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キューの成長!②



〜 金翼の若獅子 一階フロア 受付カウンター 〜


時刻は午後13時。


セダイ村から戻り報告を済ませた。フィオーネからギルドカードを受け取る。


「Gランク依頼達成を確認しました。カードをお返しします」


ーーーーーーーーーーーーーー

冒険者ギルド

ランク:AAA

ギルド:なし

ランカー:なし

GP:9200

クエスト達成数:50

ーーーーーーーーーーーーーー


「ありがとう」


「ふふ」


「どうした?」


「…昨日、悠さんに憧れて冒険者ギルドに登録に来た方々が居たんですよ。わざわざ『浮遊都市ノーザングリッド』から『金翼の若獅子』があるベルカに上京したそうです」


浮遊都市ノーザングリッド…。一度、観光に行ってみたい。


「物好きな連中だな」


「悠さんの活躍の噂はどんどん広まってます。憧れを抱くのも至極、当然ですよ」


「へぇー」


「登録して僅か二ヶ月程度でSランク昇格依頼を受けられる冒険者と仕事ができて私も誇らしいです」


Sランク昇格依頼、ねぇ…。


「…あれって何とかならないのか?」


掲示板の広告を一瞥して言った。


「そんな顔をしちゃ駄目ですよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・創世4550年 百合木の月24日


・冒険者ギルド Sランク昇格依頼受注者

・無所属登録者 氏名『黒永悠 』


・Sランク昇格依頼実技試験 会場

開始時刻 14:00 金翼の若獅子 演習場

(一般観客席及び関係者席建設中)


・概要

①既存Sランク冒険者との実践形式による模擬戦闘。

②危機的状況に対する対応及び戦闘力の審査。

③合否は試験後に発表。

④その他、留意事項は冒険者ギルド法参照。


・総合審査官 金翼の若獅子


①ランカー序列第6位 『荊の剣聖』

ベアトリクス・メリドー


②ランカー序列第7位 『灰獅子』

ラウラ・レオンハート


③ランカー序列第9位 『貪慾王』

ユーリニス・ド・イスカリオテ


・実技担当試験官 金翼の若獅子


①ランカー序列第19位 『風切鋏かざきりばさみ

ゲンノスケ・イカリ


②ランカー序列第22位 『ケイドムの堅者』

ダン・マッカトニー


③ランカー序列第24位 『鋸蜘蛛のこぐも

リシュリー・スヴェイ


④ランカー序列第25位 『だいだいの魔砲使い』

ツヴァイ・V・フォーベッタ


⑤ランカー序列第26位『鉄剣』

ジム・サーファンクル


⑥ランカー序列第29位 『切り裂き魔』

ネイサン・キルシュテン


⑦ランカー序列第31位 『エルセロの闘猫』

ミミ・ブリティッシュヘア


・実技担当試験官 月霜の狼(特別参加)


①ランカー序列第12位 『重狼じゅうろう

ドグウ・フジバハマ


②ランカー序列第17位 『群狼ぐんろう

ナミ・サラカゲ


…以上、上記九名が実技試験に参加。


・注意事項。

当日は混雑が予想されます。誘導するギルド職員の指示に従い行動する様にお願い申し上げます。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昨日ラウラに再度、説明を受けたが……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『ラウラさんラウラさん。この広告…』


『見たんだね。今日から掲示してるよ」


『人数が増えてるんですが』


『ああ…。急遽、ルツギ指揮官からどうしてもって凄い剣幕で頼まれてね。ルウラが二つ返事で了承しちゃって…エリザベートも問題ないだろって。…事後承諾でごめん』


『おうふ』


『ルウラもエリザベートも僕も…悠なら問題ないって魔力探知マギディテクトで確信してる』


『…さいですか』


『実技試験の総合審査は僕もするし不正は許さない。普段通りで構わないからね』


『そもそも何で複数のSランクメンバーとの戦闘試験なんだ?』


『Sランク冒険者に必要とされるのは人外的な強さだ。一人で軍隊と渡り合い…弩級のモンスターを討伐し…超高額賞金首を仕留める。そんな実力が求められる。人々の希望であり冒険者ギルドの象徴でなくちゃならない。…金翼の若獅子が総本部である理由の一つはSランクメンバーとSSランクメンバーが合わせて四十人以上も在籍してるからさ』


『ふむふむ』


『それに実技試験の原則はこの方式がスタンダードなんだ。そもそもS()()()()()()()()()()()()……その顔は興味ないでしょ?』


『まぁ、そんなに』


『正直だなぁ。…話が逸れたね。つまり複数名のSランクメンバーとの戦闘は君の実力と気概を示し認めさせる場だ。危機的状況にも屈しないとね。…異世界の…地球から来た悠には疑問に思う節はあると思うけど』


『…うーん』


最初はなから無理難題を突き付けてるが…重要なのは勝ち敗けより…さっきも言ったけど()()()()()()()()()()。まぁ、勝てば文句無しで依頼達成さ』


『要するに勝つか善戦しろってことか』


『そうだね。…ふふふ!過去最高に盛り上がる昇格依頼になるよ。掲示したばかりなのに関係者席の予約が殺到して全部、埋まっちゃったし。アイヴィーも観に来るのかな?』


『ああ。…絶対、行くって息巻いてたよ』


『そうか。君の身内の席は優先的に確保してるから』


『ありがとう。……もう緊張してきた…』


『あはは。悠も人の子だったんだね』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……ってな感じだった。注目されるのは好きじゃないんだけどな〜。


