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自分の常識は他人の非常識! ③

7月27日 午前9時45分更新





顕になった素顔は()()()()()だった。


マンガで眼鏡を外すと美人ってお決まりのパターンは現実じゃ嘘っぱちと思ってたけど…うわぁ…リアルじゃんか?


「美人でびっくりしました」


「…私がぁ?あはは!あり得ないって」


「えぇ…」


「視力がめっちゃ弱くてね…この特注の眼鏡がないとほとんど見えないんだ」


それは非常に勿体ない。


「ぶっちゃけ女を捨ててる部分もあるし」


「捨てないで」


…宝の持ち腐れとはこのことだな。


「容姿なんてどーだっていいよ…そーいえばお風呂も三日くらい入ってないっけ?」


鼻を鳴らし服を嗅ぐマリーさん。


「ま、マジですか…」


男の俺でも無理だ。


「にひひひ!お世辞でも美人って言われて悪い気はしないけどね」


眼鏡を再び掛け直し笑う。


「俺はお世辞を言いませんよ」


「…黒永君?」


「正直に綺麗だなって思いましたし」


「………」


普通に他の皆と比較しても見劣りしない。


「真顔で言われると調子が狂うなぁ」


照れたのか彼女は少し困った顔だった。


「とりあえずお風呂はちゃんと毎日入って下さいね」


身嗜みは清潔にしないと!


「え〜〜」


「自分の常識は他人の非常識って言葉を知ってます?」


「…黒永君って意外と厳しいね」


渋るマリーさんだった。…自分でも世話焼きでお節介だと思うけど放って置けないのだ。ついつい面倒を見てあげたくなるぜ。


…っつーか大分、時間を食ってしまったな。


この後は家に帰る前にソーフィさんへ挨拶に行こっか?ガンジさんに言われたし皆の元気な顔を拝むのも悪くない。


モンスターハウスを出て広場に戻った。



〜午後16時10分 金翼の若獅子 広場〜



「ユウ殿ぉ〜〜!」


聞き覚えのある声に呼ばれ振り向く。


「…む?」


アルバートだ。


髪が伸びてつるつる頭じゃなくなってる。


「おー」


手を挙げ軽く挨拶した。


「愚生は久々の再会に歓喜で身が震えてますぞ!」


「…震えないで普通にしてくれ」


慕ってくれるのは嬉しいがいつも大袈裟すぎる。


「他の二人は?」


「昇格の手続き中です」


「昇格?」


「…実はAAランク昇格依頼を達成しまして…愚生も此度、第89位のランカーの地位を授けられました」


「おめでとう!凄いじゃないか」


アルバートもイージィもドゥーガルさんも頑張ってたんだな…うんうん…こーゆー近況報告は喜ばしい限りだ。


顔を綻ばせ祝福する。


「…して本題ですが二人とも相談し決めました」


そして跪き俺を見上げた。


「我々をユウ殿の派閥の傘下へ加えて下さるようお願い申し上げる!」


「断る。じゃあな」


即答して踵を返し門に向かって歩き出す。


はい、解散解散っと。


「…お待ちくだされぇぇ!?」


必死の形相で足にしがみつくアルバート。


…こ、怖っ!


「一考もしてくれぬとはあんまりですぅぅ!!」


「……俺の性格は分かってるだろ」


「じ、重々承知の上での決断です」


絶対に承知してないよね?


「いいか?俺はあくまで()()第8位なんだ」


「……」


「徒党を組み派閥を作って他の冒険者を従えるつもりはない……諦めてくれ」


「……今回ばかりは諦められませぬ」


「おいおい」


いつになく頑なじゃないか。


「ガンジ殿のご息女は弟子にしたでしょう!?」


うぐっ…!


「…それは」


「愚生もユウ殿の弟子になるぅ…なるったらなるぅ…!」


子供みたいな駄々を捏ねるアルバートだった。


…大の大人が情けないが無碍に突き離すのも忍びないしどうしようか…?


