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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
三章『境界調律迷宮』

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ヒントと宿題


 横道に逸れて終わったゲームの後。

 三人が街へ戻る前に、ゴゴはこんな事を告げました。



『次に皆さんと戦うのは正式な試練の場になるでしょう。それが何週間後か、何ヵ月後か、それ以上になるかは皆さんの頑張り次第ですが』



 今回のゲームはあくまで遊び。

 迷宮の守護者が課す試練とは別のモノです。


 本来は、時間をかけて何度も迷宮に入って実力を付け、守護者が『試す価値あり』と判断して初めて試練を受ける流れになるのです。その資格の有無についての判定は、各迷宮ごとによって多少の差異がありますが、決して楽ではないのでしょう。



「いや、そこをなんとか!」


『ふふふ、ダメです』



 ゴゴの身体を詳しく調べたいレンリとしては、勝ち負けや資格云々は二の次、三の次。

 本音を言えばすぐにでも戦ってデータを取りたいようですが、流石にそこで融通を利かせてくれるほど甘くはないようです。



『ですが、そうですね。ちょっとだけヒントと、それから宿題をお出ししましょうか』


「ヒントはいいとして、宿題?」


『ええ。ヒントと宿題です』



 迷宮で役立ちそうなヒントといえば、普通は道順や宝の在り処などを想像するでしょう。

 ですがゴゴが告げた内容は、それを知ったからといって何か有利に働くような情報ではなく、どちらかといえば謎掛けのようなものでした。



『この第二迷宮の試練内容は我との戦闘です』


「ああ、それは知ってるよ」



 第一迷宮での試練内容は(ウルが認めればという前提で)、試される側が選べました。

 ほとんどの挑戦者は戦闘を希望し、そして自身と同等の敵に打ち勝つことが出来れば先の迷宮へと進む資格を得るという流れを辿ります。

 ですが、中には戦闘以外の技術や研究成果を認めさせることで資格を得る者もいます。

 自分自身は戦わず、ルグやルカに自身が手がけた武器を使わせることで性能を実証し、資格を得たレンリもそのパターンでした。試練の後の詐欺紛いの言動については忘れておきましょう。


 ですが、第二迷宮においては最初から試練の内容が設定されており、戦闘を不得手とする者でも戦いを余儀なくされるのです。


 もっとも、それ自体はそこそこ知られた話。レンリ達もギルドで第二迷宮の情報収集をする中で、先人の受けた試練の内容くらいは調べています。

 守護者の姿こそ小柄な少女ではなく正体不明の全身鎧という話でしたが、迷宮の化身アバターがある程度姿を自在に変化させられるのは既知の情報。それだけなら今更驚くような内容ではありません。


 ゴゴの言う「ヒント」はその後に続いた言葉。



第二迷宮われの試練は、“対等な”ではなく“絶対に勝てない相手”との戦いです』


「……絶対、に……勝て、ない……?」


『ええ、我も本番の試練の最中は力の制限が完全に解除されます。皆さんが今より実力を伸ばしたとしても、それに比例して我の出力も上がります。断言しますが、皆さんに勝機はありません』



 絶対に勝てない戦い。

 それが試練の内容だと、ゴゴはハッキリと言い切りました。



『そして、その試練の意味を考えるのが皆さんへの宿題です』



 決して勝てない戦いへ挑む、その意味を考える。

 まるで哲学問答のように掴みどころの無い漠然とした問いかけです。

 それでも例えば「諦めない気持ちの大切さを知る為」だとか「上には上がいる事を忘れない為」だとか、それらしい言葉で返すことは出来ますが、ゴゴが望んでいるのは決してそういう表面的な言葉遊びの答えではないのでしょう。



『では、長くなってしまいましたが、今日はこのあたりでお開きにするとしましょう。またのご来訪、心よりお待ちしています』



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