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水没せしルカナンシュメク ②

12月14日 午前8時更新

12月14日 午後12時28分更新



〜午前8時30分 龍神の水郷 ドラグマの神樹〜


朝食後、アジ・ダハーカにルカナンシュメクの件を相談してみた。


「ほほう!そんな秘密の遺跡が沈んでおったか」


「うん」


「面白い話じゃが悠は兇劒のスキルで魔法効果を無効化してしまうからのぉ〜」


「やっぱ無理か…」


項垂れ肩を落とす。


「そう結論を急くでないぞ?水中で息をする方法は他になくもないし」


「おぉ!」


「…しかし、それには()()の協力が必要不可欠か」


協力?彼奴って一体、何処の誰なんだろ。


「ま、他ならぬ愛する其方のためじゃし妾が何とかしよう」


なんて頼もしい幼女……もとい龍峰の主なんだ。


「ふみゅ!?」


感激のあまり抱き締めて頬擦りする。


「ありがとうアジ・ダハーカ!」


「お、大袈裟に喜びおって……えへへ…もっと激しく愛でても構わんぞ」


とても嬉しそうに破顔し甘えた声で囁く。


「よーし……ほら!たかいたか〜〜い」


「わ〜〜〜い!……ってちがーーう!?子供扱いするでないわ」


両脇を抱え持ち上げると頰を膨らませた。


「ははは」


フグのような膨れっ面を見て思わず笑ってしまう。


「可愛くてついな」


「ふむ…可愛いと褒められるなら吝かでもないの」


娘みたい…と付け足すのは止めよう。きっと機嫌を損ねるに違いない。


「ドラグマの神樹の守護者とはいえ、妾も最近はすっかり出不精じゃ……昔馴染みの顔を拝みに行くのも悪くない」


「昔馴染み?」


「ほれ、何度か悠にも話したろ?バルト海の主リヴァイアサンじゃ」


「…リヴァイアサン?」


「『海獣の王』などと巷じゃ恐れられとるが、実際は寂しがり屋じゃぞ」


「へぇ…」


「…実は昔、彼奴はアルマ様のお気に入りの島を()()()であろうことか海に沈めてしまってな」


「し、島を沈める!?」


「うむ……妾が間に入り仲裁したんじゃがあの時のアルマ様が怒った顔はそりゃ恐ろしかったぞ」


手違いで島一つ海に沈めるモンスターの気が弱いって……話の規模が狂ってんだけどぉ!


「そんな訳で妾の頼み事の一つや二つは快諾してくれよう」


「お、おう」


「彼奴にも恐怖の大魔……こほん!アルマ様復活の凶報…じゃなくて朗報を教えてやらねば」


間違いなく恐怖の大魔王と凶報って言いかけたぞ。なんか……うちの家族がごめんなさいって気分だ。


「おーい!!集合じゃ〜〜」


神樹から離れた位置に居た皆をアジ・ダハーカは呼び寄せた。


〜数分後〜


「ーー…とゆう訳で『海神の祠』に行ってくるから留守を頼むぞ」


ーー言うことを聞いていい子にしててね?


ーーはーい!


ーーはやく帰ってきてね〜。


ーークックック…ウェールズもな?


「黙れ」


ーー……ドラグマの神樹と水郷の守護を頼んだぞ。


「ぶっちゃけ妾一人で良いんじゃが」


ーーそれは駄目ですよ。ねぇあなた?


ーー…ああ。


龍の姿に戻ったフカナヅチも頷く。


ーー本来、主が出向くとなれば龍峰の龍が総出でお供するが常…御一人で敵地へ行くなど持っての他です。


「堅苦しいのぉ」


俺とウェールズとオルカとオルタはお留守番だ!


「悪いが頼むよ」


「かっかっか!なぁーに妾に万事、任せよ」


アジ・ダハーカも煌星龍の姿に戻った。…何度見ても龍形態と龍人形態の落差が激しい。


巨大な翼を広げ、瞬く間に天高く飛翔する。


煌めく黒鱗が空に軌跡を描き、フカナヅチとオルドとオルガが後に続く。


消えた結界が再び、水郷の空を覆った。


「…あれが心底、ビビるってどれだけだったんだ」


きっと俺の浅はかな想像も及ばないレベルでアルマは強かったんだろうな。


ーーゆうおじちゃーん!遊ぼう〜?


「ん?おー」


オルタに背中をせっつかれた。


「駄目だ」


ーー…え〜。


「オルドさんよりオルカとオルタを鍛えてくれと言われてる」


「そうなのか?」


「ああ」


ーーやだやだやだ〜!遊びたーい!!


ーーオルタってばワガママすぎ!


「まぁまぁ…後で遊んでやるから」


じたばたと荒げるオルタを撫でつつ宥める。


ーーう〜…わかった…。


「よし。こっちに来い」


俺も暇だし自主練をしよう。ミコトにおんぶに抱っこじゃ駄目だ…大切なのは努力!

最近は連戦連勝だったが初心を忘れるべからず、ってな。


〜2時間後〜


汗が飛び散り、腹筋を伝う。


「ふっ…ふっ…ふん!」


上半身裸で一心不乱に素振りしていた。


数は数えない。大事なのは回数より質だ。一つ一つの動作が繋がり攻撃性能を向上させ、威力を高める。


燼鎚・鎌鼬鼠をもっと上手に扱えるようになりたい。


最近は大獄丸の出番が多かったし、燼鎚・鎌鼬鼠に対応する戦闘技の数が少な過ぎる。


ひとえに俺の実力不足が原因だろう。これじゃ宝の持ち腐れだ。


「…やぁ!」


うーん…前に忿怒荒神流・流星を習得した時の手応えは感じない。


「私の龍玉を使ってるのか?」


「へ?あぁ…うん」


「武器に使うとは面白い」


まじまじとウェールズは燼鎚を観察する。


「そっちの稽古は?」


汗をタオルで拭い、質問する。


「オルタとオルカの体力が底を尽いたので休憩中だ」


見ると地面に腹這いに寝そべっている。


ーーぜ、ぜぇ…ぜぇ…し、しんどい〜!


ーー…ち、ちょっと…尻尾が邪魔!?


アルマに絞られたキューを見てるようで可愛い。


「数ヶ月もすれば飛竜の上位種にも引けを取らんだろう」


「へぇ!それは凄いな」


「オルドさんとオルガさんの血を継いでるからな」


時間の流れが違う水郷の恩恵と潜在能力が合わされば成長速度は桁違いだ。


「…それでお前は何を難しい顔をしている?」


「あ〜実はーー」


フカナヅチに相談した。


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