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ココブー王国の再建!終

5月22日 午前11時更新


〜百合紅の月6日 ココブー王国 南門〜


翌朝、南門に大勢のココブー族が見送りに集まってくれた。


「ユー!!マタキテネ!…約束…約束ダヨ?」


「約束するよミカ」


「私…グレイテスト・ココブーノ名ニ恥ジヌヨウ精進スル……モット強クナル!」


「カカならきっと大丈夫さ」


「ソシテムガルガニ相応シイ…()()()()ニ……キット…」


ヤックム?


「…ヤーーー!」


『ヤーーーハァーー!!』


槍を掲げ叫ぶカカに戦士達も倣う。


「グレイテスト・ココブー!」


「ムガルガ!伝説ノムガルガ!!」


「ココブー王国ノ救世主!」


「ヤプール!ヤプール!」


その場で踊り叫ぶココブー族の皆を見て頰が弛む。


「ユー」


キング・ドドとニコだ。


「ココブー王国に永遠に語り継がれるムガルガ…契約者と魔女の友…私…恵まれたココブー」


「照れるからもーいいですって」


ニコの背中をキング・ドドは優しく押す。


「一生仲間!ズット友達!…コレ感謝ノ気持チ!」


照れた顔で木彫りの指輪を差し出した。


「これは?」


「ハロロウの指輪…信頼し寵愛する者に渡す……ココブー族のウダを込めた特別な指輪…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハロロウの指輪

・ココブー族が氣を込め作った指輪。指輪には植物を活性化させる不思議な力が宿っている。ココブー族が信頼し寵愛した他種族だけに渡す贈り物。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……ありがとう。嬉しいよ」


早速、左手の人差し指に填めてみた。


ーーーーーーーー

呼び声の指輪 E

ハロロウの指輪 E

ーーーーーーーー


貰いっぱなしじゃあれだし…何か……あ、これならニコに丁度良いかも。


「お礼にこれをあげるぜ」


「ワァ…」


腰に差していたナイフを渡す。


一番最初に鍛えて作った悠のナイフだ。


愛着が湧いた品だが後悔はない。


「ニコはまだ子供だしその位のサイズだと色々と使い易いだろう」


「ヤプーーーーール!!ワーイ!」


とびっきりの笑顔でニコは応えてくれた。


「イクロー…皆を頼んだぞ」


「了解した起動者よ」


さーて…!


「またな」


ココブー王国を出発しパジャモの遺跡を目指す。


皆が見えなくなるまで俺は手を振り続けた。



〜5時間後 ヒャタル・シュメク 紡ぎ歩む光の間〜



「よっと」


のんびり景色を見ながら帰ってたので時間が掛かった。


「…たぶん一週間位は居たよな?」


地下で時間の感覚が分からないがアイヴィーもアルマもオルティナも心配してるだろうし先ず家に帰ってゆっくり休もう。


報告は明日でいいや。


道筋が分かってる分、帰りは時間を短縮できそうだ。


広間を出て出口に向かう。



〜2時間後 ヒャタル・シュメク 出口付近〜



モンスターが消えスムーズに進む事が出来た。


マップには赤いマークが一つもない…ナックラビィーを倒した影響かな?


「あれ」


出口を赤い結晶石が塞いでいる。


次の瞬間、メッセージウィンドウが矢継ぎ早に高速で表示された。


「な、なんだ!?」


内容はラウラとモミジからだ。


確認しようにも瞬く間に消えていくので読めない。


「この結晶石…中々、硬いが……お?」


触って確かめていると結晶石が砕け塵になった。


「…なんだったんだこれ」


一週間振りの太陽の光が眩しく差し込む。


「まぁ細かいことはいっか」


ただいま地上!俺は帰ってきたぞー!


スキップしながら進む。



「ーーぐほっ!?」



突然、何かが襲い掛かって来た。


逆光で目が眩んでるが…このシルエットは…り、竜…?モンスターか!?


「悠…悠…!…良かった…ぐすっ…心配してたから!」


ーーきゅううううう!


「痛たたた…あ、アイヴィーに…キューか?」


モンスターでは無かった。尻餅を着いた俺に覆い被さる。


「もうっ…バカバカバカバカバカ!」


ーーきゅ…きゅうきゅ…ぎゅう!


涙目で胸を叩……ってキュー!重い重い!!


「…どうして此処に…何かあったのか?」


「何かあったって……むーー!」


頰を膨らませたまま黙ってしがみ付く。


「悠!」


「ユウさ〜〜ん」


「…本当に肝を冷やしたぞ」


ラウラにオルティナ…エリザベート?


