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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
九章『信じる心があなたを救うと信じて』

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新たな旅立ち。新たな出会い?


 さて、レンリ達が迷宮都市から戻った翌朝のこと。



「へえ、それじゃあ昨日はあっちに泊めてもらったんだ?」


「うん、楽しかったぞ。映画エーガとかいうのを観せてもらったんだ。なんかこう、すごく、すごくて、すごかった!」


「そうかい、それはすごく良かったね」



 まだ朝食を食べ終えて間もないような時間から、ユーシャがレンリの部屋に遊びに来ていました。昨夜、好奇心を抑えきれずに夜の迷宮都市を駆け回ったユーシャは、どうもそのまま魔王宅の客間に泊めてもらったようです。

 そこでもまた色々と楽しいことを経験して、その興奮冷めやらぬうちに誰かに話を聞いてもらいたくなったのでしょう。何故だか子供に懐かれる性質のレンリには、外見はともかく実質的に子供であるユーシャもよく懐いていました。



「それでな、わたしがもっと観たいって言ったら、またいつでも遊びに来ていいって言ってくれたんだ。だから」


「だから?」


「また行ってくるな。今日これから。今は着替えとか取りに戻ってきたんだ」


「え、いや今日って……流石に早くない?」



 これにはレンリも驚きました。

 いわゆる社交辞令的な挨拶を人生経験の少ないユーシャが真に受けてしまったのではないか。このまま黙って行かせたら先方を困らせることにはならないだろうか、などとも考えたのですが、どうやらそういうわけでもなさそうです。



「あのな、なんかリサ姉の聖剣がな、魂の調和? ……が、どうとか聖剣の自己進化機能がこうとかでな? なんだかよく分からないけど、わたしとゴゴをしばらく近くに置いてどうにかこうにかしたいらしくてな。それで、なんやかんやあってリサ姉と旦那さんと金色のほうの奥さんと子供達にお願いしてくれたんだ。映画エーガもいっぱい観ていいって」


「いやいや、なんだかよく分かってない部分が多すぎるだろう。自分のことなんだから、もっとちゃんと話を聞いておきたまえよ。まあでも、向こうの人達がちゃんと了解してるなら大丈夫か。ルー君達にはもう言ってきたのかい?」


「うん、ここに来る前に行って、ちゃんと行ってきますって言ってきたぞ」


「うんうん、ちゃんと挨拶ができてえらいね」



 事情を聞いてもほとんど分かりませんでしたが、というかユーシャ自身も分かっていない様子でしたが、どうやら危険な話ではなさそうだとレンリも判断しました。



「たまにこっちにも帰ってくるから。じゃあ、行ってきます」


「あ、うん、行ってらっしゃい。お土産は食べ物でよろしく」



 そうして肝心の事情に関してはほとんど分からないまま、異様なほどスピーディーにユーシャは学都から旅立ったのでありました。





 ◆◆◆






 数時間後。

 レンリは学都中央街のカフェでルグやルカと待ち合わせていました。

 ここ最近はまたサボりがちになっていましたが、魔力や体力などを効率良く伸ばすには迷宮を探索するのが最良。なので今日は攻略を再開するのに必要な道具や消耗品などの買い物をするために集まったのです。

 ちなみに、もう半ば迷宮側の関係者みたいな感じになっている彼女らですが、迷宮達に直接頼み込んで『知恵の木の実』や宝物などを融通してもらうようなズルは出来ません。どうやら迷宮には迷宮なりの美学があるらしく、以前にレンリが冗談めかしてウルに頼んだら頬っぺたを抓られてしまいました。同じアイテムを入手するのでも、どうも相応の苦労をして冒険したかどうかが重要なのだとか。






「それで、諸君。子離れをした感想はあるかい?」


「いや、俺にはもう何もかも分からない。何も分からん……」


「う、うーん……わたし、も……」



 子供が就学や就職などで親元を離れるというのは世間では当たり前にあることです。しかし、そこに至るまでの過程を大幅に省略してしまっているせいか、ルグやルカは頭が混乱するばかりで、どういう感情を抱けばいいのかも分からない様子です。


 まあ、これについては仕方がありません。

 彼らに責を問うのは酷というものでしょう。



「今は荷物持ちでも何でもいいから無心に身体を動かしたい気分だ」


「ふふ、それは好都合。じゃあ、迷宮用だけじゃなくて欲しい本とかもついでに買っていいこうかな。前に取り寄せを頼んでおいた全集が入荷してるといいんだけど」


「うん、力仕事なら……まか、せて」



 まあ考えても仕方のない問題を抱えている時は、なるべくその問題について考えないでいられる物事に没頭するというのも一つの手です。そう考えれば買い物の荷物持ちというのは決して悪いものではありません。



 残念ながら、その予定は流れてしまうことになりましたが。



「あっ、いたいた! 貴女達、今ちょっといいかしら?」


「おや? ええと、その顔はたしか……ギルドの受付の人だったかな?」


「はい、そうですそうです。実は、貴女達にちょっとお願いがあって」



 そろそろ買い物に行こうかと席を立とうとする間際。

 一人の女性が三人に声をかけてきました。

 特別に親しいというわけではありませんが、レンリ達もよく見知った冒険者ギルドの職員です。年の頃は二十歳前後といったところでしょうか。見た目に分かりやすい美女というタイプではありませんが、愛嬌のある顔立ちと性格で若い男性職員や冒険者からは地味に人気があります。



「お願いって……もしかして、また危険な魔物が出てきたとか?」


「ううん、今回はそういうのじゃないから安心して」



 ギルドが本来の形式を通さずに冒険者に出動を要請することは以前にもありました。公には珍しい魔物ということになっていますが、『神の残骸』が建設中の新市街地区で暴れた際にはルグやルカも招集を受けて戦いに赴いたものです。

 幸い、街の様子は平和そのもの。

 どうやら、以前のような緊急性の高い事件ではなさそうですが。


「えっとね、実は新聞社の人が貴女達に取材を申し込みたいんですって」



腰痛が再発しました

更新が遅れたら察してください

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新聞・・・取材遂に人気者になるレンリ [気になる点] アイ○○みたいな鎧になってしまうかもしれないゴゴちゃん(;'∀') パチモノのメタル〇ンみたいに一生脱げないのは怖い(;'∀') [一…
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