削いでみた。
風呂場で、カミソリを使ってバッサバッサと乱雑に髪を切っていく。
と、少し手元が狂ってうっかり左の頬を少し削いでしまった。
痛みに軽くうめく。
足を伝って風呂場の床に血が落ちる。
床に散らかる自分の髪と、血が混じる。
気にせずに髪を切り続けていると、今度は頭皮の一部を削いでしまった。
あああああああああ、と私は叫んだ。
涙が出る、と同時に
「このまま削ぎ続けていったら私はどうなるのだろう」と思った。
私は削いだ。削ぎに削いだ。
頭、脳、首、胸、膝……
脳を薄くスライスした時はさすがに一瞬だけ意識が飛んだが、たかが“削ぐ”という単純作業くらいなら、別に脳なんぞ必要なかった。
惰性で右腕は動き続けた。
ズタボロの肉塊になってから、ようやく私の右腕は止まった。
崩れ落ちる私の体。
血と、肉まみれの風呂場。
あぁ、いっけね。
次は妹がお風呂に入る番だった。