「ごぷぅ!?」


困っていると走ってきたイージィが勢いそのままアルバートの腹を蹴り飛ばした。


見事なサッカーボールキックだ。


「ったくぅ…公共の場で恥を晒すなしぃ!」


「お、おのれイージィ…リーダーを何だと思って…」


「うっさい」


「おふぅ!」


憤慨し問答無用で蹴飛ばすイージィだった。


「…久しぶりだな」


「ユウっち」


今度は申し訳なさそうに手を合わせ謝る。


「うちのバカが迷惑かけてごめんだしぃ」


「大丈夫だよ」


「…アルバートはちゃんと事情を説明した?」


「も、勿論…愚生なりに…言葉を選んでだな…」


「事情?」


俺は首を傾げイージィに問う。


「しょーもない嘘をつくなっつーの!」


意味が分からないぞ。


「…はぁ…ちょっち時間ある?できればあーしが説明したいんだけど」


「ああ」


溜め息を吐きイージィは喋り出した。


〜10分後〜


イージィの説明を聞き唸る。


「…むぅ」


「そーゆーわけだしぃ」


三人は複数の派閥に勧誘を受けているそうだ。


「…鉄騎隊と蟻の探検家…それに刀衆と鷹の目…人気者だな」


「もち光栄なんだけどさぁ〜」


イージィは困った顔で呟く。


「さっきも言ったけどユウっちの下がいいわけよ」


「……」


「他の十三等位に顔が利くし今、一番勢いがあっから……ぶっちゃけ鷹の目は勧誘が強引で警戒しちゃうってかんじぃ」


「手当たり次第、ギルドメンバーを加入させ規模を広げてるって噂だからな」


…鷹の目はフィンの派閥だったっけ?


「ま、人柄が一番惹かれる理由だけど」


イージィがウィンクして微笑む。


「弱者を助け強きを挫く黄金の精神…類を見ない突出した強さ…貴殿こそ我が矛を献げるに相応しき主です!」


「どう頼もっか?…って考えてた途中でこのバカが先走ったっつーわけ」


少し間を置き二人へ答えた。


「悪いが断らせてくれ」


アルバートが膝を突き項垂れた。


「光栄な申し出だが暫定第8位で無所属の俺が派閥を作りギルドメンバーを従えるのは筋が通らない」


「あはは…やっぱユウっちはそー言うと思ってたわ〜」


イージィは苦笑するもあっけらかんとしている。


「……ぶつぶつ…弟子…愚生の夢…ぶつぶつ…潰えた希望…」


彼女とは正反対に凹んだアルバートは独語を呟く。


…このまま放置するのはあんまりか?断る以上は代案を提示して然るべきかも。


「よければラウラの派閥に加わってみてはどうだ?」


現在、三人しか居ないが自信を持ってお勧めできる。


「…副GMは冒険者ギルド法改革推進派の筆頭だよね」


「何故、『灰獅子』に?」


アルバートも顔を上げ問う。


「俺の親友だし信頼できるから」


俺と違い統率力に長けカリスマ性もある。


「「……」」


「きっと悪いようにしないぞ」


「…『串刺し卿』と『舞獅子』もいるんだっけ?」


「うむ…」


「まぁ他の派閥を選ぶのも自由だし口利きはするよ」


ぶっちゃけ俺以外であれば何だっていい。


二人は顔を見合わせ頷く。


「…愚生はユウ殿がそう望むなら黙って従います」


「おぉ」


「断腸の思い…これは神が与えた試練…いつか…いつの日か弟子に…愚生は諦めませぬぞっ…!」


大袈裟だし目が血走ってて怖いっちゅーに。


「色々とごめんねー?」


「いやいや」


「派閥選びは今後を左右する難題で悩んでたけど……ユウっちの紹介なら心配ないっしょ」


笑う彼女に妙なプレッシャーを感じる。


「そーいえばドゥーガルさんは?」


「『若いのに任せるわい』…ってかんじぃ?一人で先に帰っちゃった」


「なるほど」


「…あ!この間、アニキの店に行ったっしょ?」


「?」


「プリンセスドール」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『プリンセスドールの店長をしてるぅ…ビューティ・ジョーでぇ〜〜す!』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


イージィ・()()()…あぁ!!


「…もしやイージィはビューティさんの妹?」


「そーそー」


面影は……ないけど派手な化粧と服はちょっと似てるか?


「世間って狭いな…」


「アニキってばユウっちを気に入ったみたいだったしぃ」


気に入った理由は聞かないでおこう。


「ビューティ殿は昔、『猛拳』と呼ばれ『金翼の若獅子』で第37位のランカーだった冒険者ですぞ」


…やっぱり強かったみたいだ。


その後、予定を変えアルバートとイージィと一緒にGM執務室へ行く。


ラウラに事情を説明すると三又矛の参入を快諾してくれた。二人はエリザベートとルウラも居たので緊張した様子だったけど……丸投げして申し訳ない気もするが三人の今後を考えればこれが最善だろう。


さて…リリムキッスへ行ってソーフィさんに挨拶を済ませてくるか。



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[良い点] 又話が面白くなりそうな予感 [一言] 樂しみ
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