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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
八章『新生勇者伝説』

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それは、ある日突然に


 ――――それは、ある日突然に。



「迷宮が、おかしい?」



 その変化は誰の目にも明らかでした。

 その日の夜明けと同時、学都中央の聖杖が朝の陽射しを受けた途端にグンっと高さを増したのです。そう、まるで春先のタケノコのように!


 まあ、外観については別にいいのです。

 以前にも聖杖が形状を変化させることはありました。

 あれは昨年末の、迷宮内に転移機能付きの『モノリス』が出現した頃のこと。最初は戸惑っていた迷宮の利用者も、特に危険がないことや、また『モノリス』の機能の便利さが知れ渡ると共に抵抗なく使うようになったものです。

 実際には、触れた人間の肉体や精神が詳細に解析され、そうして得られた情報は迷宮が成長するための栄養分として利用されているのですが、とりあえず多くの探索者の主観的にはデメリットは何もありません。迷宮側と利用者側、双方に得しかないwin-winの関係と言っても、恐らく差支えはないでしょう。


 そして今回。

 以前と同じく、前触れなく聖杖が変形したわけです。

 ならば、また何かしらお得で有用な変化が迷宮に起きているのではないか……というのは、やや飛躍し過ぎの感はあるかもしれませんが、発想としてはさほど的外れとも言えません。事実、早朝に聖杖を見た人々の中で、あるいは後でその話を聞いた人々の間で、そういった仮説というか期待めいた話題があったのは確かです。



「おい、ちょっと見に行こうぜ」



 だから、そんな話になるのも自然な流れ。

 どうせ、多くの冒険者は依頼や自身の修業のために迷宮に入るのです。

 どんな変化があるのか分からない状況で先陣を切るのは不用心かもしれませんが、かといって恐れているばかりでは何も始まりません。

 それに、こういう時は「神が造った」という文言も、「まあ、最悪でもそれほど悪いことにはならないだろう」という印象を幾分付け足してくれる、かもしれません。


 ともあれ、動機は好奇心や使命感や暇潰し目的など様々ですが、何名かの冒険者やパトロール中の衛兵や新聞記者や散歩中の近所の老人などが何かしらの変化が起こっていると目される迷宮に踏み入り……そして、大いに驚きました。







 ◆◆◆







 第一迷宮『樹界庭園』以降の迷宮に試練の突破者以外も入れるようになっている。

 より正確には、第二迷宮『金剛星殻』と第三『天穹海』に。

 このニュースはなかなかのインパクトを伴って急速に伝わり、この日の昼頃には街中の住人が知るところとなりました。


 ちなみに、第四以降はこれまで通り。

 現時点で特に目立った変化はないようです。




「へえ、思ったより対応が早い」



 もっとも、この新ニュースもレンリにとっては既知の情報。

 いえ彼女こそが、この迷宮変化の真の仕掛け人。

 神すら操る真の黒幕プロデューサーなのです!



「レン、これが例の『企画書』ってやつの成果なのか?」


「まあね」



 先日、わざわざ迷宮都市まで出掛けた用件の一つ。

 概念魔法習得の対価となったのが、レンリの書いた『企画書』でした。出発に際して大まかな理由は説明していたものの、その細かな内容についてはルグやルカ達も未だ把握していません。



「ふふふ、恩を押し付ける余地は山ほどあったからね。すっかり熱が入ってしまったよ」


「ええと、手心とか……一応、神様……だから」



 神造迷宮の真の目的は七柱の新たな神々、および新世界の創造。

 迷宮の様々な機能も、神の素養を持つ迷宮達を育てるエネルギー集めが主たる目的なわけですが、レンリはそこに対して思い切りダメ出しをしてきました。


 曰く、無駄が無駄に多すぎる。

 曰く、集客効果が薄い。

 曰く、そもそもの構造が非効率的である。


 ……等々。

 神をも恐れぬ、というか神のほうが恐縮していたくらいですが、その意見そのものは的を射たものでした。だからこそ神側としても多少なりとも時間と手間をかけて作業をしたわけですし、こうして実際に迷宮に変化が起こったのでしょう。


 試練の突破者以外でも、誰でも自由に第二の立体迷宮や第三の海の迷宮に入れるようになって……そして、果たして何がどうなるというのかというと?



「あ、お魚……安くなったら、嬉しい……かも」


「ああ、釣りとかする人には第三迷宮は人気出るかもな。いや、魔物をどうするかが問題か?」



 ほぼ石や金属のブロックで構成された第二はともかく、第一や第三なら様々な資源の獲得が期待できそうです。大勢の人間が入れるようになれば個人単位で消費する以上の、新たな産業として成立する規模の採取も可能になるでしょう。

 とはいえ、そうした予想通りになったとしても、それはあくまで人間社会の側のメリット。入場者が増えること自体が迷宮側のメリットとも言えますが、これだけ大仰な変化からすれば慎ましやかであると言わざるを得ません。



「レンのことだから、それで終わりじゃないんだろ?」


「当然! まあ、口で説明するよりも実際に目で見たほうがいいかな。というわけで二人共、準備はいいかい?」


「う、うん……こういうの、なんだか……久しぶり、だね」



 こうして、レンリとルグとルカは久しぶりに迷宮へと向かいました。

 今回は迷宮攻略ではなく視察という一風変わった目的ではありますが。



◆すでに活動報告でもお伝えしていますが、以前に「迷宮レストラン」の料理再現をしていただいた方に、今度は「迷宮アカデミア」序章に出てくる鉄道の食堂車のメニュー再現をしていただきました。すごく美味しそう!

作者の活動報告ページ内に動画のURLが貼ってあるので、ご興味ある方はそちらからご覧になって下さいな。

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