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結局彼は孤高に立つ  作者: ◾️
第一章 一学期
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第三話 野外活動初日

朝倉先生の長ったるい前置と内容を聴き終え、活動のスタートを示す笛が吹かれた。各班のスタートは様々で、すぐに行動に移す班、地図を見ながら作戦会議をする班、自己紹介を始める班、そしてグダグダと時間を浪費する班の四つに分かれた。その四つの内私の班を表すのは三つ目だ。別に自己紹介から始めようと何から始めようと、変わりはないのだが先ずは親睦を深めよう!っと言うわけで勝手に始まった。


もちろん私が言い始めたのではない。



「えっと……僕は三番の飯嶋 翔也。この班の班長だ。みんな、これからよろしく!」


「………あう......私は二番の安藤 美由です!!こ、こ、これからよろしくお願いします!」


「あー、俺は上坂 綾だ。よろしく」


「私は五番の江ノ原 凛!よろしくだよ!」



一人を残して私に順番が回ってくる。私はそのまま素っ気ない声で自己紹介をした。四人からは軽い拍手をされたが、私は次の人へ促した。次の少年は私がこの学校で一番よく知っている人物であり、一番面倒だと思っている人物でもある。彼は息を吸って静かに喋り始めた。



「大神 雷」



たった六文字を彼は喋った。それも堂々と。班のメンバーはどう反応すればいいのかわからない状況で、ぎこちない笑みを浮かべている。私もどうしたらいいかわからない。そんな状況の中、彼は欠伸をして一人睡魔と戦っていた。



「ま、まぁこれで自己紹介も終わったってことで。さぁ、行こうか!」


「「おー!」」



こうして一行はオリエンテーリングを開始した。







ーー



一応だがオリエンテーリングと言うものを説明しておこう。オリエンテーリングとは、地図とコンパスだけを用いて、山野に設置されたポイントをスタートから指定された順序で通過し、フィニッシュまでの所要時間を競う野外スポーツである。だが、今回はただの親睦会。切羽詰まった競い合いなどではない。



「えっと………ここを左に曲がった所に一つあるね」


「えーこんな山道歩くの!男達で見て来てよー」


「班から逸れたら叱られるよ。それに、みんなで行った方が楽しいだろ?」


「……はぁ、仕方ないか」



飯嶋翔也。真面目でイケメン、その上みんなを引っ張るっと言う行為に長けている。一言で言うと委員長タイプで後にスクールカーストの上位に君臨するだろう人間だ。



「じゃあ、レッツゴー!!」



江ノ原凛。彼女は今の所活発な女の子だ。私や大神君にも話しかけて来るが、それは多分『自分、良い子だよアピール』だろう。見てたらわかるし、さっき隣でボソッと大神君が呟いていた。「ウゼー。どんだけ自分可愛い子ちゃんなんだよ」って。彼にはもう嫌いな奴と認識されたらしい。



「あ、あった!コレだよね?」


「あぁ、そうみたいだね。ポールの下に番号が書いてあるハズだ」


「えっと〜45?……45!」



指を口元に当て、足をクネクネさせながら彼女はそう言った。誰が何と言おうとアレは『私可愛いでしょアピール』だ。見ていて虫酸が走る。



「……ウッザ」


「大神君、あなたさっきから心の声が漏れてるわよ?」


「あ?別に構いはしねぇよ。ってか、お前誰?」



アッサリと返された上に、君誰?と馬鹿にされる。入学式早々に生徒指導を受けた挙句、さっき自己紹介もしたと言うのに、彼の記憶の中に私はいなかった。



「あなたの脳みそって八ビットぐらいしかないみたいね。滑稽だわ」



だから、私はさりげなく煽って離れて言った。しかし、彼は怒るわけでも悲しむわけでも、ましてや喜ぶわけでもなく彼は予想外の言葉を口にした。



「まぁそうカリカリすんなって、クソ優雅なお嬢様」


「何言ってッ!?」


「何って、事実だけど?何なら他の奴らの話もしてやろうか?お前、人間観察とか色々やってるみたいだけど、そんな事したって人間って言う奇妙で奇怪なヤツは見抜けねぇよ。まぁなんて言うか、俺はお前が嫌いだ。それだけ言いたかった」


「……あらそう。奇遇ね、私も同じ事を言いたかったわ。私はあなたが嫌い」



私はそう言って班の方へと足早に戻って行った。彼はそんな私を見てヘラヘラと笑っているだけだった。







ーー


一時間ほどが経ち、ポイントも全て回り終わった私達は近くのベンチで休憩兼自己紹介part2を行なっていた。だが、それも大神が話さないままで終わり今は沈黙の時間が過ぎ去って行っている。



「大神雷君だっけ。君も何か話してくれよ。あとは君だけなんだ」



沈黙を打ち破るように飯嶋からそう告げられる。だが、大神は話す事がないとだけ言って立ち上がった。静かにみんなの堪忍袋が穴を開き始める。



「………テメェ、そんなに敵を作りたいのか?」



何かが彼の癇に障り、上坂が喧嘩腰に大神の肩を掴む。その時だった。全身から寒気と恐怖があふれ出したのは。さっきと変わらずに座っているのにも関わらず、背筋から冷や汗が流れ落ち、声にならない程の恐怖が体を拘束する。



「━━━━作る?テメェらが仕組むの間違いだろ?ま、何にせよ。俺の敵となったら死ぬ覚悟だけはしろよ?」



彼はそう冷たく静かに言い放った。今まで少しジメジメしていた森の道中が、彼の言葉で温度が数度下がった気がした。そして目の前の私達の体は━━━━






彼の殺気で凍て付かせられた。

はい!どうも!■(クロ)です!


あー、大神君が暴れてる……。早く彼を恋に堕とさないと、学校がッ!!って言ってますが、まだまだ彼には暴れてもらうつもりなんですけどね(笑)


次回は土曜日の夜九時です!次回あたりで燈ちゃんの説明をしたいと思っている所存です(`・ω・´)ゝ

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