脱出しよう。〜出逢い〜②
低いパラメーターは仕方ないが鋼の探求心って才能は便利そう。目的地へのマーキングってのはかなり助かる。
この先、使い勝手が良さそうだ。
「暴蝕ってスキルは危険な感じがするな…」
代償に瀕死状態って…いや!今は気にしてる場合じゃない。
「とりあえず出口探すか」
行動方針は…此処から脱出して人に会う。
これだ!
これしかない!
ポジティブに考えれば外国で迷ったのと同じことだろ?なら何とかなるさ。
まあ、海外旅行なんてした時なかったけどな。
ーーダンジョン内のマーキングを開始ーー
「なるほど。ウィンドウ開く時と一緒の感覚ね……なになに
①ダンジョン内のルートの表示は不可能。鋼の探求心によるマッピングは経路開拓を行うか地図等を入手する事でウィンドウに反映され以後、永久的に保存され選択と閲覧が可能。
②アイコンは自身が黒の点滅。敵モンスター或いは敵対者は赤の点滅。アイテム類は青の点滅。他の生物は白の点滅。目的地は緑の矢印のアイコンで示されたる……ふむ」
空中に浮かんだ文字の羅列を読み上げる。
マップには赤い点滅が一つと青の点滅が二つ。そして赤い点滅の先に緑の矢印がある。
「赤い点滅は敵だよな。その先に緑の矢印…。えぇ…レベル1で戦うの俺…装備もない状態で?」
喧嘩の経験は俺にだってあるだろう。だが相手は人だった。
どこかの格闘漫画じゃあるまいし動物…いや、未知の生物に素手で勝てる奴はいない。
もしかしたら雑魚みたいな敵かもしれないが……RPGでよく見る雑魚の代名詞のスライムとか?
…そうに決まってる。頼むぞマジで…!
重い足取りで緑の矢印に向けて洞窟を歩き出した。
〜30分後 見知らぬ洞窟〜
暫く進むと青いアイコンの位置まできた。
拾ってみる。
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魔石(極小)
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「………」
その先にアイテムがあったが…。
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クロダケ
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「…………」
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魔石(極小)
・極小の魔力を宿した石。投擲すると小さく破裂する。
小さすぎて素材としての価値はない。
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クロダケ
・洞窟内のダンジョンによく生えているキノコ。食用不可。
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「い、いらねー」
せめて木の棒でも良いから武器になるような物が欲しいのに…。持ってても仕方ないので両方を捨てた。
〜40分後 見知らぬ洞窟 空洞〜
洞窟内の道は広くなり大きな空洞の空間に出る。
先程までは一本道だったがここはかなり拓けた場所。
更に進むと遂に赤の点滅と緑の矢印の近くまで来れたが異様な光景が目の前に広がった。
妖艶で不気味な黒花が咲き並ぶ錆びた燭台。
その先には縄にぐるぐる巻きにされた首無し地蔵に似た石像が羅列している。…正直、かなり不気味で怖い。ホラー映画なら何か起きそうな雰囲気。
うわぁ…嫌な予感しかしないぞ…。
ーーー誰ぞ…其処にいるな…
心臓が破裂しそうな程、動悸が激しくなる。
これは…女性の声…?
苔の薄暗い光を塗り潰し暗い影が辺り一面を覆う。
燭台に火が順に灯された。