友達
私は独りが嫌いです。
どんな時でも、何をするのでも誰かと一緒でないと気が休まりません。
だから、私は独りにならないように友達を作るんです。
私が幼い頃のお話です。
「一緒に遊ぼう!」
と声をかけてくれた男の子がいました。
私はとても嬉しくなってその男の子と日が暮れるまで遊びました。
しかし、日が暮れてしまったらお別れです。
だからその男の子を友達にしました。
私が学生の頃のお話です。
尊敬する先生がいました。
その先生は私が知らなかったことを沢山教えてくれました。
私はその先生が大好きでした。
しかし、先生は突然学校を辞めると言い出したのです。
私はとても悲しくなりました。
もっと先生から色々なことを学びたかったのです。
私は先生を呼び出し、友ダチにしたのです。
私が社会人になったばかり頃のお話です。
とても好きだった恋人がいました。
恋人がいると私は力が湧いてくる気がしたのです。
しかし、ある日のこと。
その恋人が浮気をしているという噂を耳にしたのです。
私は恋人を追及しました。
恋人は言いました。
「そんな噂より、僕を信じてくれないか?」
私はその言葉を信じていました。
私の目の前で、恋人と仲良く歩く浮気相手を見るまでは。
不思議と浮気相手には何の感情も沸きませんでした。
ただ、恋人だけは失いたくありません。
だから、これまでと同じように恋人をトモダチにしたんです。
私は独りではありません。
沢山のトモダチに囲まれて幸せです。
男の子はそろそろ原型を留めていませんでした。
先生は完全に腐っていました。
恋人は今でも私の傍にいます。
例え、動かなく、息をしていなかったとしても。
END