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知れ渡る魔王復活!②

12月22日 午前11時52分更新


「なんてゆーか禁断の愛ってやつ?だって魔物と人じゃん」


愉快そうな口調でリヴァイアサンは喋る。


「ふっ…愛は種を超えるのじゃ。悠は妾の夫になる運命よ」


自信満々に答えるアジ・ダハーカにフカナヅチは背後から冷ややかな視線を注ぐ。


まだ返事も貰ってないのに気が早い。


「あははは!おもしろ〜い…一目見たいし今度、連れてきてよ?」


「うむ」


「ぐふふふ〜楽しみぃ…さーてと…」


無邪気な笑顔が消え、真剣な表情に変わる。


ーーか、海水が…!


ーー…海中に漂う魔素を完全に従えている…鴻大な魔力だわ。


水流が渦巻き、球状に変わる。

可視化した魔力が激しく火花を散らした。


「母なる海の雫よ。我が命に応じ玉と成せ」


リヴァイアサンの魔力とアクアの元素が凝縮された小さな玉が浮かぶ。玉の中の波打つ水は惹き寄せるような神秘的な美しさを湛えている。


「ほいほいっと…お望みの海玉のかんせーーい」


「礼を言うぞリヴァイアサンよ…ごくんっ」


手渡された海玉をアジ・ダハーカは丸呑みする。


「そんなのいいって〜……昔さぁアルマ様にめっちゃ怒られてる僕をアーちゃんは庇ってくれたでしょ?」


「懐かしいのぉ」


「うにうに〜!その恩返しだよ」


「こ、これ!近いっちゅーに……全く」


アジ・ダハーカを抱き締め頰を擦り寄せる。リヴァイアサンは穏やかで懐っこい性格のようだ。


ーー……風貌とは裏腹に優しい御方ですね?


ーーあぁ…しかし、あの方を侮るなよ。


ーー?


ーーリヴァイアサン様が本気で怒るとかなり怖いわ。


ーー一俺は一度怒らせたが…もう二度と御免だ。あれは言葉では言い表せない恐怖だった。


フカナヅチは息を飲む。


歴戦の飛竜…竜王と認められしオルドが怖がるならば相当なレベルだと想像は容易い。


「あ、そうじゃ。大事なことを伝え忘れとったわ」


「大事?」


「ふっふっふっ……驚いて腰を抜かすなよ?」


「聞かせて聞かせて!」


「さっき言った契約者の悠じゃが」


「うん」


「彼奴はアルマ様の封印を解き一緒に暮らしとる」


「うんうん!封印を解いて一緒に…………ん?」


リヴァイアサンの笑顔と動きが硬直した。


「魔女の娘の封印を悠が神樹の種を植え肩代わりさせてな…緩やかにじゃが力を取り戻しとるそーじゃ」


「……」


「妾も俄かに信じ難いが丸くなって優しくなったと聞いとるし一応、お主にも……リヴァイアサン?」


笑顔のままフリーズしたリヴァイアサンが超高速で震え出した。


「あわわわわわわわ…!世界の…お、終わりだぁ……ぼ、僕の平穏が壊れるぅ!?」


「お、おい」


「き、恐怖の日々が再び…嫌だぁぁぁ!!」


「ちょ…落ち着かんか」


「た、助けてぇアーちゃん!」


海獣の王が涙目を浮かべ酷く狼狽していた。


その光景に背後に控えたオルド・オルガ・フカナヅチは驚愕する。



〜数分後〜



「……もう大丈夫じゃな?」


「う、うん…背中を摩ってくれてありがと」


アジ・ダハーカが精一杯、宥めリヴァイアサンは平常心を取り戻す。


「気持ちは分からんでもないが怯え過ぎじゃ」


「だ、だって……復活したんでしょ!?『曠野の魔王』…え、『地平線の支配者(エンペラードル)』……『最強の証(オメガ・シール)』…数々の称号を欲しいがままにした()()アルマ様がっ!」


「や、やめい!…妾まで気が滅入ってくるではないか」


「うぅ」


「それにじゃ!よーく思い出せ…アルマ様は確かに地獄の悪魔も裸足で逃げ出すよーな理不尽な方じゃったが……慕う者には面倒見が良く慈悲深かったじゃろ?」


「……まぁ…うん」


歯切れの悪い返事だった。


「目を瞑り昔を思い出せば、瞼の裏に楽しかった日々が……」


二人は目を綴じ過去の記憶を呼び覚ます。


「「………」」


数十秒後、アジ・ダハーカが叫んだ。


「ぬわぁーーーー!!お、思い返すと悪夢しか甦らんわ!」


「でしょ!?」



〜数分後〜



ーー…もう大丈夫ですか?


「う、うむ」


「あは、ははは…ごめん」


ーーアジ・ダハーカ様とリヴァイアサン様がそうまで怯えるなんて……本当に恐ろしい御方なのね。


「妾達は全盛期を知っとるからの…」


「特にべーちゃんは聞いたら卒倒するだろうね〜」


ーーべーちゃんとは『砂漠の覇獣』のベヘモス…様ですか?


「そだよ〜」


オルドの質問にリヴァイアサンが頷く。


ーー私と夫が二人掛かりで成す術なく敗北したベヘモス様が……。


「前に話したじゃろ?最強じゃって……多分、フェンリルだけは尻尾を振って大喜びじゃ」


「アルマ様が大好きだったから」


「九尾とティターンは……間違いなく彼奴らも泣くな」


「恐怖でね!」


フカナヅチの頭の中ではアルマは恐ろしい怪物の姿で想像されていた。


暫くアルマの話題で盛り上がる。


〜20分後〜


「ん…そろそろ帰るとしよう」


「え〜もう?」


「魔法が切れると面倒じゃし悠が待っとるからな」


「アーちゃんさぁ…その子にアルマ様は本当に逆らえないの?」


「うむ!妾を守ると強く抱き締め誓ってくれてな…これぞ真の愛とゆーもんじゃ」


頰を赤らめアジ・ダハーカは熱弁した。


「ふぅーん」


「かっかっか」


リヴァイアサンは何や思案してるのか黙っている。


「ではまた遊びに来るぞ」


「いつでもきてよ〜……あ!他の皆にアルマ様が復活したって言ってないよね?どーする?」


「適当に教えればよかろう」


「良ければ代わりに僕が言っとこっか?」


「そうじゃな!お主のスキルは便利じゃし」


「ま、色々と制約もあるけどね〜」


別れの挨拶もそこそこに目的を果たした一行は海神の玉座を後にした。



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