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ギルドへ行こう。②



〜30分後 北ベルカ街道〜


四人で街道を進む。緩やかな道が続いていた。


…それとボッツさんに聞いて一つ分かった事がある。


この先にある転移石碑テレポーターとは転移石碑から転移石碑へ一瞬で転移する『魔導回廊』と呼ばれる移動手段らしい。…便利な物があるもんだ。


今、困ってるのは…。


「ユウさんってヒューム?」


「ん、ああ」


「歳はいくつなの?」


「30歳だ」


「ふーん……結構、年上なんだね!出身は?」


「田舎」


「もー!田舎じゃわかんないよ〜」


「なぁなぁ!ユーさんのアイテムパックって錬金術師に作って貰ったん?」


「恩人から貰ったんだ」


「…ウェンディゴ・変異種が収納できるアイテムパックをあげるって……そいつ何者?」


「凄い人さ」


「そういえばユーさんが使ってた武器ってあれ銃だよな。銃って強くなくない?普通の銃と違うっしょ」


「……ああ」


「じゃあさじゃあさ〜…あの剣は?戦鎚みたいなのも使ってたよな?」


…質問攻めにあってる事だ。


「お前ら…あまりユウさんを困らせるなよ」


「だって気になるんだもん」


「…すみません。まだ二人は子供で好奇心旺盛なんですよ」


「あ、大丈夫です」


「子供扱いすんなよな!俺はもう14だぞ」


「わたしだって15だし子供じゃないよ!」


子供じゃん。


「だいたいボッツだってまだ22歳じゃん」


え、22歳…?てっきり同い年だと思ってたのに。


「いいから集中しろ。転移石碑はまだ先だぞ」


その時、マップに変化が起きた。後方から赤いマークが二つ迫ってくる。


「…モンスターだ」


「え、どこに」


メアリーの背後から小さい猪に似たモンスターが突進してきた。


ーープギィィ!

ーープギィィ!


「しゃがめ!」


咄嗟にメアリーがしゃがむ。


大太刀を抜刀し二匹を真横に斬り払った。


街道に転がる死骸。


「大丈夫か?」


「う、うん…」


驚いたメアリーは目をぱちくりさせている。


さて死骸を回収、と。


「…ボッツさ。今、モンスターの気配に気づいた?」


「いや…」


こいつ何者だよ……みたいな顔やめて。



〜30分後 転移石碑前〜



「あー!やっと着いたぜ」


「ユウさん。あれが転移石碑です」


「へぇ」


小さな石塔だった。文字が彫られている。


ーー北ベルカ街道⇄首都ベルカ付近ーー


「これってどう使うの?」


「触れてMPを消費するだけですよ。本当に知らなかったんですね…」


「うん」


「先行くぜ」


「では」


ラッシュとボッツさんが石碑に触れ消える。


おぉ…すごい。俺も試してみるか。


「あ、あの!」


メアリーに呼び止められた。


「ん。どうかした?」


「さ、さっきのお礼…言えてなかったので。ありがとうございました」


「ああ。気にしないでくれ」


「でも、うん…ちょっと。あの…か、カッコよかっ……あーー!!先行きますね!」


忙しなく耳を動かし顔が赤い。そう言い残すと石碑に触れて行ってしまった。


取り敢えず俺も石碑に触れMPを消費してみる。


景色が一瞬で変わった。林の中で三人が待っている。


「待たせたな」


「いえ。それにもう直ぐですよ」


「へへ。田舎者のユーさんがベルカを見たら腰抜かすかもよ〜?」


「ラッシュ!失礼だよ」


「…失礼ってお前もそんなん気にしねーじゃん」


林を抜け丘にでる。


「これが…」


「はい。あれがミトルゥー連邦の首都ベルカ。人口2000万人を超える大規模な都市です」


丘から見渡すベルカはとても大きい円状都市だ。大きな建物を中心に区間で別れているのが分かる。


遥か遠くに船が停泊しているし海も近いのだろうか。


「中央の建物が見えるでしょ?あれがギルド『金翼の若獅子(ゴルド・レーベ)』だよ!」


「…あれが冒険者ギルドの総本部、か」


ようやくスタートラインに到着だ。


「あんま驚いてなくね?」


「充分、驚いてるさ」


確かに巨大都市だが日本の東京に住んでたからなぁ。

見慣れないモンスターや植物よりは安心する。


それでも人口2000万人…大都市には違いない。


「では北門の出入国管理所まで行きましょう」


「ああ」


出入国管理所まで歩く。



〜首都ベルカ 北門 出入国管理所〜



管理所には鎧を装備し竜を模した兜を被った騎士が何人もいる。


厳重に警備している雰囲気が伝わってくる。


「……何か?」


「い、いえ」


見てたら声掛けられた。怖ぇ…。


「俺達はギルドカードを見せるだけなので直ぐ終わりますが…初めて入国や入都するなら身分証明証の提出と審査があります。…身分証明証はありますよね?」


「もちろん」


偽造だけどな!!


