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雨は上がり陽は昇る。終



〜マイハウス リビング〜


リビングに戻るとラウラの膝上にアルマが座っていた。


「ぷりてぃ」


「大人しくて可愛い猫だね。二又の尻尾なんて滅多に見ないけど」


…大人しい?喋ってないのか。


「にゃあ〜」


くいくいっとアイヴィーが袖を引っ張っる。


「…あのね。アルマ師匠がいちいち説明するのが面倒だから黙ってろって」


「わかった」


こしょこしょと耳元で囁く。猫を被るってのは正にこの事だ。


「どうしたのだアイヴィー嬢。内緒話か?」


「ううん。悠にお腹空いたって言っただけ」


さらっとしらを切った。


「ふふん。そうか」


「機嫌が良さそうだね。悠と何の話をしてきたんだい?」


「聞きたいか?寝室で悠と」


「あ、ああー!!ご、ご飯…ご飯の準備をしなきゃ」


「う、うん」


ラウラは俺の慌てようにきょとんとした。


「…くくくっ。龍の卵を拝見してたのさ」


ちらっと俺を一瞥し微笑して答える。仕方ないから内緒にしてやる…って見えたのは俺だけだろうか。


エリザベートは誤解を招く言い方をしそうだし頼むから黙っててくれ。


釈明するのが大変そうだ。


「それならエリザベートの専門分野だね」


「ああ。それにキューはーー」


ほっ…キルカの卵の話題にすり替わったみたいだ。


ーーー…お腹減ったわ。…はやくご飯…ご飯を食べたい!食べさせないと暴れるわよ!


古代語を使った器用なアルマの催促。


…そう言えばアルマって男に体を触られるの嫌いじゃないっけ?前にラッシュが触ろうとして引っ掻いてた気がしたが………ま、いっか。


夕飯を準備してこよっと。



〜40分後 マイハウス リビング〜



「ふぅ〜!!でりしゃす!」


「…もぐもぐ…ごくん。喋りながら食べないで」


「クリスピーの生地とチーズ…何より秀逸なのはトッピングされた野菜の旨さだ。…トマト…芋…ナス…どれも普段食べてる物とは段違いだぞ。吾の舌を唸らせる料理ではないか!」


「美味しいね」


ーーー…がつがつがつがつがつがつがつがつ!


ーー…きゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷ!


「ふっふっふ」


今日の夕飯はピザだ。


()()()()じゃなく()()、な。


この違いは俺の中でかなり重要。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

祟られ野菜の激旨ピザ

・クリスピーな生地に濃厚なチーズと悠の野菜畑で収穫した野菜をのせ竃でじっくり焼きあげた料理。野菜の栄養と旨味がチーズと合わさり大変、美味。野菜嫌いな老若男女も食べれる絶品。

HP +6000(2時間)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…あの野菜は祟られてるらしい。


ミコトの影響で間違いないが栄養は豊富で美味い!


野菜がメインのピザってのも悪くないな。


調理が簡単なのもいい。


「…がーるがえぶりでぃ…ゆーの料理を食べてるのが羨ましい。ルウラもほーむすてぃする。今日からわたしのまいほーむはここ」


「ゴーホーム」


ルウラの一言に間髪入れず冷たくアイヴィーが返す。


「くーるながーるにルウラをお姉さんと呼ぶのを許可しよう。せいほー」


「口が裂けても言わないから」


…見た感じ良いコンビなんだがなぁ。


「料理は習ったのかい?」


「まあな。一人暮らしも長かったしちょっと得意なんだ」


「ちょっと、か。鍛治や錬成…その上、料理も得意で戦闘も強い。悠は何でもできるね」


「ラウラの方が凄いだろ。若いのに冒険者ギルド総本部を運営してるんだぞ。…俺の力や技術の大半はミコトのお陰だ。感謝しても仕切れない」


頼りになる相棒だぜ。


「それだけじゃないと思うな」


ラウラが微笑む。そして俯いた。


「ねぇ…その…暇な時はまた遊びに来てもいいかい?…仕事で忙しくて中々、来れないと思うし迷惑じゃなかったらでいいから…」


「友達だろ。いつだって来たらいいさ」


「…うん!」


色々と世話になってるんだ。事情も知ってるし拒否する理由がない。


そもそも男同士なのに遠慮し過ぎだよラウラは。


「当然、吾も良いな?何せ悠はむ」


「も、勿論だぞ!…き、決まってるじゃないか」


「くくく」


弱みを握られた気がしてならない。


…しかし、美男美女に囲まれ俺の生活は地球にいた時より確実に水準が上がってる。


「ルウラは住むからのーぷろぐれむ」


「悠。塩はキッチンのどこにある?投げるから」


「へいへ〜い。仲良くしようぜがーる」


「…引っ付かないで」


ーーーけぷ。…ふぅ〜ん。悠ってばラウラって子の性別に気付いてないのかしら……いひひ!今後、面白くなりそーね。黙ってよ〜っと。


ーーきゅぷぅー…。



〜夜 21時 マイハウス 庭〜



「…遅くまでお邪魔しちゃったね。美味しい夕食と楽しい時間をありがとう」


「気にすんな。いつでも来いよ」


「ルウラは泊まるぅぅ」


「ゴーホーム!ゴーホーム!」


アイヴィーの投げる塩をルウラが鮮やかなステップで躱す。…む、無駄に見応えあるやり取りだな。


「ルウラよ。余りアイヴィー嬢を困らせるな」


賑やかな三人から離れラウラが俺に詰め寄った。


「…あのね悠。…僕も君に内緒にしてることがあって…」


「内緒?」


「うん。実は…えっと」


珍しく歯切れが悪い。言うか言うまいか悩んでいる様子だな。


…ふむ。


「雨、止んだな」


「え…あ、そうだね」


雲が晴れ夜空に輝く星がよく見える。


「雨は上がり陽は昇る。止まない雨はない。…きっと今、抱えてる問題も同じさ」


「……」


「この場で無理に言わなくていいじゃないか。…ラウラのタイミングで構わない。俺は待ってるよ」


「…ふふふ。悠には敵わないな」


満面の笑みだ。


「落ち着いたら僕からちゃんと伝えるね。…びっくりすると思うけど楽しみにしてて欲しい」


「おう」


三人を見送り家に入る。


明日はレイミーさんとの約束と巌窟亭に行く予定。


手ぶらじゃなんだし孤児院にお菓子やピザを持っていくか。早速、準備しよう。



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