新たなる翼 ②
「イギナシ」
「う〜ん…本当はおいらと…ま、過ぎたことは言っても仕方ないし賛成だよ〜」
…ゴウラさんと勝負した意味がなくなるじゃん!
「ゼノビア。君は?」
「………」
ゼノビアさんは違うよね?…ね?
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『お断りします』
『第三者が侵害する権利はない』
『金は要らないので売却の手配と段取りをお願いします』
『それが一番の報酬なんでね』
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「超例外的な試み……予期せぬ問題が必ず生じるわ。十三翼の特権を金獅子のエンブレムに誓いを立てぬ冒険者に与えるべきではない」
さすがゼノビアさん!
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『…最後まで聞けよ。助ける理由が二つあってな。査問会でも言ったが人望があるってのが先ず一つだ。こんだけ人気があって信頼されてる冒険者を無下にはできねぇ。…それに旅の道中にいろんな噂を耳にするが…最近の金翼の若獅子の評判は糞だ』
『…だが悠はどうだ?短期間でラウラとルウラから信頼され…あのガンジとソーフィも惚れ込んでる。必死に助けようとする仲間にも恵まれてるしベルカ近隣の村民まで集まってたじゃねーか』
『無所属でもあいつが居た方が今後の金翼の若獅子のために良いんだよ。…実力があり誰にも染まってねぇから行き過ぎた権力の抑止力になる。…それにトモエの件も…オルティナの件も…俺らは救われてんだぜ』
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「……でも」
え、でも…?
「マスターが当代を務め背負う看板に悪評が蔓延る現状は不本意だわ…抑止力となる第三者…彼の知名度を利用するのは悪くないでしょう」
ま、まさか!
「今回に限り暫定的第8位襲名に賛成します」
嘘やん!?
「…これで半数以上が賛成だね」
「『瑠璃孔雀』よ。貴公はどうなのだ?」
「……反対っすね〜…ボクは苦労して十三翼の座に就いたのに…あのオッさんだけ特別扱いは気に喰わないわ〜」
「拗ねてるのが笑える」
「…はっ?殺すぞ貧乳」
「ふぁっきんちぇりーぼーい」
「『貪慾王』…あなたは反対でしょう?」
「私は…ふむ…」
ユーリニスを俺を一瞥しゴウラさんを見た。
「正常な判断ではないと思うが十三翼の過半数以上が賛成してる……私は『金獅子』の判断と本人の意思を尊重するさ」
…やけにあっさりで気持ち悪い…こーゆー時にこそ反論しろよ。
「がはははは!面白ぇからオッケーだ」
頬杖を突きにんまり笑ってるぅ…確信した上で楽しんでる顔だろあれ…。
「んで……肝心の悠はどう思ってんだよ」
「当然、嫌に」
「悠?」
ラウラが睨みプレッシャーを放っていた。
「…ゴウラさんと死に物狂いで戦った意味が薄れるってゆーか…」
言葉を濁し拒否の意思をそれとなく伝えてみた。
「悠が最強に挑み示した覚悟は決して薄れませんわ」
「あー…また大騒ぎになっても」
「ヨハネが身を引き誰が襲名しようと騒ぎになる」
「十三翼のメンバーとはGRが…」
「ヒャタルシュメク攻略達成でSSランクへの昇格条件はクリアしてるよ」
「…俺はエンブレムに何も誓わないぞ」
「構わねぇさ。他の連中も最低限のルールを守って好き勝手してっしな」
「GMが一番好き勝手してるし」
「……な?」
ラウラの嫌味に肩を竦めゴウラさんは笑う。
即答で論破される。
…正直、嫌だ。
ただでさえギルド設立で困惑してるのにその上、例外的な第8位襲名なんて面倒過ぎる。
でも……。
「…何かね?」
ユーリニスは俺の性格を見透かした上で尊重するって言ったに違いない。
…こいつは力で捻じ伏せても駄目だ。心を折らないと何度でも牙を剥く。
俺が第8位になれば対等な立場、か。
暫く悩んだ末に答えた。
「……条件がある」
「言ってみて」
「他の候補者が見つかれば即座に身を引く…十三翼の仕事より自分のギルドを優先する……それでも構わないか?」
「もちろんさ!」
ラウラは頷き微笑んだ。
自分の性格が嫌になるが…なるようになる…そう思わないと頭が痛いわ!畜生!
「おう。決まりだな…『金翼の若獅子』のGMが代表して宣誓する」
ゴウラさんが豪快に笑う。
「ギルドメンバーでもランカーでもない史上初の暫定第8位『辺境の英雄』…黒永悠の誕生だ」
「いぇーーーー!」
ルウラの歓喜の叫びが獅子王の間に響いた。