「じゃあ、カウンターで受付してきてください。待合人は居ませんし直ぐに呼ばれますよ。俺達は外で待ってます」


ボッツに言われた通り受付で身分証明証のカードを出すと直ぐに隣の部屋に呼ばれた。


「どうぞ。お掛け下さい」


山羊の角が生え眼鏡を掛けた少しきつい感じがする美人なお姉さんが豪華なソファーに座っている。


横には厳つい騎士の男性が一人立っていた。


「はい」


「この度、貴方の入国審査を担当するミトゥルー連邦第三騎士団『ドラッヘ』所属…一等入国審問官シー・パルジャミンです。もう一人は補佐官のダーバンよ」


「よろしくお願いします」


第三騎士団…竜…治安維持組織って警察みたいだ。


「氏名は…クロナガ…ユー…黒永悠さん、ですか。珍しいお名前ね」


「ええ、まあ」


発音が良い。


「身分証明証を確認させて頂きました。ロスリット国キルラ州の辺境にあるサハラ村出身で…種族はヒューム…紛争地域にいらしたんですね。首都ベルカに来た目的を教えて頂けますか?」


紛争地域出身って俺も初耳です。


「冒険者ギルドに登録して仕事するのが目的です」


「そうですか。年齢は?」


「30歳です」


「……30歳で冒険者ギルドへ登録ですか。今までお仕事は何をされてました?」


「…森で害獣駆除してました」


嘘じゃない。神樹の森でいっぱい倒したもん。


「なら武器も所持していますね。全部、拝見させて頂きます。点検台にお出し下さい」


「はい」


金剛鞘の大太刀に…リッタァブレイカーとケーロンの魔銃っと。


大太刀は台からはみ出してしまった。


「…これは……この二つはギミックウェポンですか。これは銃…?」


「はい」


シーさんも補佐官のターバンさんも驚いた様子で武器を眺めていた。


「……珍しい武器を扱うのですね。もう仕舞われて結構ですよ」


…何か言いたそうな顔だ。嫌な汗が背中を伝う。


「…審査は以上。入国を許可します。最後になりますが長期滞在・移住がご希望なら入国後の住民登録を必ずして下さい。住民登録がされないまま15日間過ぎた場合はミトゥルー憲法第14条違反で不法入国者と見做し刑罰を執行します」


「はい。了解です」


「では受付で身分証明証を御受け取り下さい」


やったー!!モーガンさんありがとぉ!!


スキップしたい衝動を抑え退室した。



〜退室後〜



「…キルラ州出身であの武器…彼奴を入国させて良かったのですか?」


「前科もなく違法魔導具(アビスアイテム)と違法素材の探知魔導具も反応はありません。入国を認めない訳にはいかないでしょう」


ターバンの言葉に眼鏡を拭きながらシーが答える。


「サーチは?」


「…ステータスに制限が掛かっていたわ。…悪人には見えないが何か引っ掛かる。暫くは動向を監視する様に他の第三騎士団の部隊にも報告して下さい」


「はっ!」


「黒永悠…覚えておきましょう」


予期せぬマークをかけられる悠だった。



〜首都ベルカ 中央区画メインストリート



「…凄い人だ」


人間も見掛けるが圧倒的に亜人の方が多い。例えるなら人種の坩堝だ。とても賑わい活気に満ちている。


正確に並ぶ店々や建物は映え大都市の名に恥じない。


「ビックリするっしょ。俺も村から上京した時は祭りでもしてんのかって思ったし」


「あはは。わたしとラッシュは迷子になってボッツから助けてもらったもんね」


「二人は元々、知り合いなのか?」


「東にあるマテ村っつー平凡な田舎村の出身だよ。俺とこいつは姉弟だよ」


「そうだったのか」


「馬鹿の弟が生意気でごめんなさい」


「バカはテメーだろ!デブ乳女」


「みっともないからやめなさい。…入国審査はどうでした?」


「シーって審問官から色々と聞かれたよ」


「あの姉ちゃん怖いよな。閲覧系のスキル持ちって噂だし」


「…わたしも苦手。見透かれてるみたいで」


閲覧系スキルの保持者は警戒されるってモーガンさんも言ってたっけ。


「仕方ないさ。シー・パルジャミンは騎士団でもかなりの実力者で犯罪者の検挙率も高い。彼女に目をつけられると厄介だからな」


「あ!着いたよ」


「ここが…『金翼の若獅子』」


広場を歩き中央の建物へ向かう。金色の翼が生えた獅子のエンブレムが陽の光に反射し輝いていた。




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― 新着の感想 ―
[一言] 先に書かれてる方もいますが、魔物が徘徊する世界で2000万人の都市ってスゴいですね、東京都の2倍強、ニューヨークの2.5倍弱です。 何百kmの外周外壁なんでしょうか。 このクラスが首都となる…
[気になる点] 一つの都市で人囗二〇〇〇万人は多すぎじゃ ないですか?それだと東京より多くなりますよ。
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