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はじめまして。神無月と申します。

何年ぶりの投稿となるのでしょうか。更新していなかった年数のことは考えたくないです。

生活が落ち着いたというわけでもないのですが、また書き始めてしまいました。

熱を一旦冷ましておくと、戻って来たくなるものなのでしょうか。

頻繁に更新していたあの頃よりも気ままに書きたいと思い、次回が気になるとかいう要素は無しのスローライフをお送りしようと考えています。

何度も言うようですが、本当に更新は遅かったり急だったりです。

(2015.4.25)

舞台は前作「KRASH!」からおよそ2年後、彼らはすっかり高校生アイドルになったところからのスタートです。成長してもてんやわんやな5人の生活っぷり。前作と変わるのは年齢だけでなく、視点が新たに増えたということです。新キャラクターの子が視点になることがあります。

タイトルにある“espoir”は“エスポワール”と読みます。希望という意味のフランス語ですが、今回の物語は新たに加わったキャラクターが夢をかなえる、そんな一筋の道を中心にしていきます。

音楽は聴く人を喜ばせ、勇気を与え、共有することができる力がある。

音楽で人々を幸せにし、心から楽しんでもらいたい。そんなエンターテインメントが世の中に広まり、様々なアーティストが登場し、活躍していった。

多様なアーティストたちの中に、ステージで歌って踊り、キラキラした笑顔で人々を惹き付ける者がいた。人は彼らを「アイドル」と呼び、憧れ、また魅了された。

今では誰にでもアイドルのチャンスがあり、現に多くのアイドルたちが誕生し続けている。

まさに世は「アイドル時代」。


「『…その先駆けとなったのが、デビュー4年目にして国民的アイドルへと上り詰めた5人組アイドルユニット“KRASH”である』だって。」

明莉は満足げに頷き、読んでいた雑誌のページを開いた。

「凄いよ、アイドル時代のリーダーなんてピカピカしてる!」

「私のモデルデビューだと思ってたら、KRASHの取材だったなんて、期待し過ぎたわ。」

桜は横目で床に広げられた雑誌を見ながら、コテで髪を整えた。少々焦げくさい臭いが、2人の部屋じゅうに漂った。桜の長い黒髪はまだ毛先だけがちょこんとはねている。

「いつから寂しい子になったの!もっと素直に喜びなよ〜。もうすぐドキュメンタリー本も出るかもしれないんだよ?」

結成して4年目。

まだ幼くてわんぱくだった彼らは、各々が突き当たった壁をも超え、心も体も成長していった。

それは中学生が高校生になることだけでなく、5人で肩を組んで前へ着実に進んでいき、人々を楽しませられるような“アイドル”になったという意味でもある。

仕事は相変わらず忙しい。年齢が上がれば仕事も増えていくのである。学校でも、高等部に進学すると同時に次期生徒会を目指している5人。勉強だって疎かに出来ないのは言うまでもない。学校生活と両立していくことがどれ程大変なのか、時々ため息をつきたくもなった。

でも、私には4人がいる。俺には4人がついてる。そう思うと不思議とやり抜けるのだった。

「お洋服のセンスを褒めてもらえると思ったりしただけ。今度は中高生向けの…そうね、ファッション雑誌なんかに出てみたい。」

「この前の取材は何のだっけ?衣装がどうも気に入らなくてイライラしてた件は。」

桜は髪を巻く手を止めて肩をすくめた。

「あれは駅の広告よ。塾のポスターになんてされたくないわよ。」

「いいじゃーん、あたしが写ったらポコポコ頭だと思われちゃうんだから。」

明莉は困り顔で言った。

そういえば、と明莉は立ち上がり、ベッドに投げ出された通学カバンの中から数枚の書類を取り出した。

「学校のパンフレットになるモデルの募集もしてるよね。」

明莉が見せてきた1枚の紙には、大きく“高校制服モデル募集”と書いてあった。

「そういえば、そんな時期だっけね…私のファッションセンスは、全く関係なさそうだけど。」

桜は募集の紙をじっくり読んで、少しの間黙り込んだ。

聖シャレンド学園は幼稚園からある大きな学校のひとつで、KRASHのような芸能人がわざわざ通いに来る音楽学校としても有名である。そういった活動をする生徒たちは広々とした優雅な寮で生活をしており、例えば桜と明莉は2人で部屋に暮らしている。

そんな校風を表す場となるのがパンフレットだ。各地域に送られるパンフレットは高校生が表紙を飾り、優秀な生徒、明るい生徒、笑顔が素敵な生徒と毎年数人選ばれている。高校生の制服は気品溢れる白いブレザーを着ることになっており、是非モデルになりたいという生徒が多くいるのだ。

「モデルなんて、アイドルとか関係なし!っていうくらい熾烈な争いしてるけど…。もし桜が応募するっていうんなら毎日アピールして回るからね学校で!」

「目立ち過ぎて、逆に落ちちゃうんじゃないかしら…。そろそろ消灯の時間じゃない。仕事疲れを癒さないと。」

「そうね。」

おやすみ、と声をかけた数秒後には、もう明莉の耳には桜の挨拶も聞こえていなかった。

「明日は新しいクラスだったっけね。」

桜もそう呟いて、毛布を自分の腹に広げた。






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