表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

214/465

オルティナの決意 ②

3月4日 午後16時30分更新

3月4日 午後23時48分更新



〜午後12時25分 八階 GM執務室〜



「僕もユーリニスの土下座が見たかったな」


「全く謝罪の念は感じられ無かったが……くくく!あの男が膝を突きこうべを垂れたのは最高の気分だったぞ」


「正直、驚きました〜」


「はっはー!ざまあ」


「みんな喜んでる」


ーーきゅきゅ〜。


「ん」


首尾を聞いたラウラとルウラは満面の笑顔だ。


エリザベートもオルティナも破顔し喜んでる。


「悠も苦労した甲斐があったね」


「ああ。…俺も約束が守れて嬉しいよ」


「ふっふー!こんぐらっちゅれーしょん!」


「…本当に悠には感謝の言葉もない。どんな礼を尽くせばいいか…」


「命を救って頂いた恩人ですし〜」


「当然のことをしただけさ」


「…でも〜」


「…あー…堅っ苦しいのは止めてくれ。気持ちだけで十分だ」


照れ臭いし…。


「ゆーってば照れ屋さん」


「嬉しい癖に素直じゃない」


ーーきゅきゅう!


「ふふふ…悠らしいよ」


「遠慮するな。…言葉が不用ならば吾の麗しい肢体で精魂を注ぎ尽くそうではないか」


「ちょ」


エリザベートは指を俺の太腿に這わせる。


「まあ…エリちゃんってば大胆〜」


こ、子供が見てる前であかーん!!


「……きるされても文句はのっとすぴーく」


ルウラってばずいぶんと物騒だなおい。


子供アイヴィーの前で…じょ、冗談が過ぎるんじゃないかな…悠の太腿から指を離そっか?」


ラウラはこめかみに青筋を浮かべ笑う。握る万年筆は握力に耐え切れず亀裂が走った。


「くっくっく」


優越感に浸るようにエリザベートは勝ち誇る。


……空気が殺伐としてきたな。


喩えるなら…二頭の獅子と竜の三竦み。


…うん!話題を変えよう。このまま放置すると標的が俺に移りそーな予感フラグがする!


「…俺たちまだ申請書を書いてなかったよな?」


「うん。アイヴィーも早く書きたいから」


両足をばたばたと動かし催促する。


「申請書は…えーっと…ラウラ?」


暫し訪れる沈黙。


「…後でゆっくり今の件は話そうか」


「望む所だ」


「ふぁいてぃんぐすぴりっとに火が点いた」


「うふふ!みんな仲良しですね〜」


……オルティナの笑顔が救いだなぁ。


「これが冒険者ギルドの設立申請書だよ」


ラウラは一枚の青い魔紙を取り出した。


ここまでの()()()()()()と感慨深いものがあるな。


…本当に色々あったけど後悔はない。


受け取って名前を書くと文字が光り二枚に増えた。


これで俺は冒険者ギルドのギルドマスターだ。


「…正式な辞令はまだ先だけどGM就任おめでとう」


四人が拍手する。


「いぇーい」


「吾等も協力を惜しまぬぞ。何時でも頼るといい」


「おめでとうです〜」


「一緒に頑張るから!…ね、キュー?」


ーーきゅきゅい〜!


「…ありがとう…」


感動に心が震えて泣いてやがるぜ!


「こっちは申請用で…もう一枚は後々、発足許可証の引換書類になる。しっかり保管してね」


「了解!」


肌身離さず持ち歩こう。


ーーきゅむ〜?


魔紙に興味を持ったキューが舌を伸ばし紙を舐めた。


「あ、こら!食べ物じゃないぞ」


ーー……きゅううううー!


「だ、駄目だっちゅーに」


「めっ」


アイヴィーに注意され漸く離れる。


「…キューがとぼとぼしてる」


「落ち込んじゃったの〜?」


キューを励ますルウラとオルティナ。


「ゆーってばひどい」


「えぇ」


俺が怒られるんかーい!理不尽やないかーい!