「あっ…あっ…ゆ、ゆーーーー!!」


「ごぶぶっ!?」


物凄いスピードで突っ込んできやがった。


「る、るうら…息がっ…マジで死ぬ…」


「心配かけたぺなるてぃ…離さないもん…!」


首が捥げるかと思ったぜ。


「良かった…御無事で安心しました」


ベアトリクスさんまで?


「…すんっ…ほ、本当に…なっ…マジでユウのっ……ばっかやろー…!」


隣にいるモミジが肩を震わせ鼻を啜る。


…状況が全く分からないぞ。頭が混乱してきた。


「よっこいせっ…と」


アイヴィーとルウラを抱え立ち上がる。


「抱っこはアイヴィーの指定席なんだけど」


「のー!…譲れぬぷらいど…譲らぬらぶ」


「下りて」


「やだ」


「「……」」


「この体勢で喧嘩は止めような?」


睨み合う二人を宥めた。


確実に俺の顔面に被害がでるぞ。


「…悠」


「ラウラ?」


ぽんっと俺の胸に手を添え呟く。


「…君が無事で良かった…大怪我で動けないんじゃないかって…毎日、不安で堪らなかった…メッセージを送っても安否が分からないし…本当に…僕は……」


俯き震える声は今にも泣き出しそうに聴こえた。


ーーーッ!……!?…!


外も何やら騒がしい。…頭が容量オーバーなんですけどぉ!


「一旦、外に出ましょう」


「そうだね……悠は吃驚すると思うけど」


「?」


疑問符が浮かびまくっていた。



〜午後14時26分 第99区画〜



「えぇー…」


目の前の光景に唖然として立ち尽くしてしまった。


大勢の冒険者…沢山の騎士団員…野次馬の民間人……うわ、まぶしっ!


写真のフラッシュが一斉に光る。


「一言……一言…くださーい!」


「…今回の事件を解決したのはあなたですか!?」


「ヒャタルシュメクで一体何が!?」


詰め寄り矢継ぎ早に質問を繰り返す記者に目を白黒させ掠れた声が口から洩れ出す。


「じ、事件?」


「…このままじゃ落ち着いて話も出来んな」


エリザベートが金翼の若獅子のギルドメンバーに目配せする。


「あっ、ちょ…」


「帰ってくれ」


「詳細は後日通達すっから帰った帰った!!」


「しつこいと殴っちゃうよ〜?」


強面のギルドメンバーが壁になり敷地内の記者と野次馬を追い出していく。


助かるけど柄が悪い。


「何が起きたってんだよ…」


辺りも瑞々しい苔に覆われ草木が生い茂っている。


…砂地だったよな?


「場所を変えましょうか〜」


オルティナの一言に全員が同意し移動した。



〜午後14時50分 第99区画 監視小屋〜



「…成る程な」


騒ぎの原因と事情を皆に聞いて納得する。


封印石を破壊した影響は地上でも発生していた。…討伐が遅れ完全に解放された状態を維持してたら市街にも眷属が出現したに違いない。ミコトの助言に従ったのが幸いし俺がナックラビィーを殲滅したと同時に眷属も消滅したのだろう。


その後、金翼の若獅子で調査班と救助班を編成したが赤い結晶石が入り口を完全に塞ぎ進入が不可能になってしまう。


様々な手段を試みるも破壊ができず往生していたのだ。


……内側から触ったら粉々に砕けたけどもしかして霊臓の機能かな?


監視小屋も眷属の再出現を警戒し急遽、突貫で建築したらしい。この場にいない面子も交代で様子を見に来てくれていたそうだ。


「心配させて悪かった」


「……ったく!本気で焦ったんだからな」


「モミジの言うとおりだから」


「全面的にいえす」


三人がジーッと睨む。


「い、依頼には多少の危険が付き物…だろ?」


「あぁン!?」


「…何でもないです」


歯を剥き出してモミジが怒る。下手な言い訳はしない方が良さそう。


「無事で安心したが中で何が起きたか吾等にも説明してくれ」


「怪物の出現と消滅…異常な気候現象…ヒャタルシュメクの変化…関係があるのでしょう?」


「えーっとだな」


包み隠さず全部を打ち明けた。



〜20分後〜



「ーーってな訳で元凶は完全に消滅したし二度と深淵の獣の眷属は出現しない…うん!ハッピーな結末を迎えたって感じかな?」


神妙な面持ちで話を聴いていた全員が愕然とする。


「深淵の獣…古代人の要塞都市…獣人…ココブー王国……想像を超えた話ですね」


「…頭が痛くなったのオレだけか?」


「くくく…モミジ嬢よ吾も一緒だ」


「気持ちは分かるぞ」


俺は頷く。


「アルマ師匠も驚く」


「ええ〜…間違いないです〜」


ーーきゅきゅ〜!


