表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
十三章『迷宮武者修行』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

808/1058

またまた登場、ご当地伝説の魔物シリーズ


 ドワーフの地下帝国での大宴会がようやく終わった翌日。このところ滞在していた宿の一室で、迷宮達は次の目的地をどこにするかの話し合いをしていました。



『お肉は美味しかったけど、流石にちょっと飽きてきたの』


『じゃあ次はまた魚ですかね? 南の海は行ったばかりですし、今度は西か東を攻めてみましょうか?』


『西の海沿いって前に行った砂漠の国でしょ? あの時は海までは行かなかったけど、どうせなら行ったことないほうが良くないかしら?』



 話し合いの開始から一分以内。ウルとゴゴとヒナ、姉妹の上の三人により早くも次の行き先が決定したようです。

 ちなみにゴゴが挙げた候補の中に北が含まれていなかったのは、単純に人がほとんど住んでいないから。この大陸の気候は東西に広く伸びるドワーフ国の山脈により、温暖で人が生活するのに向いた南側と、人が少なく寒冷な北側とにハッキリ二分されているのです。


 大陸北部にもまったく人が住んでいないわけではないのですが、その多くは南側から何らかの理由で逃げてきた犯罪者や政争に敗れた元権力者とその従者、あるいはそれらの子孫など。

 あとは種族柄、寒冷地を好む妖精種族などもいますが、それも大して数が多いわけではありません。本人に後ろ暗いところのない若者世代はどんどん故郷を捨てて南へ向かっていますし、全体としては過疎化が進む一方です。


 あとついでに大陸の北の果て、あまりに過酷な環境すぎて妖精すら住まない端っこには、かつて世界最高峰級の高山が聳えたっていたのですが、十数年ほど前にどこぞの元魔王と元勇者のケンカの余波で跡形もなく消滅してしまいました。これでは奇特な登山家が訪れることもないでしょう。



『それにしても皇帝さんにコネができたのは助かったのです』


『くすくす。皆様、親切な方ばかりでしたわね』


『皇帝。肯定。我々の像の製造と販売を委託できたからね。元々この国が持っていた販路を利用できるのは大きいよ』



 モモとネムとヨミが言っているのは、このドワーフ国で得られた利益について。救国の英雄に対する返礼としては妥当なところでしょう。

 元々、良質な金属製品の一大生産地として大陸中にその名を轟かせていた地下帝国。その技術によって迷宮達の像を継続的に生産し、各国へ通じる販路や人脈を利用して大々的に売り込むと皇帝直々に約束してくれたのです。


 製造・流通過程における経費が引かれるため、販売価格の全部が迷宮達の懐に入ってくるわけではありませんが、大きすぎるメリットに比べれば多少のコストなどないも同然。この契約によって『使徒様』像は、最早彼女達が自ら動くまでもなく各国各地へと勝手に広がっていくことでしょう。


 こうして上々の成果を手にした迷宮達は、次なる目的地である「だいたい東側の海沿いの魚の美味しい国」を目指して、国名やその他の情報には特に気に留めず向かうことにしたのです。





 ◆◆◆





 そうしてドワーフ国を発ってから一時間ほど後。

 大陸の東の果てのH国、通称「神聖国」にまでやってきた迷宮達は、このところすっかり聞き慣れたワードを耳にしました。



「うわーっ! 魔物が港に攻めてきたぞ! ひぃ、ふぅ、みぃ……約千体!!」


「あの姿は伝説の魔物『シャークヘッド・ルサールカ』に違いない!」


「なにっ、あの海で死んだ幽霊が何故かサメ頭になって、めっちゃ人間とか喰うようになったというあの伝説の魔物か!?」



 きっと普段は風光明媚な港町なのでしょう。

 しかし、今は突如現れたサメ頭の幽霊だかゾンビだか魚介類だかよく分からない魔物の大量出現で、町中が大混乱に陥っています。逃げ惑う人々が意外と余裕ありそうな説明口調で状況を教えてくれました。ここいらの伝承に詳しい地元民が言うのだから多分正しい情報のはずです。



『ねぇ、ゴゴ。やっぱり伝説の魔物って流行ってるのかしら?』


『さぁ? 一般的には流行り廃りが関係あるようなジャンルじゃないと思いますけど。それにしても我々が来たタイミングで偶然出くわすとは運が良いのか悪いの……ん、んん?』


『あれ、どうかしたの?』


『い、いえ何もっ……それより姉さん、皆も! 今は港に残ってる人を助けましょう。なるべく船や建物の被害を少なくする方向で!』



 ゴゴには何か気にかかるポイントがあったようですが、今は目の前の危機をどうにかすることが先決です。住人が目の前でサメ幽霊に喰い散らかされたりしたら、気分良くグルメや観光を楽しみにくくなってしまいます。



『今回の伝説の魔物は一体一体はそんなに強くないタイプの伝説の魔物みたいなの。これくらいなら楽勝なのよ!』



 野生の魔物としては平均以上の強さはあるのでしょう。

 それが徒党を組んで大勢で襲ってくるあたりが、今回の伝説の魔物の伝説たる所以なのだと思われますが、数の暴力という分野で今のウルやヒナに勝てる生物は(今回の敵が「生物」なのかはさておいて)そうそういません。


 純粋な幽体のままなら多少面倒だったかもしれませんが、何故か生身のサメと融合しているせいで元は幽霊だったのにも関わらず普通に物理攻撃が通るようです。これならヨミが実体化させるまでもありません。


 殴って蹴って切り刻んで、住人だけでなく建物や船にも被害を出すことなく、あっという間に今回の伝説の魔物を倒し切ることに成功しました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] サメの大群の魔物 ちきゅうの映画監督が興味持ちそう。 [気になる点] チェーンソータイプの腕をゴゴがおぼえたら ハリケーンシャークハンターにはなりませんね( ̄▽ ̄;) [一言] 更新お疲れ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