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コメディ:おとぎ話シリーズ

三匹のこぶた【そして伝説へ】

作者: 家紋 武範

それは、こぶた達が16歳になったある日でした。


「これ、起きなさい。わたしの大事なこぶたたち」


こぶたたちが目を覚ましますと、物語はすでに始まっておりました。

(なんの?)


「今日は王様に挨拶に行く日でしょ? くれぐれも粗相がないようにね」


母親に促されて三匹のこぶた達は城に向かいました。


王様はブタでした。ブタの城でした。

それは上機嫌でした。テンション高めでした。


「ほほう! そちたちがあの勇者トンテガの息子! なるほど。よく見てみればその面影もなくもなくもない?」


と、大臣にいいますと大臣が


「九分九厘」


九分九厘とはだいだい…との意味でした。

しかし、顔つきとかは物語にはまったく関係ございません。

(なら出すな)


「敵は魔王オオカミモスじゃ! そうそうに我らの敵をうちのめすのだ!」


兄弟は驚きました。


「こりゃ、ぶったまげた! ブタだけに」

「とんでもないこと仰せられる! トンだけに」

「ピッグりした! ピッグだけに」



三者三様驚いたところで、三人はフィールド上に出ました。


長男ブタが


「じゃ、オレ戦士。剣で敵をぶった斬る。ブタだけに」


次男ブタが


「じゃ、オレ武闘家。拳で敵をぶったたく!ブタだけに」


三男ブタが


「じゃ、オレ魔導士。魔導士だけにまーどーしよう!」


と言うと、兄二人が顔を見合わせました。


「ブタだけには?」


「ん?」


「ん? じゃねーだろ。ダジャレをいうゲームじゃねーよ? ブタなんだから」

(?)


「あ~……メンゴメンゴ」


職業が決まった三人は、それはよく働きました。

いろんな謎をといて、冒険はトントン拍子に進みました。トンだけに。


そして魔獣の山を登り魔王の城にたどりつきました。


「ついにここまで来たか。三匹のこぶたよ。この魔王オオカミモス様に逆らおうなど身のほどをわきまえぬ者たちだ。ここに来たことをくやむがよい。ふたたびび生き返らぬようそなたらを焼肉にして喰らいつくしてくれるわッ!」


「焼肉にはトングをつかってね! トンだけに」


「いや、オレたちが勝つ! トンカツだけに」


三匹がオオカミモスに飛びかかりました。


しかしオオカミモスは大きく息を吸い込んで、三匹に向かって


プゥっ!


と息を吹きかけました。


ものすごいブレス攻撃です! 三匹は城の外に吹き出され、山をゴロゴロところげ落ちていきました。


こりゃ敵わないと、三匹は尻尾を巻いてトンで帰りました。トンだけに。


そして、仲良く暮らしましたとさ。オシマイ。






「終わってトンすんねん! トンだけに」

「オレたちはまだ大丈ぶた! ブタだけに」

「えーと……。えーと……。えーとん。トンだけに」


三男は無理矢理な技を使いました。

一番最後なのは損な役回りなのです。


次に向かいましたのは神聖な山奥の転職の城!


LV20になると転職出来るのです!


係のものが訪ねました。


「で? こぶたたちは次は何になりたいの?」


三匹はすでに決めてました。


「オレたち、飛空艇(ひくうてい)技師。魔王のところに飛んでゆく! トンだけに!」


三匹は飛空艇技師になって、さっそく飛空艇を作りました。

工場にトンテンカン、トンテンカンと音が響きます。トンだけに。


ワラと木とレンガを使って作った見事な飛空艇でした。


「山のように大きいから、ヤマトンと名付けよう!」


と喜びながら三匹はさっそく乗り込みました。

艦長の長男が


「ヤマトン発進!」


との号令でした。


「発進!」

「いけぇーーー!!」


ものすごいスピードで魔王の居城に迫ります。


「艦長いかがいたしましょう!?」


「うむ。主砲発射だ!」


飛空艇の主砲から、レーザービームが発射されました。

しかし、魔王の居城はビクとも……、いや、ピッグともしません。ピッグだけに。


しかし、衝撃に気付いたのでしょう。

オオカミモスは躍り出て巨大化しました。


「ははは。何度来ても同じこと。オレ様の息で吹き飛ばしてくれるわ!」


「巨大化なんて反則だ! トンソクだけに」


「艦長! いかがいたしましょう!?」


「うむ。波豚(ハトン)砲発射用意!」


ついに出ました。最終兵器「波豚砲」。

ヤマトンの動力は波豚エンジン。

その波豚エネルギーの一切をぶつけて敵を撃破しようと言うのです!


三匹のこぶたはゴーグルをつけて対ショック閃光防御をしました。


「波豚砲発射5秒前! 5! 4! 3! 2! 1!」


「発射!」


ドドーーン!


オオカミモスに直撃!


オオカミモスをたおした!


「勝った! オレたちの勝ちだ!」

「そーさ。まさにトンカツさ!」

「トンカツ食ってウマ勝ったーー!」


──馬は関係ありませんけどね。


三匹は飛空艇に乗って故郷へ向かいました。


「故郷か。何もかもが懐かしい」


と長男ブタがつぶやきました。

続いて次男ブタが


「目を閉じると母さんの顔がまぶたの上に……。ブタだけに」


「しっかし、トンでもない冒険だったな。トンだけに」


と言いながら、故郷に到着。

たくさんの民衆が彼らを暖かく迎え入れました。


「おめでとん。トンだけに」


「ありがとん。トンだけに」


「トンいたしまして。トンだけに」


三匹のこぶたの冒険はこれで終わりました。


しかし、いつ第二、第三のオオカミモスが現れるのか?

それは誰にも分からないことでした。



おしまい。

(え……終わり?)



終わりです。

(やな終わり方だな)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ブバソ総統のご紹介で参りました <(_ _)> 面白かったです (`・ω・´)ゞ [一言] >ヤマトンの波豚エンジン 豚が波打つえんぢん? (;'∀') バラ肉かしら? よくダジャレ…
[良い点] また読んでしまった。中毒ですね、もう。 普通は、祖国のネタはもうわからないものばかりなのですが、ヤマトンネタは別だった。 そんな自分が嬉しいやら恥ずかしいやら。 ありがとうございました、…
[良い点] トンだけに、が頭を回ります。 トン、トン、トンと(笑) 面白かったです。
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