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うちの犬が英雄になりました2

タロウの涎を拭いた後、きれいなお皿をもらってタロウ用の料理を味見をしてからのせていく。もちろんタロウに使いますって伝えてから出してもらいました。タロウ用のご飯、素材の味が活きてますね!

いつもより多めにタロウにあげて、自分も食べ始める。私もいつもより多めに頂きました。ほっぺたが落ちるかと思った!


ご飯を食べたら眠たくなってきた。でもお風呂に入りたい。この世界にもあるのかなと思っていたらありました。魔法でお水を出して、魔法でお湯にするそうです。さすがにシャワーは無く、洗面器を使いました。

タロウも濡れタオルで体を拭いて、いつでもベッドに入れます。

でもその前にトイレに連れて行っておこう。この世界にはきっとペットシーツは無い。


お城の人に聞いてから外に出て、無事に排泄を済ます。さあ、後は寝るだけです。

ふっかふかの布団に、程よい弾力のベッドマット。こりゃあ極楽ですわ。

タロウと一緒に一瞬で眠りに落ちた。



目が覚めるともうお昼近い時間でした。いやあよく寝た。私たちが起きた途端、お城の人たちが部屋に入ってきた。どっから見ていた!

少し恐怖を感じながら顔を洗って、ロウの排泄を終わらせる。すっきりした顔をしているね。朝ご飯、兼お昼ご飯を食べて、食後のお茶を頂いてると王子様がやってきた。

パレードについてでした。おめでたい雰囲気の時にやった方が盛り上がるだろうという事で明後日に決まった。

乗り物に乗って、顔を見せるだけで良いそうです。よし、タロウのプリティーっぷりを皆に見せてあげよう!

パレードには衣装が必要らしく、タロウのサイズを測りにメイドの方たちがワラワラとやってきた。いたる所を採寸していく。お利口さんなタロウはジッと動かずに待っていたよ!

なんかついでに私の採寸もされたけれど、私はついでなので出来合いのを持って来てくれるらしいです。


なんだかんだとしていたら、あっという間に夜になりました。この王子、ずっと部屋にいましたよ。王子様って仕事無いんですかね?

事あるごとに私に話しかけてきて、ちょっとうっとおしいと思ったのは秘密です。

王子様を部屋から追い出してタロウと2人でご飯を食べた後、まったりとしようと思ったらメイドさんたちが再びワラワラとやってきた。そして私とタロウをお風呂場へと連れて行く。

いたる所を洗われて、マッサージされて、夢のような時間でした。エステ今度行ってみよう。タロウも私の隣で夢見心地でブラッシングされています。

2人してツヤツヤのピカピカになりました。

昨日と同じようにタロウのトイレを済ませてから寝ることに。

明日はパレード!タロウのプリティーさを皆に披露するのだ!今日は早めに起こされて、昨日と同じようにお風呂に入り、しっかりと身支度をされました。

おめかしタロウ、とっても可愛い!こりゃあみんなタロウの可愛さにメロメロになるわ!

昨日採寸したばかりだというのにすでにタロウの衣装が出来ていたことに驚きです。何でもある程度は作っていて、サイズ直しを夜を徹してしたらしい。徹夜ですか、申し訳ない。


軽く朝食をとってから場所移動。タロウと似た感じの衣装を着た王子様が迎えに来ました。え、お揃いですか?ちょっとジェラシー。


「タロウ様、サイトウ様、今日は忙しくなりますので体の不調を感じたらすぐにおっしゃってください」


え、パレードに参加するだけじゃないの?パレードの後はパーティーがある?そうですか。

私は大丈夫だけれど、タロウがストレスを感じるようならすぐに席を外させてもらうと先に王子様に伝えておく。

王子様はストレス?と首を傾げていたけれど、説明するのが面倒だったので笑ってごまかした。


「サイトウ様、遅くなりましたがよくお似合いですよそのドレス。とても綺麗です」


にっこりと笑って私の手を取る。


「ありがとうございます」


私もにっこり笑って失礼の無いように手を外す。お世辞は結構ですよ。どう見ても衣装負けしてますとも。

水色の衣装にキラキラ光る宝石が至る所にちりばめられている。そう、宝石が付いているので見た目よりもずっと重い!宝石落とさないかも心配ですとも。


手を外されたことを気にもしていない様子でそろそろ移動しましょうと歩き出す。私はタロウを抱っこした。

部屋から出ると、騎士っぽい人たちが少し間を空けて私たちを取り囲む。護衛って事かな?


