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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
最終章『咲き誇れ、きざはしの七花』
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二回表の二者択一


 ともあれ、魔王一家が式典を欠席していた理由については説明が付きました。

 聞いてみれば割としょうもない、反応に困る類の真相ではありましたが。



「では、オチも付いたことですし私は一旦これで失礼します。向こうの様子も気になることですし」


「あ、ああ、忙しいところ悪かったね。でも」


「ご安心ください、レンリさま。引き続きこちらの様子をどこからともなく盗み見しつつ、面白そうな話題が出たらその時だけいっちょ噛みしに来ますので」


「そうかい、それなら安心……でいいのかな? なんだかもう何も分からないけど」



 そして臨時ゲストのコスモスも一旦退場。

 その事実に対する不安がないわけではないけれど、いたらいたで不安になる。ついでに関係者全員が多大なる精神的疲労を負うことが確実視されるせいか、レンリ達も特に引き留めることなく見送る判断をすることにしたようです。


 まあ口ぶりからするに引き続きこちらの様子を窺うつもりはある様子でしたし、また近いうちに顔を見ることになるのでしょう。望むと望むまいとに関わらず。



「……なんだか、すごく疲れたね」


『ええ、悪いヒトではないんですけど……あの方がいるとですね、世界観そのものが全部ギャグに染まってしまうと申しますか。いえ、物の例えとかでなく本当に。わたくしとしても本気で不思議なのですけど、神でもないのに何なんですかねあのヒト』



 神と世界とが相互に影響を与え合っている。

 そんな話題は過去にも何度か出てきましたが、神ならぬ身であるはずのコスモスが存在するだけで、何故だか世界が面白おかしいことになってしまうのです。

 

 爆発事故が発生しても巻き込まれた人々の髪の毛がアフロヘアになるだけで済み、高所から落下しても地面に人型の穴が開くだけで無傷。大きな馬車に轢かれたヒトの身体が紙みたいにペラペラになった後、ごく普通に起き上がって歩き出す等々。


 もう物理法則やら生命としての常識とか、そういったアレコレが一切通用しなくなってしまうのです。当のコスモス自身もコレについては意図して何かしている意識すらなく、ただ存在するだけで周りが勝手にそんな風になるというのだから制御も不可能。女神としても本気で理解しがたいようですが、事実としてそうなってしまうのだから仕方ありません。



『ま、まあ、あの方について考えるのはやめておきましょう。頭がおかしくなりそうですし。それで、今度はわたくしの質問ターンということでよろしいですか?』


「おや、自分から言い出すとはだんだん調子が出てきたみたいだね。いや、コスモスさんの言動に惑わされて調子が狂ったおかげかも? まあ、どっちでもいいけど何でも聞いてくれたまえ。答えられる範囲でなるべく答えるつもりはあるからさ」



 ここまで女神側とレンリ側が各一回ずつ質問と回答をしたわけです。

 続く二回の表は女神側の質問から。レンリの狙い的にも、こうやって自分からどんどん喋ってくれる分には好都合。どんな問いが飛び出してきても、堂々と受けて立つ気ではあったのですけれども……。



『それでは、わたくしからの質問です』



 流石のレンリといえども、こんな質問が来ることは予想していませんでした。



『コホンッ……わたくし、皆様のお言葉を聞いて深く反省しました。どんな理由があろうとも自分で自分の命を絶つなどということはすべきではない。ウル達や人間の皆さんを悲しませるのも、なるべくなら避けたいところです』


「うん? 良い心がけだとは思うけど、それって質問じゃなくない?」


『まあまあ、落ち着いてくださいな。本題はここからですので』



 ここまでは単なる前置き。

 女神の質問は、ここからが本番でした。



『わたくし、反省して心を入れ替えました。なので……先程の映像で観たような真似はもうしません。なんなら当分の間は誰かしらの監視を付けていただいても、いえ、迷宮達の「奇跡」で行動を縛っていただいても結構です。ただし、それと引き換えにそちらの本命の質問である動機については金輪際聞かないと約束していただけないでしょうか?』



 たしかに質問といえば質問です。

 実質的には取引の提案ということになるのでしょうが。



「……なるほどね。そう来たか」



 選択肢はイエスかノーかの二択。

 レンリはほとんど間を置かずに答えました。


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― 新着の感想 ―
成る程、そうきましたか? レンリなら、〉騙して悪いが ってパターンもあり得ますね。勿論、破って良い約束に限りますね。 とりあえず、様子のおかしい魔王さん家の長女が来たのでますます面白くしてくれそう。
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