はじめましてはどしゃ降りから
トカゲ萌えとか日頃の妄想を吐き出して書きました。ポテチでも食べながら読んでね。
外からの雨音で眼を覚ます。
「5時20分…寝過ぎたな」
春眠暁を覚えず。とはよくいったモノだが、昼寝だけで1日潰すのは如何なものかと思い布団から出る。
「腹へったなぁ…肉まんでも買いに行くか」
眠い目を擦って愛用パーカーを羽織って家を出る。ポツポツと降る雨がアパートの屋根を打ち心地いいメロディを奏でていた。まだ、6月の梅雨入りの日であった。
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「あざっしたぁ」
気の抜けた店員の声を後にし、コンビニを出る。俺の大好物の牛肉まんが売り切れていたのが少し残念だった。諦めて餡まんとフランクフルトを買ったが。
「ん、雨強くなってきたな…」
来たときよりも雨粒が大きくなっていた。
こりゃ大変だ。餡まんはホカホカで食べるから美味しいのだ。フランクフルトも冷めてしまっては美味しくなくなる。かといって食べ歩きはあまり好きじゃない。
「・・・・走るか」
足に跳ねた水が かかることなんて問題外だ。そんなことよりも俺はこの食料が雨に濡れて冷める前に帰宅せねばならない。
ーーーーキィーー
ん?
「キィ…キィ…」
なんか変な音がするな…キィ?なんかの鳴き声っぽいけど…
んおっ、ダンボール…?今時捨て猫か…?
ダンボールに近づいて見てみると汚い字で「ひろってください」と書いてある。
中を覗き見ると、タオルケットに包まれている「ソレ」はもぞもぞと動いていた。タオルをめくってみると丸い目玉がキョロキョロしていた。・・・トカゲ?だな。
こんな雨の中捨てるなんて、飼い主はとんでもない無責任だな。
まぁ俺には関係ないが。
踵を返し、家のほうに走る。後ろから何か聞こえるが無視して進んだ。
進んだんだ。
進みたかったんだ。
俺の足はダンボールのところに戻っていた。
「そこじゃぁ…寒いだろ?」
気が付いたらダンボールを抱えてアパートに帰ってきた。餡まんとフランクフルトは温くなっていたが。
「おっ、晴れたな・・・」
空には虹がかかっていた。