暫く歩くと外に出る。そしてそこにはたくさんの正装をした騎士っぽい人達が並んでいた。おお、カッコイイ!兜で顔は見れないけど、雰囲気がカッコイイ!

騎士ぽい人たちの隣には魔法使いっぽい人たちと、何だか白い服を着ている人たちがいた。うわぁ、これぞファンタジーって感じで、異世界にいるんだなって実感する。


そんな集団の前に、これぞパレード用といった屋根の無い馬車が用意されていた。お花とリボンでものすごく飾りつけされている。座る所だけかろうじて花がない。花粉症じゃなくてよかった。あ、馬にもお花が飾ってある。ちょっと可愛い。


「さあ、お乗りください」


王子様にエスコートされて馬車に乗る。私が座ってタロウを膝の上乗せたのを確認してから王子も私の隣に腰かける。何故隣に座る?まだ空間があるだろうに!

そう思っていたら一昨日ぶりな勇者クロードがしれっと馬車に乗ってきた。どこにいた?キョロキョロ辺りを見回したけれど答えは謎のままだった。お、クロードもちょっとお洒落してる?もしかして一張羅?

そして最後に私の嫌いな魔法使いロイエンも馬車に乗った。だからどこから現れた!ロイエンの服は新しいっぽいけれど、漫画に出てきそうな白色ローブだった。変化の無い男め。


これで馬車の空間は埋まってしまった。はたから見たら私、逆ハーレムの主人公っぽい。美形は嫌味な魔法使いだけだけど。←失礼


「揃いましたね、出発!」


王子様の掛け声でまずは騎士っぽい人たちが集団で歩き出す。どうやら馬車の前後は騎士っぽい人たちに挟まれて移動するみたい。半分の騎士っぽい人たちが門から出た後、馬車がゆっくりと動き出した。慣れない振動にタロウがびっくりして立ち上がり私の顔を見る。大丈夫だよと背中を撫でてタロウを落ち着かせる。暫く撫でていると安心したのか大人しく膝の上で伏せをした。


馬車はお城から出て橋を渡り、街へと向かう。お城は少し高い所に建っていて、街に降りるまで少し時間がかかりそう。退屈だったのでクロードと話しでもしよう。


「クロード、久しぶり。あれから体の調子はどう?」

「久しぶり。鍛えてるからな、もういつも通りだ。そっちはどうだ?」

「お城のご飯、すっごい美味しい!」


近所の兄ちゃんっぷり健在だ。気安く会話を続けていると、ロイエンが王子の前で失礼な奴めとぼそりと呟いた。イラっとしたけれど無視をする。けれどクロードはそうはいかなかったみたいで、会話はそこで途切れてしまった。


「ロイエン、余計なことを。私に気を遣わずどうぞ?」


王子様も苦笑い。けれどそれ以上会話を続ける気にならず、街に着くまで無言だった。



「おお、かわいい」


街に着くと、建物という建物がお花とリボンで飾り付けられていた。メルヘンだ。

ほーっと感心していると、わーーーー!と凄い歓声が。道の両脇にたくさんの人達が花かごをもって花びらを撒きながら叫んでいる。花で飾られている馬車がさらに花まみれに。


「タロウ様!タロウ様!」

「ありがとうございます!英雄様!」

「世界をお救いくださったタロウ様!」


私はタロウを皆に見えるように抱っこして、前足を持って振ってみる。するとひと際歓声が高くなった。


「タロウ様!」

「なんて神々しい!」

「そしてなんて可愛らしい!」


最後の人、私と気が合いそう!誰?誰が言ったの!?キョロキョロと声の主を探そうとしたけれど、人が多くて無理だった。友達になれると思ったのに!


