造られた神 ①
11月4日 午後14時20分更新
〜百合紅の月23日〜
舞台は再びパルテノンへ移る。
〜百合紅の月23日 午後14時12分 パルテノン〜
メンデンとサイトとセバスチャンが乗り物酔いで気持ち悪くなり小休止を挟むもスムーズに帰還できた。
都市を警護していたバーモントの部隊と合流し市長へ報告を済ませる。
…驚いたのは応援に来たのがデポルが率いる『巨壁』だった事だ。巨壁は守衛・要人護衛・抗戦に長けた冒険者の集団で適任な人材派遣だろう。
しかもベアトリクスの要請に自ら志願してくれたらしい!
本人へ理由を聞いたら…。
『クロナガニハカリガアルカラナ』
…だってさ!律儀な奴だなって感心したよ。
エドワード・E・ティーチの死亡と一味の壊滅にシーブ市長は泣いて喜んでくれたが俺は複雑だった。
ミッケ司祭には後日、会いに行く事になり宿へ戻る。
…ハードな三日間だったしシャワーを浴びて疲れを癒すとしよ……あっ!大事な話がまだ終わってなかった。
〜午後19時30分 巡礼者の宿 3F 301号室〜
「ざっとこんな感じかな」
アイテム・宝・モンスターの死骸と素材・装備品を紙に書き出し四人へ提示する。
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・モンスター
クイーン・ハーピーの死骸と素材×1
ポイズンスライムの死骸と素材×2
オーガ・変異種の死骸と素材×2
不朽のゴブリンの死骸と素材×15
不朽の人食いトカゲの死骸と素材×2
墓地に巣食う蜘蛛の死骸と素材×10
墓地に巣食う大蜘蛛の死骸と素材×1
キメラの死骸と素材×1
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・採取アイテム
墓地キノコ×1
セメタリーフラワー×1
麻痺草×1
混乱草×1
ブラッドベリー×1
秘峰キノコ×5
秘峰苔×5
秘峰蘭×4
百年無花果×3
・採掘アイテム(鉱石)
髑髏石×1
闇鉱石×1
純黄鉱石×1
剛鉄鉱石×1
秘峰石×10
剛銅鉱石×5
聖鉱石×3
・採掘アイテム(結晶石)
不朽の結晶石×1
シャザム大結晶石×1
・採掘アイテム(宝石)
ボーンサファイアの原石×1
ボーンサンドの原石×1
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・貴重品(装備類)
セクトの杖
アイリスの腕輪
・貴重品(宝物類)
死者の金貨×1000
死者の宝石×45
死者の銀塊×150
死者の金塊×100
敗北者の像×3
精巧な慈愛の女神像×1
精巧な堕落の女神像×1
貴重品(分類不能)
穢れた基盤×1
穢れた人造体液×1
人造神の右眼×1
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「「「……」」」
三人は目を皿にしてリストを凝視した。
「部屋が大変なことになるし全部は出せないが…えーっと…これが大聖堂で拾った宝な」
金貨・宝石・銀塊・金塊を幾つか取り出しテーブルに乗せる。
「すっ、すご!」
「本物の宝だ…これが沢山あるのか?」
「…何ヶ月分の報酬金に該当するんだろう」
大事な話とはダンジョンでゲットしたアイテム類の分配だ。
ギルドに利分条件を盟約した書類を提出してるPTと臨時PTの大きな違いと言える点だろう。後々、皆と揉めたくないのでさっさっと決めてすっきりしたい。
本当はベアトリクス・メンデン・サイト・セバスチャン以外の全員とも話し合いたいくらいだぜ。
「人造神の右眼以外は好きにしてくれ」
ミッケ司祭との約束があるしそれ以外は必要ない。
「マスター…クロナガさんがとんでもない事を言ってます」
メンデンは呆れた様子だった。
「鉄騎隊では隊員に平等に報酬を配る隊律ですが…ふむ」
ベアトリクスは金貨を一枚手に取り親指で弾く。
「今回の功労者は悠です。貴方が決めて下さい」
「いやいや!大失態かました戦犯の間違いだろ」
「自分を責めても過去は覆りませんよ?守護者を倒し失態を差し引いたと思えばいい」
その通りだけどさぁ〜…うーん。
「それに誰も文句は言いません」
「マスターの仰る通りですよ」
「…装備品は?めっちゃ良い物だぞ」
なんてたって神の祝福を受けた杖と腕輪だ。
