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お宝をもらう。〜龍神の水郷〜②


〜30分後 王の遺跡 財宝の間〜


「うーむ」


財宝を物色するが手頃な物が見つからない。


「あ!この王冠はどうじゃ。綺麗であろう。金剛と白金の鉱石で出来とるみたいじゃぞ〜」


ーーこっちの宝箱はどうかしら?中には金塊が詰まってるわ。東の海で船を襲い手に入れた品よ。


ーー…武器もあるぞ。この大剣はお前に似合うと思う。…確か覇剣ガラドールだったか。魔窟の支配者が所持していた武器だ。


「全部却下。もうちょっと吟味させてくれ」


「えぇ〜…もう良いじゃろ。適当に全部持ってけば」


はやくもアジ・ダハーカは飽きていた。


「中流に船を失えば一瓢も千金って言葉がある。詰まらない物も価値に成り得るって意味の諺だ。…沢山の財宝を貰っても俺には分不相応。身の丈にあった物が良いんだよ」


ーー…ほう。深いな。


ーー哲学ね。


そんな感じで探しているとオルカとオルタが口に物を咥えて俺の下に来た。


ーーピュイ!


ーーピュイピュピュイ。


「おー。何か持って来てくれたのか。ありがとな。どれどれ…」


見窄らしい箱と銀色に発行する液体が入った小瓶。箱には小さな朽ちた苗が入っていた。


「なんじゃそれ」


ーーうろ覚えですが箱は北の地の巨人族の長が持ってた物だと。…ねぇあなた?


ーー…はい。後生大事に祭壇に祀っていた記憶があります。当時、愚かな蛮族共が竜を神に捧げる贄にしてると聞いて滅ぼした際の戦利品です。…小瓶は名もない魔窟に野晒しにされた人の遺体から見つけた物でした。


…なーんか気になるから鑑定してみよっと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

甘熟ツリーの苗

・あらゆる果物が育つ不思議な果樹の苗。どんな果物が実を成すか予測は不可能。収穫すると気候・地域に左右されず別の果物がまた実る。育てるには肥沃な土壌が必要。成木すると世話をしなくても枯れない。どの果物も非常に糖度が高く美味。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おぉっ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オブタニウム

・人飼いと悪名高い錬金術師ジェフリー・オブタニウムが錬成した液体金属合金。硬度が非常に高く液体なのでどんな形にも変化する万能金属。


彼は晩年、人を材料にした禁忌の実験に取り憑かれる。彼が求めたのは富や名声ではなく成果だけであった。その果てに人知れず彼は消えてしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おぉーっ!…いいじゃんこれ。


甘熟ツリーの苗は庭に植えて育てれば果物食い放題たしオブタニウムは鍛治で使える。


「これを貰うよ」


アジ・ダハーカが怪訝そうに見る。


「…んんー。果物が成る苗と金属の液体とな。宝には程遠いではないか」


鑑定したのか。


ーー…そんな物で良いのか?


ーーええ。こっちの宝の方が良さそうだけど…。


「これこそ宝だよ。オルカもオルタも偉いぞ」


二匹の頭を撫でる。


ーーピュピュ〜イ。


ーーピュイピュイ!


「どっから持って来たんだろ…。案内してくれるか?」


ーーピュ〜イ。


付いて来いとオルカとオルタが前をとことこ走った。


〜数分後 王の遺跡 呪物の間〜


ーーピュ〜。


山積みにされた魔導具や本等の不思議アイテムで溢れた部屋の一角に案内された。


「おおお!すっげぇ!」


思わず目が輝く。片っ端から鑑定していこっと!


「…えーっと…この壺は入れた素材を同価値の別の素材アイテムに変える…ふむふむ。こっちのランタンは幽霊系のモンスターを退ける退魔の光を放つ…ほほぉー」


「かかか!まるで水を得た魚じゃな。先程とは打って違い喜んでおる」


ーー…骨董品にしか見えませんが悠が喜んでくれて何よりです。


ーーええ。坊やたちのお陰よ。


ーーピュイピュイ!


ーーピュ〜。


〜2時間後〜


「ーーよし!」


鑑定を終え思案した結果、幾つかの品を頂戴する事にした。中には危険な呪物や魔導具も多くあったので全部、持って帰る訳にはいかない。


「ふあ〜あ…漸くか。妾は腹が空いたぞ」


ーー…子供達も寝てしまったな。


ーーふふふ。一緒に漁ってたから疲れたのよ。


「待たせて悪かった。いやぁ〜…目移りしてさ。やっと決まったよ」


「その品々は…」


「ああ。良いだろ?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

四海文書しかいもんじょ

・遥か昔、四つの海を越え新天地に至った魔法使いが所持していた古き魔導書。魔法の威力及び所時者の適正属性の属性攻撃力を上昇させる。


魔法使いは新天地で先住民の指導者となった。その魔導の教えは深く先住民に根付いている。独裁者となった魔法使いの恐怖の象徴として…。


必要戦闘パラメーター

魔力500

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カトブレパスの腕輪

・魔獣カトブレパスの爪を加工した赤い腕輪。装備者の物理攻撃力を上昇させ異常状態『瀕死』の効果を付与する。どんな者の腕にも装備できる伸縮性を持つ不思議な加工が成されている。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

飢餓竜の腰袋

・飢餓竜スカルツィの胃袋を加工した魔導具。物量と質量を無視して中に入れた物を溶かし肥料を生み出す。生物を入れる事は不可能。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…魔法も使わんのに魔導書?他には腕輪と肥料を生み出す腰袋とな。二時間も悩んでこれとは…」


「魔導書と腕輪は家族へのお土産だ。この素晴らしい腰袋は俺のだけどな」


アイヴィーとキューにはうってつけのお土産になる。


ーー肥料を生み出す腰袋が素晴らしい…?


「そうだ。この腰袋があれば廃棄物の処理に困らなくなる。…しかも肥料を作ってくれるんだぞ。甘熟ツリーと併せて使うよ。農作業する土地はあるし」


風玉もあるし雨にも困らない。…野菜も植えようか。考えるだけでも楽しみだ。


農作業はど素人だけどわくわくするぜ。


オルドとオルガに礼を言う。


「大事に使うよ。ありがとな」


ーー喜んでくれて嬉しいわ。ねぇあなた。


ーー…ああ。予想とは違ったがな。


「うむ。…とにかく妾は腹が減ったのじゃ!ご飯じゃご飯!甘い菓子が食べたいのじゃ〜」


「わかったって。戻って皆でご飯にしよう」


素敵な宝をゲットして王の遺跡を出た。外はもう日が暮れている。神樹の浮島に移動し子供達も交え賑やかで楽しい夕食の時間を過ごした。


…龍神の水郷で過ごす日々もいよいよあと二日か。


本当に世話になった。悔いのない様に過ごさなきゃ。



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