結構な長さの道をゆっくりとした速度で移動していく。どうやら街を1周したみたい。お城に背を向けていたはずなのに、いつの間にかお城に向かっていたから。

ずっと手を振っていた訳では無いけれど、絶えず歓声が上がっていたからタロウはお疲れ気味だ。私の膝の上でうつらうつらとしている。この歓声の中よく眠れるね。さすがタロウ、大物だね!


時間をかけて街を周り、ようやく終わりが見えてきた。私も何だか疲れた。ちょっと休みたい。ちらりと周りを見ていみると、王子様と勇者はにこやかに手を振っている。疲れ知らずなのか、政務の一環だからなのかわからないけれど流石だねぇ。それに比べてロイエンは不機嫌な顔で遠くを見ている。愛想の無い奴め。王子様と勇者を見習え!


パレードは終わり、お城へと向かって坂を上る。タロウはとっくに夢の中。スピスピと鼻から空気が抜けている。なんて可愛らしい!ぎゅっと抱きしめたいのを我慢する。


「タロウ様はお疲れのようですね」


お王子様の言葉に頷く私。タロウ、お利口さんでした。


「この後のパーティーはサイトウ様だけ出席されますか?」

「そうですね、タロウは部屋で休ませようと思います」



お城に着くと私はお風呂に入れられて、先ほどとは違うドレスに着替えさせてもらった。今度はレモンイエローのふんわりとしたドレス。ところどころに宝石をちりばめないでもらいたい。そして私の歳を考えてほしい。タロウも私と似た感じの洋服に着替えさせてもらっていた。お揃いっぽくてちょっと嬉しい。


ドレスを着たままお茶を飲みつつサンドウィッチを摘まむ。パーティーまでもう少し時間がかかるので、今のうちに腹ごしらえをしておいた方がいいとの事です。そうだよね、パーティー始まってすぐご飯は食べないよね。

お偉いさんの挨拶が終わってから、お偉いさんにタロウの代わりに私の顔を見せたら私の役目は終わるそうなのでそれからは自由に料理を食べて良いそうです。メイドさん情報でした。


お茶を飲んで化粧を直した後、王子様がやってきた。タロウはベッドの上で爆睡中です。お利口さんで待っててね、ご飯食べたら帰ってくるから。

側にいたメイドさんにタロウが起きて私を探すようなら抱っこして連れてきてほしいとお願いしておいた。メイドさんは恐れ多いとものすごく拒否したんだけれど、王子様から英雄様に寂しい思いをさせたくないと諭されて、涙目で返事をしていた。なんかゴメン。


王子様にエスコートされてお城の広間にやってきました。扉を開けられて中に入ると、映画に出てきそうな世界でした。みんな綺麗な衣装を着ている。この国にはコルセットは無いみたいで、皆ゆったりとしたドレスを着ている。お、イケメン集団発見!なんだ、いるんじゃん。あのイケメンの誰かにエスコートしてもらいたかった。


広間で王子様の隣で愛想笑いを振りまいておく。私の仕事はそれだけだ。お偉いさんの話を聞いて、適当に頷いておく。何人かのお偉いさんと会った後、私の役目は終わった。王子様はまだ解放されないらしく、私にここで料理を食べるよう告げると人ごみの中へと消えていった。


さてとご飯でも食べますか!

ビュッフェスタイルのようで、お肉を中心にお皿に取っていく。この国の味付け私の好みにドンピシャなんだよね。この世界に来て確実に3kgは太った気がする!うまうまとご飯を食べているとメイドさんがタロウを抱っこして私の方へとやってきた。タロウ起きたのか。


「お食事中に申し訳ございません。起きられた後、悲しい声で鳴いていらしたのでお連れいたしました」


美人なメイドさんに抱っこされて、心なしか嬉しそうな顔で尻尾を振っている。そんなタロウも可愛いです!