「次は初期人員配置の提出用紙だ。それぞれ役職名の横に名前とGRを書いてくれ」


「GM…副GM…所属登録者…受付嬢…職員」


様々な役職名が記載されてる。


「今日、記入する書類はこの二枚だけだ。来月までにはギルド名の願書と掲載通知書を出して貰う」


「了解」


ギルド名は家に帰ってゆっくり考えよう。


「黒永…悠……っと!はいアイヴィー」


「うん」


ペンを走らせ嬉々とした表情で副GMの項目に自分の名前を書く。


「…書いた。今日からアイヴィーは副GMだから!」


「ふふふ」


天真爛漫に喜ぶ姿を見て思わず顔が綻ぶ。


()()()()()()〜…オルティナ…ホワイトラン…はい書きました〜!」


爆乳を揺らし喜ぶ姿を見て思わず顔が……んっ!!?


全員の注目が彼女に集まる。


「どうしました〜?」


「ど、どうしたって」


こちらの困惑を意に介さずにっこり笑っていた。


「オルティナ…君は…」


「…流れる様にさらっと記入したな」


「……!」


()()()()()()()()名前を書こうとしても駄目」


気付けば書類に手を伸ばすルウラの右手をアイヴィーの影が遮っていた。


「しっと。暴露たら仕方ない……紙をぷりーず」


「自力で奪ってみたら?」


「はっ!ルウラにすぴーどで挑むとか愚の骨頂」


「…自信がない犬はよく吠える」


その一言が引き金となり一枚の紙を巡る影と花の攻防が始まった。


手を影が弾き手が影を弾く。


アイヴィーの影は稽古を積み練度を高めた結果、以前と比較にならない流麗な動きを魅せる。対するルウラも汗一つかかず余力を残し冷静に対処していた。



「…それが本気?」


「まさか。こっから更にすぴーどは上昇。…見せてやるよ『舞獅子』の本領」



む、無駄に熱い展開だ………ってこらこら!


「やめなさい」


「…あう」


「むー…」


二人の首根っこを掴み止める。


「喧嘩しないで仲良くしろ」


「…がーるが意地悪する」


「アイヴィーは悪くないから…」


あーーもうっ!


「…ここに座って大人しく話を聴いとけ」


二人を両隣に座らせた。


「べー」


「いーっだ」


やれやれ。仲が良いのか悪いのか…。


「二人とも可愛くて和みますね〜」


「和むけど…それよりも……なぁ?」


「…うむ。唐突で吾も驚いたぞ」


「……オルティナ。理由を説明してくれないか?」


「ふふ!驚かせてごめんね〜…実はウー・ロンを出る前から決めてたの〜。ユウさんのギルドに加入しようって」


「決めてた?」


「はい」


オルティナは静かに語る。


「…エリちゃんにユウさんの事情を聴いた時は私の理解を超えた内容で…正直、びっくりしました〜……そしてそれ以上に感動した。…自分の素性が露出するリスクを厭わず死の代償を払い私の命と…()()()()()()も救ってくれた…そんな恩人に細やかだけど恩返しをしたいの〜」


「オルティナは誤解してる。…俺は自分がしたいようにしただけで……むぐっ」


人差し指が俺の唇を止める。


そして小さく首を横に振り答えた。


「あなたが認めなくても…否定しても…私のヒーローに変わりはないですよ〜」


可憐な笑顔でそう告げる。


……過大評価だっつーの。


「…気持ちは嬉しいが俺は未熟な男だ。家族以外の…他人の人生を背負える自信がない。それこそ君の実力と人柄なら他の冒険者ギルドに引く手あまたじゃないか?」


それに爆乳の美人で……爆乳だし!


そのおっぱいは国宝級の価値があると思うわ。



作者のキキです(。・w・。)


評価形式が変わりました。


面倒かも知れませんが評価・ブクマ・感想・レビュー……とてもモチベーションが上がります!


良ければ読んだついでにして頂けると泣く程、嬉しいです(;ω;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