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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
十四章『神様旅行記』

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学都騎士団選抜部隊

サイドストーリー的な?


 G国首都までの道のりはなかなか楽しいものでした。

 季節柄、もう紅葉の時期は過ぎていますが、千年以上の歴史を誇るG国にはあちこちに見応えのある史跡があります。馬車に揺られていると古い城跡や、古の魔法使いが建てた白亜の塔など知的好奇心をくすぐる場所がチラホラと。


 街道沿いにはいくつもの街があり、日暮れ近くになれば宿を取って柔らかいベッドでぐっすり熟睡。同じ国内とはいえ街ごとに肉や魚や野菜など名物は様々で、その調理法も一様ではありません。

 昨日は豪快な豚の丸焼き料理、今日は川海老や魚の揚げ物、明日は何が食べられるだろう。そんな風にあちこちの名物に舌鼓を打ち、特に気に入った物は土産として購入したりレシピを聞いてみたりなど、優雅で充実した旅路となりました。馬車で移動したメンバーに関しては、ですが。



「はっはっは、今日も充実した鍛錬ができたな!」


「ぜっ、はぁ……はぁ……っす」


「この調子なら明日の午前には王都に着くだろう。では、明朝の出発時刻までは自由に過ごしてくれ。解散!」


「はっ……は……はぁ」



 学都方面軍から武術大会のため選抜された九名は、まだ到着する前から息も絶え絶え。置いて行かれないよう走るのに必死で、道中の景色を楽しむ余裕などまるでありませんでした。


 もちろん彼らも普段から仕事の一環として鍛えている身。

 ただの長距離走であればこれほど疲弊するはずがありません。

 ただ興が乗ったシモンやライムが走りながら模擬戦をするのに巻き込まれ、全力で剣や槍を振るい、隣の同僚達と手加減なく打ち合いながら走っていたのです。その消耗は並々ならぬものがあったのでしょう。



「ふむ、夕食までまだ少しあるか? ライム、動き足りないから組手に付き合ってくれぬか?」


「ん。空き地」


「うむ、裏の空き地を借りるとしよう」



 そんな彼らの団長は婚約者と更に追加の訓練をするようです。

 街の住民を驚かせないよう控えめな内容となっていますが、間もなく宿の裏手にある空き地から無数の打撃音が聞こえてきました。

 地上・空中の別もなく、毎秒十から三十回ほどの攻防が繰り広げられているわけですが、あまりに速すぎて常人では残像すら見えないため、パッと見は何もない空中から打撃音が鳴る新種のラップ現象とでも誤解されかねません。


 宿のチェックインを済ませると同時に床やベッドに倒れ伏していた学都騎士団の面々も、しばらく休んでいるとどうにか部屋の窓からその様子を覗けるくらいには回復してきました。

 動体視力向上や思考速度の加速といった技能を使える者は、どうにか二人の影くらいは目で追うこともできます。



「団長、気合入ってんべ……」


「今年の大会は去年のリベンジだかんな。そりゃ気合も乗るってもんよ」


「アレに勝った人間がいるってのがまず信じ難いんだけどよ。しかもライムの姐さんも一緒にかかって負けたって話だろ?」



 昨年の武術大会の顛末は、G国内の新聞などを通じて広く報道されました。もちろん学都もその例外ではありません。一昨年までの不動のチャンピオンだったシモンがその王座を明け渡す結果となり、大きな反響を呼んだものです。


 元々、ハンサムで人柄も良く剣の腕も立つシモンは王室の中でも飛び抜けた人気がありましたが、今年は婚約発表の大ニュースもあって一段と世間の注目度が増しているタイミングです。

 そんな彼が武術大会で見事リベンジを果たして王座に返り咲くことができるかどうか。普段武術に興味などない者でも、具体的には街娘から貴族の令嬢まで含めた年若い女性達の間でも大いに注目されていました。



「俺らも、まあ団長のオマケとはいえ学都の代表だからな」


「おう、下手な試合をしたら団長に恥かかせちまうかもしれねぇかんな。オマケにはオマケの意地があるってとこを見せつけてやろうぜ!」


「だべ!」



 こうして改めて気合を入れ直す学都騎士団の選抜部隊。

 彼らの気合が結果を結ぶか否かの答えが出る時は、もう三日後にまで迫っていました。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 騎士団が規格外 騎士団メンバーがミニガンぶっぱなしても驚かない。 〉いたぞぉぉぉっ な状況でも全員化け物エイリアンや未来からやってきたサイボーグ相手にしても生きていそうな( ̄▽ ̄;) もし…
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