表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/465

プレゼントを贈ろう!〜第二弾〜①

1月17日 午前7時26分更新



〜扉木の月19日〜


翌日、俺は金翼の若獅子に来ていた。


前よりも色んな人に声を掛けられる頻度が増えたなぁ。…有難いことだけどちょっと大変。


今日はかねてより意中の人達へ製作していたプレゼントを渡そうと思ったのだ。


謝礼も併せナイスタイミング!


早速、キャロルから渡してこっと。



〜午前11時 金翼の若獅子 二階 空中庭園〜



空中庭園に二人っきり。幸い他に誰も居なかった。


「急に呼び出して悪いな」


「いしし!気にすんなって〜。うちとユーの仲じゃんか。…ま、『金獅子』と闘ったとか…冒険者ギルド設立すっとか…初回献上金3億Gを納めなきゃいけないって話を聞いた時には……口から心臓と耳から脳みそが飛びでるぐれー驚いたけどな!!」


「…すまん。色々と成り行きでな」


「心配する身にもなれっつーの。…ユーは秘密が多いんだから用心しなきゃさ〜」


秘密とは俺の出自にまつわる話だろう。


「気を付けるよ。…それで呼び出した理由なんだが」


キャロルにプレゼントの品を渡す。


「箱?」


「開けてみてくれ」


「兎のピアス?…わぁ…きれいじゃん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハッピー・ネフライト

・翡鉱石と重魔鉱石を細工し小さな兎を模して作ったピアス。装備者の魔力に呼応し金運を上昇させる。黒永悠がキャロルへ日頃の感謝の気持ちを込めて製作した特別な贈り物。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ!ふっふっふ…もしやフィオーネに渡すやつの相談かぁ〜?」


「キャロルへのプレゼントだ」


見る見る表情が変わった。


「…え、え…?」


珍しく狼狽してる。


「前に欲しいって言ってたろ」


「…あ、はは…マジでうちに作ってくるとは思ってなかったわー…」


「今回の嘆願書の件も含め普段からキャロルにも世話になってるし誠意を込めて作った自信作だ。…受け取って欲しい」


「せ、誠意ってべつに…。うちはうるさいだけで…フィオーネみたく…美人でもないし…プレゼントを貰うなんて柄じゃないってゆーか…」


「違う。キャロルはキャロルだ。フィオーネと比べても意味はないじゃないか」


「……」


「俺にとって大切な友人で特別な一人なんだ」


「ユー…」


大体、その容姿で卑下する要素は一つもない。


芸能人風に例えるとフィオーネは女優でキャロルはアイドルって感じ。


綺麗系と可愛い系みたいな違いだ。それに滑らかな褐色肌は健康的なエロスを…ってごほん!ごほん!


「…あのさぁ…」


「?」


「…そんなん言われたら…()()()()()()に満足できねーじゃんか……」


切なそうな表情で呟く。…急にどうしたんだろう。


「立ち位置?満足?」


返事はなく口を結び顔を伏せてしまった。


ややあって顔を上げる。


「……いししし!気にすんな!」


見慣れた笑顔だ。


「…もしかして迷惑だったか?」


「バカ。…はぁ…ユーは女心を勉強して欲しいわー…そのうち背中を包丁で刺すぞ〜」


「え、えぇ」


突然の殺害予告!?


「痛っ…ひさっびさに外したな〜」


右耳のピアスを外した。


代わりにハッピー・ネフライトを着ける。


「おぉ!」


派手なデザインじゃないけど良質な鉱石を元に作ってるので市販品とは光沢が一味も二味も違う。


小さな兎の形にするのは骨が折れたが……うんうん!


大満足の出来栄えだ。


「どーよ?」


「よく似合ってるよ。素敵だ」


「…へへ…ユー…すっげー嬉しいよ!」


とびっきりの笑顔が見れて俺も嬉しい!


「良かった。作った甲斐があったよ」


「…でさ…お願いなんだけどちょっと屈んで」


言われた通りに屈む。


「こうか?」


「ん」


「!?」


互いの鼻と鼻が触れ合う。キャロルの息遣いを感じ心臓の音が激しくなった。


びっくりして息を止め声も出せない。


「…よしっと」


「キャ、キャロル。今のは……?」


数秒の出来事がとても長く感じた。


兎人族(エーバー)の女は……あはは!大切な(ひと)に鼻を合わせて感謝の気持ちを伝えんの」


「……そうなのか。知らなかった」


素晴らしいスキンシップの習慣だぜ。


「…うちも()()()に参加するって…遠慮はしねーって決めたから!ユーも覚悟しとけよな!!」


兎耳を揺らしながら快活に笑う。


「お、おー」


争奪戦って言われても…。


うーむ。誰と何を競ってんだろう。


ま、いっか。上機嫌なんだし。


仕事に戻っていくキャロルを見送った。


さてと……次はエリザベートとルウラにベアトリクスさんだな。


ベアトリクスさんの分は追加製作したのだ。


今回の件でずいぶん世話になったしね。


三人を探して完成した武器とプレゼントを渡しに行こう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