「御伽話!驚きの話!ルウラもびっくり!」


「『灰獅子』よぉー…これ世間にどう発表すんだ?」


モミジの問いにラウラは思慮し答えた。


「詳細は伏せ虚偽を混ぜて発表する…ヒャタルシュメクで未確認の指定危殆種を黒永悠が発見し討伐…第99区画の結界が崩壊した理由と怪物の正体は指定危殆種の能力……これが無難じゃないかな」


「うむ」


「真実を敢えて紡ぐのも致し方ありません」


「悠は不本意かも知れないけど…」


「寧ろ助かる」


注目を集めたくないし不安も煽りたくないからね。


「仮に深淵の獣がまた出現すれば俺が倒すだけだ…この世界から殲滅し駆除するよ…絶対に野放しできない……殺す…皆殺しだ…屠殺しなきゃな…この世から完全に消してやる…ふふふ…()()()()


「ゆ、悠?」


「…大丈夫か?」


「何が?」


「…凄い怖い顔をしてましたよ〜」


「べつに普通だぞ」


怪訝そうな三人に首を傾げる。


「きっと疲れてるのよ」


「お家に帰ろう」


ベッドでゆっくり眠れると思うと嬉しい。


筋肉痛で節々も痛いし俺も歳かなぁ…?


「…口惜しく歯痒いな」


「本当にね」


「なんで?」


「冒険者の歴史に残る偉業を成し遂げたのに隠さなきゃいけない…それが残念なんだよ」


「偉業って…あはは!大袈裟じゃね?」


「大袈裟なものか。古代人の文明を発見…未知の怪物を討伐…獣人と邂逅し意思疎通と生活を把握……これを偉業と言わず何と言う?」


「いえす!」


「本来ならSSSランク依頼達成に匹敵する快挙です」


「…なんだかなぁ」


頭を掻いてぼやく。


「そーゆーのに興味ねぇのがユウらしいけどよ」


「うふふふ〜!流石はうちのGMです」


和やかなムードに帰ってきた実感が湧いてくる。


「……そういえば悠よ」


「ん?」


「オルティナと一緒に住んでるらしいな」


「皆にまだ言ってなかったっけ?」


「うん」



「例えると〜…私がお母さんでアイちゃんは娘……ユウさんがお父さん…つまり()()ですね〜!」


「「「「「……」」」」」



和やかな雰囲気が一転し空気が殺伐としてきた。


「しっと!…泥棒猫とはオルティナのこと」


「ルウちゃんひど〜い」


「…思わぬ伏兵の登場ですわね」


「なんのことでしょうか〜?」


「親友と云えど吾は容赦せぬぞ」


「…うふふ〜」


「き、距離が近過ぎてもどうかと思うけどね!」


「ラウちゃんってば机が壊れちゃいますよぅ」


「…ぜってぇ負けねーぞ?覚悟しろや」


「私も意外と負けず嫌いなんですよ〜」


にこにこ顔でオルティナは各々に応じる。


…意味が分からないが背筋が寒くなったぞ!


「ゼ、ゼノビアさんにどう依頼を報告しよっかな」


空気を変えたくてわざとらしく大声で喋った。


「…その問題()残ってたね」


他になんの問題があるのだろう?


「ゼノビアはねちねち細かい」


「獣人に関しては正確に報告すべきでしょうね」


「一つだけ決めてる事はあるんだ」


「決めてる?」


「それは……」


控え目なノックの音で会話を中断する。


「失礼します」


冒険者が扉を開け中に入って来た。


「待機するように指示した筈ですが?」


「…ゼノビア様より大至急、『金翼の若獅子』にクロナガさんを連れて来いと」


「ババアが来い!…ってあんさーをれすぽんす」


「くっくっく」


「……勘弁して下さいよ」


「私より『氷の女帝』の命令を優先すると?」


「…いや…その…!」


「名前と派閥を教えなさい」


この兄ちゃんが可哀想になってきた。


「行くよ…報告すれば明日はゆっくり休めるしな」


「あ、ありがとうございます!!」


仏を見るような眼差しを向ける。


「…悠に助けられましたね」


ベアトリクスさんのプレッシャーが半端ない。


自分よりゼノビアさんの指示を優先した事がよっぽど気に触ったようだ。


「帰らないの?」


不満そうにアイヴィーが呟く。


「ちょっとだけさ」


「うー…」


第99区画から中央区画へ移動した。




ここまで読んで下さり有り難う御座います(。・w・。)


今後の展開を検討するので暫しの間、更新の頻度が低下します。皆さんの評価やブクマがモチベーションを大変上げて下さります(。ゝω・。)ゞ


今後も応援して頂けると嬉しいです( *'w')b

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です!色々と大変な時期ですが無理をせずに頑張って下さい。 [気になる点] 皆んなとの再会がいい風に描かれていますが、ついに悠さんが闇堕ちしそうで今後も楽しみにしております。
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