「好きにして下さい」
ベアトリクスは平然と答えた。
「え、えぇー…無欲すぎないか?」
「くすっ…その言葉はラッピングしてお返ししますわ」
悪戯っぽく彼女が笑うのは珍しく三人も頻りに頷いていた。
俺は唸り頭を悩ませ考える。
〜30分後〜
何枚も紙を無駄にしたが漸く決まった。
「ーーよし!これでいこう」
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・鉄騎隊(分配)
死者の金貨×500
死者の宝石×15
死者の銀塊×30
死者の金塊×20
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・第二騎士団(分配)
死者の金貨×150
死者の銀塊×30
死者の金塊×20
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・巨壁(分配)
死者の金貨×100
死者の銀塊×30
死者の金塊×20
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・パルテノン(寄付)
死者の金貨×150
死者の銀塊×40
死者の金塊×20
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・天馬の蹄(寄付)
死者の宝石×15
死者の銀塊×20
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・騎士団パルテノン支部(寄付)
死者の金貨×50
死者の金塊×20
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「ち、ちょっと待って!」
サイトが六枚の紙を見比べ顔を思いっ切り顰める。
「…クロナガさんの取り分がないぞ」
「うん…どこにも名前が書いてない」
「ほい」
自分の取り分を書いた紙を見せた。
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・黒永悠(分配)
クイーン・ハーピーの死骸と素材×1
ポイズンスライムの死骸と素材×2
オーガ・変異種の死骸と素材×2
不朽のゴブリンの死骸と素材×15
不朽の人食いトカゲの死骸と素材×2
墓地に巣食う蜘蛛の死骸と素材×10
墓地に巣食う大蜘蛛の死骸と素材×1
キメラの死骸と素材×1
墓地キノコ×1
セメタリーフラワー×1
麻痺草×1
混乱草×1
ブラッドベリー×1
秘峰キノコ×5
秘峰苔×5
秘峰蘭×4
百年無花果×3
髑髏石×1
闇鉱石×1
純黄鉱石×1
剛鉄鉱石×1
秘峰石×10
剛銅鉱石×5
聖鉱石×3
不朽の結晶石×1
シャザム大結晶石×1
ボーンサファイアの原石×1
ボーンサンドの原石×1
穢れた基盤×1
穢れた人造体液×1
セクトの杖
アイリスの腕輪
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「いやぁー…こんなに独り占めして申し訳ない」
素材アイテムとモンスターは総取りしちまったな。
「「「いやいやいやいや」」」
あり得ないだろって表情で首を横に振る。
「ビックブリッジにまで渡すのですか?」
ベアトリクスが問う。
「ああ!出張料ってやつさ」
「出張……この際、その点は深く指摘しませんが他は全て寄付?」
「ああ」
宝を拾った時、被害に遭ったパルテノンに寄付しようとは薄っすら考えていたのだ。
「大判振る舞いすぎますって…」
「いいんだよ」
「マスターもクロナガさんにダメだって言って下さい!」
な、なんでメンデンはちょっと怒ってるの?
「…見なさい。言っても無駄だぞって顔をしてるわ」
イグザクトリー!
「自由に決めて良いってベアトリクスが言ってただろ?」
「それにしても限度ってものが…」
「いいからいいから」
「ラフランの聖人もこうまで気前は良くないと思う」
「あー!この話はこれでおしまい!…な?」
長引かせると面倒なので早速、鉄騎隊の分を仕分けしベアトリクスへ渡した。
なんとなーく気持ちが身軽になった気がする。
アイリスの腕輪とセクトの杖はアイヴィーとオルティナのお土産にしよっと。




