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これが黒永悠。終



〜夕方18時30分 マイハウス 庭〜


喫煙をしながら庭の畑をアルマと一緒に眺める。


「あの子たちにも事情を話したってわけね」


「ああ」


「ふーん…まぁ〜いいんじゃない。あんたの話を信じてくれたんでしょ?」


「まあな」


約一時間前。


広場で五人にパルキゲニアに自分が召喚された経緯と過去を全て説明する。途中、ラウラのフォローもありスムーズに話を進める事が出来たのが幸いだった。


皆、驚くほど呆気なく信じてくれた。


フィオーネ曰く…。


『…予想と常識を遥かに超えた内容ですが…当初から悠さんの言動や行動は不可解な点が多かった。異国に来た迷子と言いますか…だから納得です』


…との弁だ。


他の四人も地球に興味を持ったのか根掘り葉掘り質問責めにされる。


思わず怪しいと思わないのかと聞く。


『嘘をついてまで騙す理由がねーだろ』


…とモミジが答えた。まぁその通りだけど。


逆に話すのが遅いと責められたが何一つ変わらず接してくれたのは嬉しかった。


肩の荷が下りた気がする。


その後、帰宅し夕飯の準備を終えて一服がてらアルマに今日の出来事を説明してたって感じだ。


「もっと騒がれると思ってたけどな」


…思い返せばアイヴィーもルウラも…ラウラとエリザベートもすんなり受け入れてくれたっけ。


宇宙人みたいな存在なのに世界観の違いだろうか。


「悠が異質ってのを本能で察してるのかもね」


「異質?」


「例えるとネコの真似をしてる犬かしら?…あ、こいつ違う…って心の奥底で感じてると思うわ。感覚の問題だから言葉で伝えるのは難しいけど」


「ふぅーん」


「くふふふ。ある意味でどんな生物より希少ね。…異次元の知的生命体って感じ?」


未知との邂逅ってか。


ユウハトモダチ。ミンナトモダチ。


「郷に入れば郷に従え。慣れてくしかないさ」


地球には帰れない。帰りたいって感情も湧かない。


「……それとアイヴィーが馬鹿にされたそうね。あの子はわたしの愛弟子よ。あの子への侮辱はわたしの侮辱でもあるわ。……たかだが人の解釈で少し強い程度の雑魚共が生意気ね」


「大丈夫だ。俺がこらしめたよ」


「四肢を切断して傷口を焼き酒樽に浸して放置する位はしたんでしょうね?」


「お、お前は鬼か」


そこまで猟奇的にはなれんわい。


「…それより腹が減ったな…アイヴィーとキューも待ってるしご飯を食べよう」


「にゃふふ!待ってたわ〜」


二又の尻尾を大きく揺らす。


明日からまた忙しくなるが俺の気分は晴れやかだ。


今日は食って飲んでたっぷり英気を養おう。



〜1時間前 金翼の若獅子 治療施設〜



簡易ベッドに横たわるドグウにタチヅキが問う。


「容体は?」


「……倦怠感が酷いですが傷は大丈夫です。副指揮官…すみません。指令を果たせなかった挙句…手加減された…これでは『月霜の狼』の恥。この度の責任は私が…」


「大丈夫だ。責任追及されるべきは姉と僕だからな。君達は従っただけ。……彼の実力を完全に見誤ってたよ。気にせずゆっくり休め」


「…すぅー…すぅー…」


「…正直、人と戦った気がしませんでした…奴は怪物です。私も…サラも…全く敵わなかった」


隣で眠るサラを見て呟く。


「……黒永悠、か」


タチヅキは目を閉じる。


…嵐の予感とでも言うべきか。


幼少の頃より彼女を知る自分には分かる。


トモエ姫は彼を手に入れる為に暴走するだろう。


そこに善悪は無い。あるのは純粋な欲と渇望。


故に災害みたいなものだ。


あの男がどう足掻くのか。幾ら契約者で強くとも単純な強さだけではどうにもならない世界がある。


飲まれるか否か…。


そんな事を考えながら窓の外を眺める。


「あれは…」


噂をすればなんとやら。


広場に居たのは黒永悠だった。


「あの面子で一体、何を」


動向を盗み見したが突如、ルウラが此方を振り向く。


「!」


慌てて身を引いた。


「…この距離で気配に気付くとは」


舞獅子が警戒する程、重要な話をしている。そう解釈したタチヅキは悠への関心を深めたのであった。


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