近くにいた給仕と思われる人に食器類を渡し、タロウを受け取る。タロウもお腹がすいているみたいで私の口元をクンクンとしてくる。

何か食べれそうなものあったかな?タロウを抱っこしたまま少し離れた所から料理を見ていると、お皿を渡した給仕と思われる人がタロウ用のご飯を持って来てくれた。

お礼を言って広間の片隅に行き、タロウを下す。ついでにお水も持って来てもらい、タロウのお食事タイムです。


ハグハグと一生懸命ご飯を食べているタロウ。ああ、なんて愛しいの!ふふ、口元にご飯が付いてる。急いで食べるからだよ。

ご飯を食べ終わったタロウの口元を拭いてあげてから抱っこする。何故なら王子様が傍にやって来たから。わかってますって、皆にタロウを紹介するんですよね。


広間のお偉いさんの立っていた所にタロウと一緒に連れて来られた。

シンっと静まり返る広間。今まで流れていた音楽が急に鳴り止む。

暫くすると、王様が高い所からやってきた。そして立派な椅子に腰かける。辺りを見回して、皆が自分に注目したことを確認すると口を開いた。


「皆の者!よくぞ耐え抜いた!魔王の危機は去った!ここにおられるタロウ様の功績によって魔王は滅ぼされたのだ!!」


うん、ビックリマークがたくさん付いていそう。のんきなことを考えていると、急に王様は立ち上がり、こちらに近づいてきた。


「おお!タロウ様!誠にありがとうございます!皆の者、タロウ様に最大級の感謝を!」


そう王様が言った途端、広間にいた人たちがみんな私とタロウに向かって跪いた。


「「「タロウ様に感謝を!!!」」」


おおう、もの凄い音量だ。タロウもビックリしている。皆が跪く中、自分だけ立っているってすごい疎外感。

暫くすると王様が頭を上げた。王様に遅れて他の人たちも頭を上げていく。上がった顔には期待に満ちた瞳が。

これはタロウの一言を待っている感満載な!


「キャワン!」


ナイスなタイミングてタロウが吠えた。なんとも愛らしい吠えっぷり。タロウの一言で会場は一気に盛り上がった。その様子を見て王様が頷いている。


「皆の者、宴を楽しむといい!」


王様の一言で音楽が再開された。テンポが良く、聴いているだけで体が動き出しそう。タロウも腕の中でウズウズしている。今降ろしたら、駆け出して暫く迷子になること請け合いだ。絶対に降ろせない!


広間の中心に人が集まって踊りだす。あ、クロードが美人な魔法使いなお姉さんと踊ってる!お姉さんの胸に注目してしまうのは仕方ないと思います。

華やかな衣装で踊る人たちを眺めていると、王子様が近づいてきた。これはもしかしてダンスに誘われる展開だろうか。


「サイトウ様、よろしかったらご一緒に」


そう言って手を差し伸べられる。ほら誘われた!


「申し訳ないのですが踊ったことがありませんので」

「私に合わせていただければ大丈夫ですよ」


あらら、大した自信です事。まあ王子様だから当然か。けれど私はNOと言える日本人なのできっぱりと断ります。この国の作法?そんなの私には関係ありません。いやなものは嫌なのです。


「それは残念です。ではロイエンとはいかがですか?」

「死んでも嫌です」


何故ロイエン!クロードならまだしも私がロイエンを選ぶわけなかろうに。その思いが顔に出ていたのだろう、王子様は笑いながらあっさりと一言。


「性格は問題ありですが、顔はいいですのでパーティーでは人気なんです」


王子様が壁の方に視線を向ける。そこにはご令嬢に囲まれたロイエンがものすごく不機嫌な顔で立っていた。先ほどのようなローブ姿ではなく、ちゃんとパーティーにあった服装をしている。服の色は黒いけど。本当見た目だけは良いな。忌々しい。


