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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
最終章『咲き誇れ、きざはしの七花』

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いついつまでも幸せに


 他の細々とした部分に関しては、また時間を設けて決めるとして。迷宮達が真なる神と成った時点で、女神が今日やらねばならないことは全て終わりました。



『さて、これからどうしましょうね?』



 つい昨日までは、この先など存在し得なかったはずなのです。

 事実、運命剣がいた歴史においては女神にここから先の未来はありませんでした。


 それが何故だか、なんとも晴れやかな気持ちでここにいる。

 こんなにも身軽な心持ちなど、この百万年でも間違いなく初めてのことです。


 何をするも自由、何をしないも自由。

 もちろん神としての責務を放り出すつもりはないにせよ、それも幼い神々のおかげで苦労は大きく減るはずです。それに身に染みついた過保護グセを意図して改めねば、また例の彼女が機嫌を損ねて大暴れするかもしれません。


 この世界は強い。

 ちょっと神が目を離した程度でどうにかなるほど弱くはない。

 そんな揺るがぬ確信を得られたならば、『今日』に散々苦労した甲斐もあったというものです。まあ一部の人間中心に手段を選ばなさすぎるきらいはありますが、『今日』ほどに追い詰められなければ、もう少し穏当かつ倫理的な方法を選んでくれることでしょう。



『式典に区切りも付いたことですし、伯爵さんのお家に移って打ち上げパーティーでしたっけ? ああ、それよりも先に新聞社の皆さん中心に、色々な秘密を世間の皆さんに公開するお手伝いでもしましょうか』



 新たな神々に勇者。

 地球との交流開始。

 どれ一つとっても世界を揺るがす大ニュースに違いないのですが、最早その反応も読めません。なにしろ、夢の中の出来事として全人類がネタバレを喰らっているのです。


 世界の誰もが事態の詳細までを理解しきったわけではないのでしょうが、何ひとつ理解していないかの如き新鮮な反応は望めそうもありません。そのおかげで新しい常識の受け入れがスムーズに進めば良いのですが、果たして何がどう転ぶやら。



『未来を見れば色々と効率的な対応もできるのでしょうけど……それは、あえて控えておこうかと。ほら、あらかじめ未来を知っていれば安心感は得られますけど、知らないからこその驚きや喜びもあるはずですから』



 今朝、夢オチが判明した直後に試したことで、『今日』に機能不全を起こしていた未来予知が正常に働くのは確認済み。ですが、今後は予知の使用をなるべく控えようと決めていました。


 心配性な彼女にとっては並々ならぬ勇気を要する決断でしたが、あえて知らないことによる楽しみを優先した形。これも昨日までの女神なら絶対にあり得ない方針転換です。



『ふふ、これからこの世界はどうなるのでしょうね?』



 まず間違いなく、何もかも順調にとはいかないでしょう。

 不慣れゆえの失敗や後悔も山とあるはず。

 何かとトラブルに愛されがちな面々も一人二人ならずおりますし、きっと予想もつかないような事件も多々あるに違いありません。


 しかし、それは可能性の裏返し。


 きっと、良いことだってある。

 厄介なトラブルの何倍も何十倍も。

 思いもしなかった形で訪れる嬉しき未来。

 それもまた数え切れぬほどあるに違いないのです。



『ありがとうございます』



 ふと、女神の口から感謝の言葉が漏れました。

 半ば無意識に出た、それゆえに一切の嘘も作為もない心からの気持ちです。


 その感謝は、誰に向けてのものだったのか。

 それはきっと世界中の誰も彼もに。

 人々に、幼い神々に、もしかするとあのラメンティアに対してすらも。


 まるで花が咲くような笑顔と共に、女神は続く言葉を口にしました。



『どうか、これからも末永くよろしくお願いしますね』



 以上が今回の事件の顛末。

 女神は自らが見守ってきた世界に救われて、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。


 めでたし、めでたし。



次回からエピローグです。

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