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忙しくも楽しい毎日を謳歌しよう!⑧

4月2日 午前8時5分更新

4月3日 午前7時43分更新


〜夜19時30分 マイハウス リビング〜



「ーー今夜に出発ですか〜」


「むぐ…むぐ…」


オルティナが作った唐揚げを頬張りながら頷く。


味が染みてて美味い。


「…ごくん。予定があるし明後日の夕方には戻るよ」


「指定危殆種を相手に余裕ですね〜」


「けぷっ…あんな雑魚が相手なら余裕に決まってんじゃにゃい……唐揚げおかわりちょーだい」


「はいな〜」


「…おい食い過ぎだぞ」


「まだ腹四分目よ」


「絶対に太るからな」


「饕餮ってどんなモンスター?」


ーーきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷ!


出発前に家族で夕食を囲む。


賑やかで楽しい時間だ。


「ん〜…外見は薄気味悪い犬っころって感じだったかしら」


「へぇ」


有益な情報が聴けるかも。


「弱点とか知ってるか?」


「一発で倒しちゃったから印象が薄いのよね〜」


「………」


…指定危殆種は超危険生物なんだけどなぁ。


アルマの全盛期の力を見てみたくなるぜ。


「物理攻撃は効くはず……ってあんたは関係ないか」


「まあな」


「饕餮は人をモンスターに変えるって噂は聴いたことがありますね〜」


「『変化系コンバージョン』…変化系統の才能スキルっぽいわね。悠は異常状態を完全に防ぐ耐性を持ってるんでしょ?」


「おう」


「じゃあ楽勝よ…にゃふ!異常状態の攻撃を得意とする輩にとってあんたは悪魔ね」


「悪魔かぁ」


オルティナが山盛りの唐揚げを乗せた皿をアルマの前に置く。


「ん〜」


「どうした?」


「…異常状態を完全に防ぐユウさんは狂気の数値が高いのかなぁ〜って思って」


「めっちゃ高いよ」


「アイヴィーは狂気10」


「狂気の数値は異常状態の防御に関係するって父から教わってますが〜……私は毒耐性と麻痺耐性を持ってても数値は5です」


めっちゃ低いな。


「狂気の数値ってのは低いもんよ。例え訓練して耐性を習得しても上昇する数値なんて微々たる値ね」


「そーですか〜」


「ふーん……ってアイヴィーも今日はよく食べるな」


沢山の唐揚げと野菜を平らげてる。


いつもなら既にお腹いっぱいの量だ。


「今日は…もぐもぐ……動き過ぎて…もぐ…お腹が…もぐもぐ…空いてるから」


「オルティナも修行はどうだった?」


「初日にしては上出来よ」


「…久しぶりにお婆ちゃんと逢えました〜」


「お婆ちゃん?」


「数年前に他界してますが……川の向こうで元気に手を振ってましたね〜…」


三途の川じゃねーか!!


「父が課した修行が砂糖みたく甘い修行だな〜って……すごい勉強になりましたけど」


オルティナがしみじみと呟く。


「にゃふふふ」


アルマは嬉しそうに笑っている。


「キューは師匠に厳しくされて泣いてた」


一心不乱にカロリーを摂取し続けるキュー。


「…熱が入った指導だったんだな」


「愛の鞭よ」


ーー………。


キューは何か言いた気にアルマを睨む。


「そ〜いえばテオムダルまで結構な距離がありますけど〜」


「大丈夫だ。とっておきの移動手段があるんでな」


深夜に出発する理由は神樂蛇で召喚した白蛇ハク・ラン・シロで移動するからだ。


三匹の速力なら余裕で着くし明後日までに戻って来れるだろう。


「なるほど〜…ベルカ北街道を真っ直ぐ進めばテオムダルに着きますが……今は舗装工事中で荒れてるしモンスターの出没が多い街道なので気を付けて行って下さいね〜」


俺より詳しいな。


「おー」


「アイヴィーはお土産を期待してるから」


「わたしには珍しい肉よ」


「テオムダルの名物品…湖海鼠の干物が食べたいです〜」


ーーきゅ…きゅー!きゅきゅきゅ!


