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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
八章『新生勇者伝説』

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祈れば叶う(かもしれない)

短めです


「お祈り……えっと……」


 ルカ達はレンリに促された通りに女神像に向けて祈りを捧げました。

 両手を組んで目を閉じる。

 本職の聖職者であれば祈祷ひとつ取っても様々なスタイルがあるのですが、特別に信心深いわけでもない一般人が祈ろうとすれば、まずこういったオーソドックスな形に落ち着くことでしょう。



(でも、これだけじゃダメだよね?)



 しかし、祈祷で大事なのは表面的な形よりも心の在り方。

 ルカやルグもそれは分かっているのですが、いざとなると何を念じればいいのか、なかなか思いつきません。これが普段から信心深い人であれば、日々の幸福や健康について神への感謝を自然と思い浮かべるのでしょうが、



(なまじ面識があるせいで難しい、かも)



 実際に神様と会って話した経験がかえって邪魔になってきます。

 それに先日の話からするに、この世界の神は個々の人間の人生に事細かに干渉しているわけではない、正確にはそうしたくても干渉するほどの力がないわけでして。

 もちろん日々を幸福に過ごせることや健康であるのは素晴らしいことですが、それらは別に神様のおかげではなく、たまたまそうであるというだけ。自身や周囲の人々や、あとは運や間の良し悪しのおかげであって、基本的に神様は無関係。

 そういった裏事情を知ってしまったせいか、そういった物事への感謝を神様に捧げるというのも筋が違うような気がしてきてしまいます。



(ええと、じゃあ何を……あっ、この前はご馳走様でした。お料理、美味しかったです。どうもありがとうございました)



 なので結局、ルカは先日の昼食会で食事代を持ってもらったことについての感謝を思い浮かべました。それくらいしか感謝するネタが思い浮かばなかったということでもありますが、まあ何もないよりはマシでしょう。


 そして、その祈りは実際に届いたようです。



「え……? あれ……これ、は?」


「おお、成功したみたいだね。へえ、こんな風になるのか」



 祈りを捧げられた女神像は淡い光を放ち、そしてその光が靄のように伸びてルカの身体を包み込みました。痛みや恐怖感はありません。むしろ春の陽射しを受けたような温かく心地良い感覚が数秒続き、そして。



「頭の中、に……声? これは……」



 ルカは心の中に直接響く不思議な声を聞きました。

 いえ聴覚を通さないものを「聞いた」と表現するのは正しくないのかもしれませんが、ともかくハッキリとしたメッセージを感じ取りました。



「ふむふむ。ルカ君、その声はなんて言ってたんだい?」


「神様の、加護を……授ける、とか……なんだけど」



 ルカの祈りを受けた女神像は彼女に加護を授けました。

 これぞ、まさしく神の奇跡。

 その大変ありがたい神秘の内容とは――。



「甘い物、食べても……太らない、とか……今日だけ」



 ◆



 今回の加護。

 甘味の摂取によるカロリーの無効化。

 効果時間、本日の就寝時まで。



◆詳しくは次回で説明しますが、女神像の前で祈りを捧げるとランダムで地味に嬉しいことが起こります。あくまで地味に。

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