クエストに行こう。④
〜30分後 村外れの洞窟〜
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HP7600/8700
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「…よし。回復したな。村に戻って報告しよう」
不死耐性の効果が上がり休憩をとれば短時間で大概の傷は癒えるみたいだ。まぁ失った血は戻らないが…。
…それに狂気耐性で異常状態に強いからあの蜘蛛の攻撃を受けても体が怠い程度で済んでる。
…ただ、聖属性の攻撃を食らえば……うー。考えただけでも恐ろしい。
洞窟を抜け村に戻った。
〜カナ村 広場〜
「…あ。おい!村長呼んでこい」
「どけって。通せよほら…」
沢山の村人達の中から男二人に支えられたジョンさんが歩いてくる。
「…ユウさんでしたね。私は村長のジョンです。妻から話は聞きました…あなたのポーションのお陰で…一命を取り留めたと…ありがとうございます…」
「気にしないでください」
「あの…化け物は……?」
「討伐しました。…ちょっと待ってください」
腰袋からアルカラグモの死骸を出すが死骸を見た村人達は驚愕し狼狽えた。
「もう死んでますので安心してください」
アルカラグモを再び収納する。
「……ああ…。本当に…倒してくれたのか。……ありがとう…ありがとうユウさん!…死んだ村人も浮かばれます。…これは…ポーション代と村のみんなで集めた僅かばかりの謝礼です。受けとって下さい…」
「お気遣い感謝します。…ジェシーちゃんはいますか?」
「おじさん!」
ジェシカさんと一緒に少し離れた位置で立っていた。
「やあ、ジェシーちゃん。…はい人形」
「おっかないくもやつけてくれた?」
「ああ。もう二度とおっかない蜘蛛はでてこないよ」
「ありがとう!……ジェシーねおじさんのえをかいたよ。これおれいになゆ?」
紙にはクレヨンで絵が描かれている。
しわくちゃで色が滲んでいるが心が暖まるお礼だ。
「…ありがとう」
「えへへ」
腰袋に大事にしまう。
「ジョンさん。依頼主のジェシーちゃんから充分な報酬を頂きました。これ以上、受け取れません」
ジョンさんは目を瞑り掠れた声で答える。
「……このご恩は…私も妻も…娘も…村の皆も…一生忘れません。また…是非、村にいらしてください」
「はい。…じゃあ皆さんもお元気で」
「夫と村を救ってくれてありがとうございます…ほらジェシー」
「おじさんまたきてね!」
「わかったよ。…それとお兄さんだからな?」
「うん!おじさん!」
最後までおじさんって呼ばれた…。
村人に見送られ街道へ戻る。
〜15分後 南ベルカ街道〜
転移石碑に向かって歩く。
これで依頼は全部達成。…フィオーネさんの忠告通りGランクの依頼は大変だったが…あんな風に感謝されるってのは嬉しいもんだ。
「なるべくGランクの依頼も受けるようにするか」
ギルドに戻ってクエストの達成報告しないとな。
〜2時間後 カナ村〜
男女の亜人の三人組がジョンの自宅を訪問していた。
「ーーーええ、そうです。ユウさんは鍔広の帽子でマスクで口を覆っていました。長いコートも着られて皆さんが仰る特徴のままですよ」
「ええ。無償で…ポーションを私にくれて…村を救ってくれた……とても優しい方です…ごほっごほ」
「あなた無理しないで」
「んーっとね!じぇしーのねおねがいきいてくれたの!おっかないくもやつけてくれたの!」
「村長とご家族の方々…情報提供に感謝します。では失礼する」
礼を言って家を出る三人。
「入れ違いみたいじゃな」
「…Fランクでアルカラグモを倒すってそいつ何者なのって感じぃ」
「ギルドからの依頼……フィオーネさんからの依頼は達成した。『金翼の若獅子』へ戻るぞ」
「はいはい〜。予定のクエストをキャンセルして愛しのフィオーネさんの依頼達成ねぇー……おめでとぉって感じぃ」
「………」
「やれやれじゃな」




