第1章 足は速いから
…はずだったが、サンタの重みに耐えられるわけも無く、真っ逆さまに落ちていった
「っててて…駄目じゃないかぁトナカイ君。子供達が待ってるんだよ」
≪お前が重すぎるんだ≫
とトナカイが思った事など言うまでも無い
幸いサンタは丸いからだに助けられたらしく、無傷のようだ
「ヤバイ!後1分しかないよぉ」
全然焦っている様には見えないが…確かに、サンタの腕に食い込んでいる小さな腕時計は午後11時59分を指している
「…今年は走るしかないみたいだなぁ」
サンタの隣でトナカイは意識を失っている…可哀想に
「んじゃぁ、れっつごぉ!」
カタカナにもならない英語らしき語を発して、サンタは走っていった
足は奇跡的に早いようだ
「此処が最初の子の家かなぁ?」
最初に付いた家は【サラ】の家
今年で、3歳になる
この子へのプレゼントは、クマのぬいぐるみだ
この家はちゃんと煙突が付いている。そして、無理やりサンタが入ろうとしている
誰もが詰まるだろうと思ったが、予想に反し、サンタはスーと煙突の中に入っていった
「めりーくりすます♪」
大きな声でそういいながら
―――――そして5秒もしないうちにサンタは戻ってきた
が、また煙突に入っていく
「めりーくりすます♪」
と叫びながら…
で、また5秒しないうちに戻ってきた
「あ〜れ〜?」
相当困った顔をしている
「家に入れないよぉ?」