表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

236/465

忙しくも楽しい毎日を謳歌しよう!⑪

4月8日 午前11時8分更新



〜1時間後 テオムダル 南城門〜


「一人で行ったというのか…?」


「第2陣には南城門の警護をしてろ……そう命令して行った。何様のつもりか偉そうに…」


スズは帰ってきた第3陣のPTに不機嫌そうに喋る。


「……『辺境の英雄』とはいえ単独で向かうとは無謀ぞ。…もはやあの森は魔窟だ」


「ええ…昨日とはまるで状況が違うわ……痛っ…」


「増え続ける魔物の群れに妖化した人…混沌としている」


口々に彼等は危険の度合いを口にする。


「増援がたった一人とはカネミツ様は何をお考えか…」


「雀の千声鶴の一声」


そう言ったのはゲンノスケだった。


市長へ報告を済ませ戻って来たのである。


「ユウ殿は師と同じく超人の域に達する者ぞ」


「………」


「下らぬ陰口は控えよ」


「…っ…何故そうまで彼奴を庇われるのです!」


ゲンノスケは目を閉じ思い出す。


…羅刹刃・朔月。


凶暴で凶悪かつ強力無比な美しい薙伏せる剣閃。


たった一撃だったが()()()()()であった。


対峙した者にしか分からない境地がある。


街道を真っ直ぐに見詰め彼は答えた。


「ふっ…()()()()()()()()()()()()()()()()


仲間達は皆、顔を見合わせ戸惑うのであった。



〜同時刻 ワーガー南街道 穢れた森〜



「…次から次へとうじゃうじゃとまぁ…」


モンスターを倒しつつ森の奥を目指す。


ペナルティの銃口が火を吹き弾丸が炸裂した。


体液と四肢が飛散し辺りを汚す。


……魔圧の威嚇に動じないのは妖化の影響か?


「ふんっ!」


燼鎚で襲うモンスターの頭を潰した。


ーーあ…ああ…あ…。


ーー…ぐふ…ぐふふ…ぐふ。


「……」


妖化に犯された旅人か…テオムダルの市民か…腐乱した肉体の損傷は酷く汚れた衣服を纏い歩く姿はまるでゾンビだ。


…希薄だが試してみるか。


腰袋から特製ポーションを取り出し投擲する。


ーーあ゛あ゛あ゛あ゛!!


ーー…うばあぁ…あぁ…。


瓶が割れて液体を浴びると肉が溶けて崩れだした。


「…こ、れは…!?」


塩で溶ける蛞蝓のように消えていく。


嫌な臭いが鼻を突いた。


「回復薬で溶けるって…」


原因は不明だがこうなると助けるのは無理、か。


…拳を握り締め前を睨む。


饕餮が待つ森の奥へと駆け出した。



〜午前6時15分 穢された森 深部〜



「…ここだな」


襲いくるモンスターを蹂躙し進み続け饕餮が待つ深部へ辿り着いた。


淀んだ空気に死臭が混じっている。原因は積み上がった見るに耐えない死体の山だろう。


樹々の枯枝は複雑に絡み合い陽射しを遮っていた。


……この不気味な雰囲気は魔窟(ダンジョン)と似てるな。


辺りを観察しているとマップに浮かんだ赤い点滅が輝いた。


ーー…無闇に下僕を屠るは貴様か…代償は高くつくぞ。


声の主が奥から姿を現す。


ーー……憎き人よ…その身に我が復讐の牙を味わうがいい…。


四つ目の犬……第一印象はそれだ。


犬と言っても大きさは象並で前脚の爪は湾曲し鋭利で巨大な鎌を彷彿させた。


爛々と輝く赤い瞳は真っ直ぐに俺を捉えている。


「復讐だって?」


ーー!


俺が言葉を理解した事に饕餮は驚いた。


ーー……言葉を理解するとは…只の人ではないな……纏う深き闇……もしや契約者か…?


「ああ」


ーー…グルゥゥ!…理解しようと我が魂の慟哭は止まぬ…妻を無残に殺された恨みは…貴様らの血で癒すしか無いのだ…!!


「それはお前達が罪もない人を襲ったから…」


ーー生きる為だっ!…人を喰らうが罪ならば…動物を喰らう貴様らとて同じ……自然の摂理なり…!


「……」


ーー……()()()にはっ…()()()がいたのだぞっ…!!


「!」


ーー…飯を食い栄養を蓄え…命を紡ぐに…何が悪か…!?


答えに窮した。


ーー…憎い…我は憎い…!…あの男の刃が…妻を貫く…忌まわしき光景がっ……瞼を綴じようと消えぬ!


