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番外編 新聞記者の一日 ④

5月7日 午前11時更新



〜『舞獅子』ルウラ・レオンハートへの取材〜



「よーやく出番…はーとがわくわく…鼓動がどくどく…漲るぜぶらっど!震えるぜびーと!」


ーーーお待たせしてすみません。


「どんとうぉーりー」


ーーーその韻を踏む独特な喋り方は『猿人族モルキー』の民語ですよね?


「いえす!」


ーーー……『狂華』と呼ばれていた頃とは雰囲気が一変され驚きました。もっと近寄り難く尖った印象が強かったので…。


「ルウラはもう昔のルウラじゃない」


ーーー最初の質問ですが黒永悠とルウラさんは代理決闘で敵対し紆余曲折ありました…現在のご関係は?


「らぶらぶ」


ーーー……ラブラブ…ですか?


「いえす」


ーーールウラさんの年齢って17歳でしたよね?


「いぐざくとりー!ぴちぴちなやんぐだよ」


ーーー…彼は30歳…自分より一回りも歳下の少女に手を出したの…?


「唇と唇が重なるちゅー…ルウラのふぁーすときすはゆーに捧げた…えへへ」


ーーー…少し席を外して良いですか?


「うい」



〜10分後〜



ーーーお待たせしました。


「顔色が悪いけど大丈夫?」


ーーー大丈夫です…()()()()()()()か…良心の呵責に苛まれたもので。


「?」


ーーー彼のどこに惹かれたか教えて貰えますか?


「全部」


ーーー…黒永悠は他の女性とも親交が深い?


「そこは悩みの種…ゆーの態度と言動に翻弄…本人は鈍感で注意が必要…皆は仲間だけど激しい競争…正妻はルウラで本当…記者さんはルウラが恋人って記事を一面に掲載すべき……それがとぅるー」


ーーーちょっと質問を変えて…彼はどんな能力アビリティを持ってますか?契約者特有の力とかは?


「恋人って書いて」


ーーー……ルウラさん?


「約束してくれなきゃのっとすぴーく」


ーーーえぇ…?


「…って思ったけど気分が良いし教えてあげる」


ーーーありがとうございます!


「ゆーは呪術を駆使して闘う」


ーーー蛇を操るらしいとか?


「操るってより一心同体?…ゆーの淵嚼蛇は広範囲をかばーする性能と応用力…継続時間も長いし超強力な呪術だよ…単純なぱわーばとるでゆーに勝てる奴はいないと思う」


ーーールウラさんよりも強い?


「惚れた男には敵わない」


ーーー……よっぽど彼が好きなんですね。


「大好き」


ーーーなんだか私が恥ずかしくなってきました。


「らぶは全面的に押し出すのがルウラのすたいる」


ーーーもし他の十三翼のメンバーが彼と敵対してもその愛は揺るぎませんか?


「揺るがない…その時は…」


ーーー…!?


「Kill who!悠兄ちゃんの敵はルウラがもれなく全員ブッ殺すからさぁ〜…ギャハハハッ!!」



こ、怖かったぁ!


最後の最後で豹変するんだもんなー…。


冒険者ギルドで一番の問題児と評判だった彼女がこうも変わるとは……愛って凄い。


ベアトリクスさんは自分の話が真実だと言ってたが…『灰獅子』と『串刺し卿』からどんな話が飛び出るやら……期待と不安が入り混る。



〜『串刺し卿』エリザベート・K・ツェルペリへの取材〜



「漸く吾の番か」


ーーー早速ですが彼の人物評を教えて下さい。


「悠は喩えるなら()()()()()よ」


ーーー染まらぬ水?


「冨も名誉も悠にとっては不純物なのだ。大切なのは己の意思…納得できぬならば彼奴は誰の命にも従わぬ…その相手が王だろうとな」


ーーー反骨精神とは違うのですか?


「気高い志ゆえに、だ。…結果誰にも染まらず相手を染めてしまうのさ……くくく!吾もその一人よ」


ーーー彼の影響力の高さは凄いですね。


「竜人族は義を重んじる種族…吾が悠と通ずるのは心と心が結ばれてるからだ」


ーーーヤージュナシを一夜で滅ぼし民を救ったエリザベートさんらしい台詞です。


「うむ」


ーーー実は気になる点があって黒永悠と愛し合ってるとルウラさんが仰ってましたが……これは事実?


「…ルウラが悠を好いてるのは事実だが悠に他意はない。妹をあやす兄のように健全な関係さ」


ーーー良かった…彼が未成年を相手に興奮する変態じゃなくて安心しました。


「くっくっく」


ーーーベアトリクスさんのお話が正しかった訳か。


「『荊の剣聖』は何と言っていた?」


ーーーいずれ恋人になる間柄と仰ってましたよ。


「………」


ーーーエリザベートさん?


「全く持って違う」


ーーーえ?


「悠は鈍く人の好意に疎い。異性を勘違いさせてしまう言動や行動が多いだけで『荊の剣聖』は()()()()()()


ーーー誤解ですか?


「間違いなくな。ホーク嬢に偽りなき真実を話そう…悠と正しく男女の仲なのは()()()()


ーーー…ベアトリクスさんではなく?


「うむ!自宅で吾の胸を揉みしだきベッドへ押し倒した……と言えば親密な関係だと伝わるかな?」


ーーーそ、それは親密ですね。


「記事にしても構わぬぞ」


ーーーえっと…流石にその内容を新聞に載せるのは…ちょっと…。


「遊びでは無く互いに本気だとも付け加えさせて貰う」


ーーー…話題を変えますが冒険者ギルドの設立についてどう思いますか?


「紆余曲折はあったが悠がGMならば心配は要らぬ。…『金翼の若獅子』に蔓延る愚か者共の良い牽制になるであろう。『貪慾王』の様に……おっと!口を滑らすとラウラに怒られてしまうな」


ーーーユーリニス・ド・イスカリオテが今回の設立に関わってる…そういう意味ですか?もしや黒永悠と『貪慾王』は敵対してる?


「保守派の『貪慾王』とは相容れない…何故ならば悠は冒険者ギルド法改革推進派の心強い味方だからな」


ーーー黒永悠は改革推進派の一員!?これはビックニュースです!


「少しリップサービスが過ぎたがホーク嬢がどんな記事を書くか楽しみだ」


ーーー恐縮です。


「くくく…吾と悠の関係についても忘れず記載してくれ給え」


ーーーあ、ははは。


「必ずだぞ?」



すっごい眼力で迫られたので笑って誤魔化した。


…女性関係が複雑過ぎるしこの話題に関する質問は止めとこ。


彼が改革推進派ってのは衝撃的だ…『灰獅子』を筆頭にギルド法改案を望む極少数の推進派は保守派代表の『貪慾王』と揉めてると巷で噂になってる。


『灰獅子』はどう答えるだろう。



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