が頰に張り付く。真剣に喋るウェールズは不思議な魅力を醸し出していた。


「他の雌に靡くお前は嫌いだ」


「靡くって…」


思わず顔を背け視線を逸らす。


「私を見ろ」


「…ぐぇ!」


無理矢理、向き直させられる。

く、首の骨がポキって鳴ったぞ…?


「……悠を支配したい」


熱を帯びた瞳に否が応でも捉われ、唾を飲み込む。


「この腹の傷こそ消えることない絆、か」


指で優しく傷跡をなぞられ、背筋がゾクっとした。


「ウェールズ…?」


彼女の熱い体温が触れた指先から伝わってくる。


「…もしルイーナがこの光景を見たらさぞ驚くだろうな」


自分の頰が紅潮していくのが分かった。



「お前が好きだ」



飾り気のない真っ直ぐな告白が心に響く。


「…その…返事は」


喉が乾いて言葉が上手く出てこない。


「…また今度でいい」


「……」


「二人と同じく()()に待つ」


俺は内心、安堵してしまった。

急な告白に頭の整理が追い付かず混乱しているからだ。


「…分かったよ」


「……」


「えっとだな…一度、退いてくれっ…ひゃうん!?」


突如、ウェールズが俺の首に顔を埋め甘噛みし舐める。

何とも言えない皮膚を這う舌触りの感覚に目を白黒させた。


……ウ、ウ、ウェールズさぁんっ!?


「龍の求愛は急所である逆鱗を晒し、舐めさせ噛ませる……信頼し愛する者に命を委ねる覚悟と意味を示す行為だ」


こ、この体勢じゃ俺に拒否権なくない?


「そして、アジ・ダハーカ様に聞いたが人は愛する者に…」


「!?」


距離が零になり、赤い髪が俺の顔を覆い隠す。僅か数秒程度の極短い時間が数分に思えた。


「こうするのだろう?」


彼女の隻眼に映る俺は間抜け面で唖然としていた。


「…ふふふ」


滅多に笑わないウェールズが頰を染め、美しく微笑む。


「え…え……えぇぇ…?」


「…さて、話は以上だ」


起き上がり、背を向けて告げる。


「先に戻るぞ」


「ちょ……お、おい」


満足気な雰囲気を漂わせ、軽快な足取りでさっさっとウェールズは行ってしまった。


一人残された俺は何度も瞬きした後、体を起こす。


ぎゅうっと頰を抓ってみたが普通に痛い。


「夢じゃ……ないか」


突然の告白とキスに頭は真っ白……思い出すのは柔らかく温かい官能的な唇の感触だけだった。


「……やっぱり、人生で最初で最後のモテ期だわ」


呆けてても仕方ないし俺も戻ろう。


ずぶ濡れになったしもう一度着替えなきゃ……あぁ…だ、駄目だ!?


冷静になろうと頑張ってるけど無理だっつーーの!


……三人の告白にどう答えりゃいいんだ?


確かなのは、焦って返事をするのだけは絶対に避けなくちゃいけない。


誠実さと真心を持って答えなきゃ駄目だ。


だから今は落ち着け……一先ず、家に帰り仕事を全部片付けた後に考えよう……うん!そうしよう!!


逃避してる訳じゃないと自分に何度も頭の中で言い聞かせ野営地に戻った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 私はこれらの3つのような率直な告白が好きです。ゆうに愛情を告白するという点で、他の女の子も同じように願っています。
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