わざわざ王子様直々に私を抱き込もうとしているのは分かっている。タロウの飼い主だからこんなに特別扱いされているのだ。タロウを、英雄を迎え入れた国として他の国々より上に立ちたいのだろう。そんな魂胆は丸わかりだ。そんなことが分からないような小娘ではない。もう社会に出ている大人なのだ。だからほっといてほしいのに。


ちょっと疲れた。王子様に言って外に出てもいいか尋ねる。クロード、ロイエン、自分も付いて行ってもいいのならと返事をもらった。

少し離れた所から3人が私とタロウを見ている。少し冷たい風が気持ちいい。


「タロウ、ちょっと疲れたね」


小さくつぶやいた言葉はきっとタロウにしか聞こえなかっただろう。

タロウがつぶらな瞳で私の顔を見ている。そしてお疲れ様でしたといった感じで私の顔を舐めてきた。

ちょっとタロウ!顔は舐めちゃ汚いでしょう!私化粧してるんだから!


急になめられてビックリして目を瞑ってしまった。そして目を開けるとそこは見慣れたマンション。辺りを見回す。誰もいない。クロードもロイエンも王子様も。


「は?」


もしかして戻ってきた?

私の腕の中にいるタロウは、早く部屋に帰ろうとマンションの方に顔を向け尻尾を振る。自分の服装を見る。あ、パーティーの時着ていたドレスのままだ!このままではご近所さんから変わり者として見られてしまう!

慌てて部屋に向かったはいいけれど。あ、鍵がない!というか携帯も!どうする!?と思っていたらドアノブにお散歩バッグが引っ掛かっていた。

お散歩バッグの中には鍵と携帯、どうやって入れたのか洋服一式入っていた。なんてファンタジー。パンツとかも入っていたので本当やめてほしい。私以外の人が見つけていたらどうなっていた事やら。


「物騒な」


鍵を開けて部屋の中に入る。いつものようにタロウの足を拭いて部屋に放してあげた。疲れていたのかすぐにベッドへと入っていく。

テレビをつけると魔王を倒した日。どうやら時間はそんなに経っていなかったようだ。うん、私も疲れた。パジャマに着替えてベッドへと取れ込む。確か明日も休みだったはず。そんなことを思いながら私は眠りに就いた。


目が覚めたら皺しわになったドレスが床に落ちてた。これ、クリーニングに出さなきゃダメかな。ちゃんとハンガーにかけて寝ればよかった。

後悔しつつ、ハンガーに掛ける。改めてみるとこのドレスだけで車買えそう。よく着ていたな、私。


タロウにご飯を上げて私もコーヒーを飲む。はぁ、落ち着く。昨日の事が夢のようだ。現実としてドレスがあるから夢じゃなかったことは確か。

こんなにすぐに戻るのならもうちょっとあっちの世界を満喫すればよかった。買い食いとかしたかった。


「もうあんな体験、二度としないよね」


人に言っても信じてもらえないだろう。だって私も信じられないもの。違う世界に行っただなんて。

まぁ、何はともあれ。


「タロウ、頑張ったね」


今日は一日タロウをかわいがろう!何せ魔王を倒した英雄だ。今日の散歩はちょっと遠出してあげよう!

昨日早く寝たからまだ9時前。日差しもそんなにきつくないし、気温も快適!公園のドッグランで一緒に走りまわろう!


そう思ってタロウと一緒に外に出た。


「ようこそお戻りになられました、英雄様!」


目の前には王子様。横にはクロードとロイエンもいる。その後ろにはいろいろな国のお偉いさんと思われる人たちが。


「あれから半年、魔王が復活したのでどうかタロウ様のお力をお貸しください!」


え、昨日の事じゃないの?いつの間に半年たってたの?タロウも心なしかうんざりとした顔をしている。


もう自分たちで何とかしてくれ。


私はタロウを抱っこしながら心の底からそう思った。

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