「当日は私も応援に行きます。…こ、こほん!じ、実はですね…」


指をつんつんさせてちらっと俺を見る。


「…さ、最近、私と悠さんが…付き合ってるって…職員の間で…う、噂になってて……応援に行ってこいって…他の子がシフトを交換してくれたんですよ」


「俺とフィオーネが?」


「は、はい。…凄く嬉し」


「ごめんな。勘違いされて迷惑だったろ。はっきり違うって言ってくれて良いからな」


「……」


今度は憮然とした表情で俺を見詰める。


「ど、どうした?」


「…鈍感です。…もう鈍感過ぎて困ります…」


呆れ顔で溜息を吐く。


「やっぱり…もっと大胆にアピールしなきゃ…」


「アピール?」


「…いえ、気にしないで下さい。何にせよ私も応援しますから頑張って下さいね」


「おう」


女ってよく分からん…。報告は済んだし二階で依頼がないかキャロルにも確認しにいこう。



〜 金翼の若獅子 二階フロア 受付カウンター 〜



「んー…。受注済みばっかだわ。ごめんな」


「いいんだ。ありがとう」


依頼はなしか。


昼飯を食って予定より早いが巌窟亭に行くとするか。


「ユーのおかげで月霜の連中ってば借りたネコみてぇに大人しくなって助かったぜ〜。サンキューな」


頬杖をついて笑う。


「成り行きだよ」


「またまたぁ〜!謙遜すんなよ〜」


この明るさと懐っこさがキャロルの最大の魅力だな。


…そういえば前にプレゼントをせがまれたっけ。


良い機会だ。他に世話になってる人達も含めプレゼント企画第二弾いっちゃうか。


「……」


「どーしたん?…いしし!キャロルちゃんがカワイイからって発情したか〜」


「……」


「おい、なんか言えよ〜」


「……」


「ちょっ…マジで…な、なんだよ」


頰を少し朱に染め慌てるキャロル。


「ん、ああ。悪い」


片耳に付けたピアス…よし!決まった。


「急に真顔で凝視っすからビックリしたじゃん」


「ちょっと考えごとさ」


「ふーん」


プレゼントを渡したらどんな顔をするか楽しみだぜ。


「そーだ!話は変わっけど今度のSランク昇格依頼はうちも応援にいくからな」


「おう。頑張るよ。…仕事の邪魔して悪かったな。昼飯を食べてくる」


「気にすんなって。またなぁ〜」


二階にあるカフェ『4C(フォーシィ)』で軽食を注文した。



〜10分後 金翼の若獅子 二階 空中庭園〜



「いい天気だ」


テイクアウトした芳醇クラブハウスサンドを食べる。


焦げ目のついたパンにミートバードと呼ばれる鳥の腿肉のローストチキン・レタス・トマトを挟んだサンドイッチ。チキンの芳ばしい皮の焼けた香味にソースの甘酢マヨネーズが合う。


挟んだ野菜のお陰でくどくないのが良い。美味い。


「ユウさーん!」


「ん。メアリーじゃないか」


「こんにちわ!キャロルが庭園にユウさんがいるって言ってたから」


耳を動かして駆け寄ってきた。子犬みたいで可愛い。


「そっか。ボッツとラッシュは?」


「いま来るよ。それに…」


「ユッウどのぉ〜!」


アルバートだ。


太陽の光が頭部に反射して眩しい。


「『三又矛』の三人も一緒なんだ」


「うっす」


「ほっほっほ。久しぶりじゃの」


「ユウっち元気ぃ?」


「食事中にすみません」


一気に賑やかになった。



〜数分後〜



「ーーーへぇ。六人でクエストに行ってたのか」


「ええ。AランクのPTと一緒に依頼に行く機会なんて滅多にないですし勉強になりました」


「ほっほっほっ」


「あ、ユウ殿!Sランク昇格依頼を愚生は楽しみにしてますぞ。…興奮で夜も眠れませぬぅ!!」


「あー…ちゃんと寝ろよ」


「勇姿を一瞬も見逃さぬよう瞬き一つしません。網膜と脳裏に焼き付けなくては!」


目が乾くぞ。


「…アルバートったら昨日からそればっかって感じぃ。聞き飽きたからちょっち黙ってくれる?」


イージィが鬱陶しそうにアルバートを睨む。


「言っても無駄じゃろ。…してもSランクメンバー九人との実技試験か。過去最高難易度の試験内容じゃぞい。無理はせんことじゃ」


「うん。とにかく頑張ってみるよ」


「注目されてんよなぁ〜。あと『月霜の狼』と揉めたときローグとマーロを助けたって聞いたぜ?」


「まあな」


「二人に昨日、たまたま会ったけど……急に謝られてびっくりしちゃったもん!」


俺の言ったことを忘れちゃいないみたいだ。


感心、感心。


「…ユウさんはトラブルに巻き込まれ易いですよね。あはは。そーゆー星の下に生まれたんでしょうか」


トラブル、か。言われてみれば確かにそうだ。


「仕方ないさ。俺がお節介なだけだ」


「『月霜の狼』…ふむ。そう云えば先日、愚生のもとに親衛隊の隊員が来てユウ殿について質問されましたぞ」


「俺のこと?」


「ええ。活躍や知り合った経緯を自慢した次第です」


…自慢にならねーだろそれ。


「…他の者にも聞いていましたが良からぬ事を企んでるのかも。一応、お気を付けくだされ」


「ふぅーん。わかった」


六人と談笑して昼を過ごした。


そろそろ良い時間だし巌窟亭に行くか。



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