溢れ出る魔圧は悲しくも猛々しい。


ーー……これは復讐なのだ…あの地に住う者に…死を与えねば……我が妻… 檮杌の魂の安らぎは永遠に得られぬだろうっ!!


「……」


ーー四肢を砕き臓腑を啜り…苦悶の悲鳴は…我が耳に賛美の歌となるっ!


…饕餮の主張が間違ってるとは思わない。


生きるとは他を犠牲の上に成り立つのだ。


この手の内容に正しい答えはないだろう。


豚の悲鳴に耳を傾ける者は居ない。


魚を捌くのに躊躇する者は居ない。


踏み殺した蟻に泣く者は居ない。


…はっきりしてるのは一つ。


こいつを見過ごせば不幸な犠牲者が増え続けるのは確かだ。


「…お前を討伐する」


ーー………。


空気が張り詰めていく。


「恨みも憎しみも()()()()俺は生きるよ」


ーー…巫山戯るなよっ…この蛆虫がぁ!?


激昂に合わせ武器を構える。


ーーグォォォォォッ!!!


咆哮と共に戦いの火蓋は切って落とされた。



ーー対象を確認。ステータスを表示ーー

名前:饕餮

種族:妖獣種Lv105

称号:累々を束ねし妖魔

戦闘パラメーター

HP940000 MP16900

筋力7500 魔力12000 狂気2500

体力7500 敏捷4800

技術1000 精神6000

耐性:闇耐性(Lv8)不死耐性(Lv2)魔法耐性(Lv9)

戦闘技:妖獣爪・妖爆・妖煙・四つ目の睨み

魔法:闇魔法(Lv8)風魔法(Lv5)

固有スキル:妖化・魔煙・豪筋・魔力変換

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放浪を好み人を喰らうモンスター。妖化の能力により総合戦闘(トータルバトル)数値(パラメーター)4000以下の生物を同種属の妖獣種に変貌させ下僕にする。妖化した生物に回復魔法・回復薬は効果がなく逆に体内を循環する魔力を死滅させてしまう。番の檮杌と常に行動を共にする愛深き魔物でもある。


一つの地に執着しない流浪の魔物の筈が妻を殺された復讐にテオムダルに固執している。妖化の能力もさることながら戦闘数値も高く中でも魔力が飛び抜けている。指定危殆種に分類される危険なモンスターだ。


…亡き妻と見ぬ子の為に夫は人の屍を求めた。憎き妻を殺した男への憎悪は罪なき民に牙を剥く。


食物連鎖とは誰も逃れられぬ運命である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーー……爆ぜよ…!!


饕餮が叫ぶと草を掻き分け無数のモンスターが俺に突進して来た。


「!」


身を翻し躱した瞬間、膨らみ爆発した。


……自動追尾式の爆弾みたいだ。


動きが鈍いので避けるのに苦労はしないけど…なっ!


撃鉄を起こし引金を引く。


弾丸は饕餮の前脚に着弾し炸裂した。


ーー……ぐっ!…馬鹿な…我が妖煙を無効化だと!?


前脚を覆う煙が炸裂弾のダメージを軽減していた。


兇劒の効果があるので俺の攻撃を完全に無効化するのは不可能なのだ。


「焼き尽くせ」


燼鎚・鎌鼬鼠が炎を吹く。


爆発する前に襲い来るモンスターを焼失させた。


勢いそのまま炎の中を突っ込み饕餮へ迫る。


ーー……妖獣爪!


「おぉぉ!」


燼鎚と爪が衝突した。


ーー……がぁあああぁーーッ!?


爪を砕き振り下ろした燼鎚は右前脚を潰す。


追撃の爆発で肉が弾けた。


今度は饕餮が俺から距離を取り離れる。


ーー…尋常ならざるこの強さ…あの男を…思い出すぞっ……!!


戦意は萎えていない。


ーースティングジェイドォォ!


闇の棘が全てを無差別に貫く。


…凄まじい威力だな。


流石に魔力が一万を超えてるだけある。


本領発揮ってな感じだ。


ーーメイルストォォム!!


今度は荒れ狂う竜巻かよ。


暴風は木を引っこ抜き勢いを拡大していく。


襲いくる棘と風……避けるには距離が足らない。


だったら方法は一つだ。


……戦闘技で相殺してやるぜ!


黒蛇が燼鎚を黒く染める。撃鉄を起こすと甲高い金属音が鳴った。


「ーー極光斬・断崖!!」


魔法と戦闘技が衝突した。


大爆発の余波で森が一瞬で破壊されていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