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結局彼は孤高に立つ  作者: ◾️
第一章 一学期
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第十四話 2回目の仕事

「……朝倉先生、アポって取ってますか?」


「アップル?私の携帯はそうだよー!」


「違ぇよ。アポイントメント、予約の事だ」


「?」


「なぜこの説明でわからねぇ」


「顧問の先生には今日行きますとは言ったのだがなぁ……」



坂口さんを除く全員が一歩後ろに下がる。あの大神君も面倒くさそうな雰囲気を出しながら、トンチンカンな事を言う坂口さんに説教していた。扉を開けて、体育館の中に入るとそこは所謂別世界となっていた。部活動に入部している者のみが許されるような空間。必死になってボールに食らいつき、死ぬ気で点をもぎ取りに行く。そんな汗水垂らした熱い空間だった。



「あれ?私達のことに気づいてない?」


「お前って俺らと時差があるよな?何なの、どこか遠くと交信してるの?」


「えっ!?さっきそんな話してた?!」


「もういい……」


「坂口、お前とうとう大神を倒したな!」


「何言ってるんですか、先生」


「とりあえず朝倉先生、バスケ部の部長と話をしに行ってもらえないでしょうか。私達じゃ信用がないので」


「あぁ構わない」



私は先生を前に出して、部長に時間を取ってもらうようお願いした。本当ならもっとマトモな待遇が待っている筈なのだが、やはり私達のような『はぐれ者』には大した待遇は与えられないらしい。部に入らない上に、大神君や坂口さんのように問題を抱えた、抱えていた事のある人は学校側からすると厄介者なのだろう。そう考えると、それを統括する上に見守ろうとする朝倉先生は善人の中の善人なのだと思う。



「ま、とりあえず俺が頑張るから後はよろしく」


「頑張ってね、ライライ!私とあかりんは一緒に見守っておくよー」


「けど、揉め事だけは勘弁して欲しいかしら」


「最善を尽くしまーす」


「あ、私無理な気しかしない」


「同感だわ」


「お前らなぁ……!」



彼は未だ話をしている朝倉先生の元へ歩いて行き、ささやかなフォローをしてちゃっかりと練習に混じった。私と坂口さんは、元々いるマネージャーさんの手伝いをしつつ、初めての部活動と言うのを体験した。












ーー



「ふわぁ………眠た」


「ライライ頑張ってたよねー」


「一回もボール触らしてくれなかったけどな」


「見てて滑稽だったわね。ひたすらモップで床を拭いている姿は」


「ホントだよー。ライライ、頑張ってるのかと思いきや奉仕作業しかしてないんだもん。もう問題を起こしたのかと思った」


「あのな、俺は問題児でもなけりゃあトラブルメーカーでもねぇんだよ」




えっ?っと不思議な物でも見たような顔をする坂口さんに、彼は深いため息を一つ吐いて自分を押しとどめる。そんなありきたりな会話をしながら、彼と彼女、そして私は住宅街の中を抜けて駅までたどり着いた。



「それじゃ、私はここでバイバイだね。また明日〜!」


「おう。気をつけて帰れよ」


「大丈夫!今日はお母さんが迎えに来てるから」


「……そうか」


「うん、あかりんもまた明日!」


「えぇ、また明日」



彼女は大きく腕を振りながら、反対ホームへと歩いて行き最後には見えなくなった。残された私と彼は━━━━━━━━、



「ったく……」


「坂口さんは大神君キラーでも付いてるのかしらね」


「笑えねぇ冗談だな、そりゃあ」


「それで?バスケ部は何とかなりそうなの?」


「そらまぁ一応な。俺は単なる数合わせに過ぎねぇし、あいつらが試合で勝とうが負けようが俺の心は一ミリたりとも削ればしねぇよ」


「あら、あなたが頑張れば余裕で勝てるんじゃなくって?」


「ハッ!残念ながら俺は団体スポーツが大の苦手なんだよ」


「そう。わかっていたけど、あなたってホント個人主義者よね」


「日本社会に最も適応した人物、と言ってほしいな」



彼は悪魔めいた笑みを浮かべながら、そう答えた。一切合切自分の物、周りに関しては多少の気配りはするが手助けはしない。文字に起こせばそれは傲慢で強欲な、誰も付いて来ようとしない君主の代名詞なのだが、彼の場合は立場に興味がないから王でもなければ、エンペラーにすらなり得ることはない。


私の心が、そんな彼の人間性を拒絶し忌み嫌っている。人としての欲望を遠くの方へと投げ捨てた少年の生き様は、見るに耐えぬが斬新で人目を引くのもまた事実だった。











はい!どうも!■です!


恵美ちゃんがライキラーだと……!!これは使える!!


次回は明後日の夜9時です!お楽しみにー!

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