「キューはお菓子が食べたいって」


「ふふふ」


まるで出張に行くお父さんみたい。


…悪い気はしない。


夕食後は出発準備を整え深夜0時に家を出た。


第6区画の転移石碑からベルカ北街道に移動する。



〜深夜0時15分 ベルカ北街道〜



夜の街道はちょっと不気味だ。


街灯の整備もないので基本的に暗い。この暗闇の中でモンスターに強襲されたら面倒だろう。


「マップっと」


俺を囲むように赤いマークが点滅している。


ひぃ…ふぅ…みぃ…よぉ……数が多いな。


「神樂蛇」


とりあえず三匹を呼び出す。


召喚した途端、低い唸り声をあげ周囲を威嚇する。


瞬く間に赤いマークが遠去かっていった。


「よしよし」


頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。


ランの背に跨る。


「目的地のテオムダルは…?」


緑の矢印は北を示す。


「よーし!周囲を警戒しつつ目的地に向け出発するわああああああーーーー!!?」


掛け声と同時に驚異的なスタートダッシュでランが道を這い進む。


…最近、乗ってなかったけど…これは凄い!


目的地にあっという間に着いちゃうぞ……ん!?


「そっちは川……わぷぅーー!」


勢い良く川に飛び込む。


水飛沫が雨みたく降り注いだ。


…道を外れ…いや最短距離で突っ切るつもりか!?


川に潜むモンスターを捕食しながら疾走する。


モンスターに断末魔を叫ぶ暇すら与えない。


座席と停車がない裸の新幹線に乗ってる気分だ。


「あああああーー…!」


フカナヅチの時もそーだったが止める余裕がない。


そのまま爆進した。


〜1時間後〜


目と体が慣れ跨っていても周囲を観察する余裕が生まれた。


…谷底・川・山・森・草原…短時間で見知らぬ土地を通過していく。


人影はない……ってか誰も足を踏み入れた形跡がない場所を進んでるみたいだし当然か。


緑の矢印にどんどん近付いてる。


この調子ならあと二時間もせずに到着するだろう。


ちょっとこの周辺を散策してみよっかな。



〜ワーガー地方 未踏の森〜



「おおー…」


枝分かれに森を流れる澄んだ清流。


蛍のように光る虫が闇夜を照らし飛び交う。


もの○け姫の木霊の森みたい…。


この水飲めるかな?…鑑定、鑑定…。


うん、大丈夫だ。


手で掬い一息に飲む。


すっきりとした瑞々しい森の恵みが体を潤す。


「美味い!景色も綺麗だよなぁ」


ーーシャアアア。


ーーシィ……。


ーーシャ〜…シィ?


…こーしてみると三匹の個性も其々だな。


ハクは真面目で律儀…シロはのんびり屋さん…ランは自由気ままって感じだ。


()()()()()()()()()()()()()()()()


それとなしに独り言を呟く。


ーー………。


「ん?」


マップを見ると青い点滅が辺りに広がっていた。


「この草やキノコ……素材アイテムだな」


折角だし採取していこう。


〜30分後〜


「こんなもんか」


アイテムを並べる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・採取アイテム

マグマダの花×6

マグマダの実×6

森霊の草×6

森霊茸×8

森霊樹の根っこ×4

ピンキー・マッシュ×8

蠅食い木の根っこ×3

フォレスゴースの珪化木×1

カンカルツァの珪化木×1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


鑑定したがどれも中々の希少素材だ。


まーた錬成が捗るぜ。


貪欲な魔女の腰袋にアイテムを仕舞う。


「休憩も済んだしそろそろ行くか」


ランの背に跨がろうとするとハクが横から割って入った。


ーーシャアア。


どうやら自分の背に乗れと言ってるみたい。


ーー………シャーーーー!!


ーーシャアアアッ!?


横入りされて面白くないランは牙を剥き出しハクに威嚇する。ハクも負けじと応じた。


「おいおい……喧嘩しちゃ駄目だぞ」


こんなとこで大怪獣バトルを勃発されても困る。


ーーシィ〜。


「おっと」


シロが背中を小突きその拍子に胴体に跨った。


「はは!よし…シロに乗ってくよ」


ーー………。


ーー………。


ハクとランは府に落ちない表情で此方を見ている。


前より感情表現が豊かな三匹に思わずほっこり。


再びテオムダルに向け出発した。


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