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貞操を守り抜け!②

11月27日 午前11時50分更新

11月28日 午前8時38分更新



「懇請をしている最中というのにみっともなく叫ぶな」


至極、真面目な顔でフカナヅチに注意された。


「俺めっちゃ当事者じゃん!!」


勝手に話を進めようとしてるのが恐ろしい。


……そもそも生物学的に可能なのか?


フライングメアリー号で討伐したクイーンハーピーの例があるが異種姦は倫理的に問題があると思う。


でも、龍人変異したフカナヅチは亜人にしか見えないし据え膳食わぬは男の恥……げふん、げふん!


想像したら鼻血が出るな…ふぅ…一旦、冷静に…いや冷静になれっかっつーの。


黙っていたアジ・ダハーカが口を開く。


「…ほほう…そうかそうか」


「……」


「う、わ」


「…お、おい…フカナヅチ」


湯が波打ち突如、強風が吹いた。温まった筈が体の芯から震えが止まらない。


「妾に喧嘩を売るとは見上げた度胸ではないか…ん?」


アジ・ダハーカの笑顔が怖い。


優しい声色と裏腹に経路線のような青筋が顔に走り口からは黄金に煌めく不思議な炎が漏れている。


ウェールズが焦った顔でフカナヅチの肩を揺さ振る。


そりゃそーなるわ……俺も素で怖いもん。


「それは違います」


堂々と怯まずフカナヅチは否定する。


「違う?…浮気を許容せよという意味に聴こえた妾の耳が腐っとると申すか」


「…まずアジ・ダハーカが妻って前提がおかし」


「其方は黙っとれ」


口を挟むなと言わんばかりにきつく睨まれた。


……俺の発言権はよく迷子になるので見かけたら誰か最寄りの交番まで案内してあげてぇ!


「主が愚弄されたと思われるのも覚悟の上……それでも飛龍の繁栄を望む気持ちに嘘偽りはありません」


「繁栄というならば何故、悠に拘るのじゃ?他の者も居るであろう」


「…以前ですが龍の卵を拾い、育てると言った此奴の瞳に我の心は囚われたゆえ」


「龍の卵……あぁ!」


キルカの卵のことか?


「ニザヴェッリルから龍峰へ来訪せし飛龍…むむ…お主から報は聞いておったな」


「言葉では上手く表現出来ませぬが悠を想うこの気持ちは…きっと愛なのだと思います」


「む、むぐぐぐ」


「我は人ではなく…龍でもなく…黒永悠という個に惹かれました」


涼やかに照れもせず凛と答えた。


「あ、愛っておい…」


これはつまり…告白…だよな?


…う、うひょろべえあっーー!!ま、ま、ま、マジか〜…!


パニックにパニックが重なってくが、顔が赤くなるのは湯気のせいじゃないことは確かだった。


「しかし、アジ・ダハーカ様が居る以上は寵愛は要りませぬ。せめて子を産み育て…新たな未来の礎へなればこれ以上の幸福はないでしょう」


「む、むぅぅぅ…」


真剣に気持ちを吐露するフカナヅチにアジ・ダハーカは困惑し眉と口を八の字に曲げた。


「…分不を弁えぬ愚かな龍の願いを偉大で尊敬せし龍峰の主に叶えて頂きたく存じ上げます」


頭を垂れ殊勝な物言いに怒り心頭だったが流石に毒気を抜かれたようだ。


「……ゆ、悠!其方はどうなのじゃ?」


狼狽したアジ・ダハーカが肩を掴み揺する。


「麗しい妻がおるのに…ほ、他に妻がおったら浮気じゃないのか?肝心の悠はフカナヅチをどう思っとるのじゃ!?」


「さっき黙ってろって言ってた気が…」


「かーー!男が細かいことを愚痴るでない!!早よ答えよ」


涙目で頰を膨らましたアジ・ダハーカはめちゃくちゃ可愛いな……手の焼ける妹か娘ってゆーか…思わずほっこりする。


「えっと…なんて言えばいいのやら…」


注目され頰を掻き呟く。


アジ・ダハーカもフカナヅチも瞬きせず凝視している。


伝え方を間違えたら今日が俺の命日になりそうだ。


「念のため確認だがフカナヅチは異性として…その俺が好きなのか?」


「ああ」


フカナヅチは淀みなく短く答えた。


「今一度、明確に伝えよう。我はお前を愛してる」


男前過ぎるストレートな告白に頰が紅潮する。


「貴様を想う度に高鳴るこの胸の鼓動が証だ」


「そ、そ、そっか…う、うん…」


喉が乾きフカナヅチを直視できない。


「妾もじゃぞ!!」


隣に居る自分を忘れるなと主張する。


「…アジ・ダハーカは冗談とばかり思ってたがマジ?」


「じ、冗談!?口づけし好意を露にして…寝床で睦み合ったのに……其方の頭は腐れ切ってるのか!」


「睦み合ったって一緒に寝ただけだろ?」


「むきぃぃぃ!好きでもない男と一緒に寝たりせんわこのど阿保!!」


アジ・ダハーカは湯を叩き不満を全身で表現した。


「……ご、ごめんなさい」


あまりの剣幕に押され謝ってしまう。


「う、うわーーーん!!お、乙女の純情を弄びおって…悠は鬼畜じゃ〜!」


「泣くなって…ほら…」


「ぐすっ…じゃあ責任を取って娶れ!生涯を尽くし愛でろ!」


「…悠よ、このままでは主が余りに不憫だ」


静観し見守っていたウェールズが苦言する。


「ああ…分かってる」


一呼吸、間を置きアジ・ダハーカの頭を撫で伝える。


「俺だってアジ・ダハーカは好きさ」


「………」


「ま、誠じゃな!?嘘と言ったら首を捻り落とすぞ?」


この状況で嘘を言えるかっつーの!


「今の俺がいるのはアジ・ダハーカのお陰だ…本当に感謝してる」


「え、えへ…うむうむ…」


何度も頷きご機嫌な表情に様変わりだ。


「フカナヅチも俺をそんな風に想ってくれて嬉しい」


「…む」


「あの日、出会えた奇跡を神さまに感謝したいよ」


「クックック…竜神の導きだな」


さて…ここからが本番だ。


「…無神経を承知でお願いするが俺に考える時間をくれないか」


「考える?どーゆー意味じゃ」


「こうまでストレートな告白を受けた経験もないし……正直に言うと二人に恋愛感情を抱いて見てなかった」


「「……」」


「…仲間や友人としてじゃなく、女の子として好きなのかどうか…自分の気持ちが分からないまま、答えるのは不義理だと思うんだ」


本心をありのまま吐露する。


「返事は約束する…龍だから駄目だとか…そんな逃げの答えは言わない」


種族の隔たりを言い訳にするのは失礼極まりない。


真剣な想いを踏み躙るような屑にはなりたくない。


「だから俺に時間をくれ」


水の音と葉が風で擦れる音が鮮明に聴こえる。


秘湯に流れる沈黙が重い。


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― 新着の感想 ―
[一言] どうだろうかねぇ ここまでされればさすがの悠も自分が(男として)狙われてるってわか…らないのかなぁやっぱwww でも逆にこれを冗談とかで済ませちゃうのは、相手に対して非常に不誠実なわけだが …
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