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団地令嬢

作者: まみむめも
掲載日:2025/12/28

ここは築50年以上の古い団地である。

古い団地だが周りは自然豊かで保・幼・小・中・高と各種学校が隣接しているため子育てをする環境として良く、子育て世代が多い賑やかな団地だ。

そこの団地の一室に、とあるご令嬢が住んでいた。

団地の最上階(※エレベーターなしの五階)に住むご令嬢の名はみのり様。生粋の団地令嬢だ。


みのりお嬢様の朝は早い。

5:50起床。メイド(※母)の目覚ましが鳴るので一緒に起きる。

メイド(※母)は朝から忙しい。自分の身支度をさっと整えたら朝食とお弁当の準備にとりかかる。


「今日の髪型はハーフアップでお願いね。この新しいリボンをつけたいの。」


「ハーフアップね。はいはい。ちょっと卵だけ先に焼かせて!」


口の利き方がなっていないメイド(※母)にやれやれと溜息をつくみのりお嬢様。

身支度を整え終えたら完璧なご令嬢の出来上がりである。

ご満悦の表情で食卓の席につき朝食の給仕を待つ。


時刻は6:20。執事(※父)の目覚ましが鳴り、私の召使(※妹)とともに起きてくる。

主人よりも後に起きてくるなど使用人の分際でありえないが、お嬢様は寛大なので許している。


本日の朝食はバターたっぷりのシュガートーストとカフェオレである。

バター(※マーガリン)の濃厚な味と、芳醇な香りのパン(※特売98円食パン)がよく合う。

みのりお嬢様お気に入りの一品だ。

メイド(※母)は口の利き方はなっていないが、お嬢様の好みをしっかり把握している。

なのでお嬢様からの評価は高い。

甘めに淹れられたカフェオレ(※コーヒー牛乳)にお嬢様は今日も満足気である。

しかし隣に座って同じ朝食を食べる召使(※妹)に眉を顰める。


「あなたまだ着替えていないの?先に身支度を整えていらっしゃい。」


「おなかすいたからさきにごはんなの!みーちゃんうるさい!」


この召使(※妹)は生意気でお嬢様も手を焼いている。まだまだ躾が必要なようだ。


「私にうるさいですって!?あなたの立場でそんな口の利き方許されると思って!?」


さすがのみのりお嬢様も声を荒げて叱責なさる。


「えーん!みーちゃんがおこってきたぁ」


「朝から喧嘩しない!さっさとご飯食べて学校の準備して!」


メイド(※母)は自分と執事(※父)のお弁当を入れながらそう叫ぶ。

その横で執事(※父)はコーヒーを飲みながらぼーっとスマホをいじっている。

この執事(※父)はエンジンがかかるまで少々時間がかかる。


「やばい!もうこんな時間!母ちゃんもう行くわ!行ってきます!」


メイド(※母)は時間管理が苦手でいつも時間に追われている。

お嬢様にお仕えしてもうすぐ9年目になるというのに困ったメイド(※母)である。

7:10にメイド(※母)は家を出て、8時~17時まで出仕(※派遣社員)している。

メイド(※母)が出発すると、執事(※父)がやっと動き始める。


「おーい。水筒にお茶いれたからランドセルにいれてー。」


無駄に声が大きい。品がない執事(※父)である。


7:45みのりお嬢様と召使(※妹)は小学校へ行く。

同じ団地内に住む下僕たちがみのりお嬢様を待っていた。(※集団登校)


「みーちゃん、かほちゃんおはよー!」


「みなさま、ごきげんよう。良い朝ね。」


「みーちゃんそれ新しい服?かわいい!」


「そうなの、新しく仕立てたのよ。このリボンもね?」(※両方H&Mのセール品)


「いいね!あたしもこれ新しい靴なんだよー」


「そう、素敵ね。よく似合っているわ」


下僕たちとも気軽に談笑する寛大なみのりお嬢様。さすがは団地令嬢。

学校に着きみのりお嬢様は三年生の自分の教室へ向かう。

平民が多く通うこの小学校(※ただの公立小学校)では気品溢れるみのりお嬢様は別格の存在である。


「あれ?みのりさん、算数の宿題出してないよ?忘れたの?」


「先生、私は算数の宿題は当然済ませておりますわ。そしてそれは家にあります。何か問題でも?」


「いや、宿題だから学校に持ってきてよ・・・明日はちゃんと持ってきてね?」


「では、先生。その旨、連絡帳に記入してくださる?」


「それは自分で書いてください・・・はあ。とりあえず授業始まるから教科書だして・・・。」


先生もみのりお嬢様の気品にひれ伏している。さすが団地令嬢。


6時間目が終わり、次は学童である。

学童の部屋にはすでに召使(※妹)がいた。召使(※妹)は一年生なのでみのりお嬢様よりも早く授業が終わる。


「あ!みーちゃん!ここの折り紙のやり方わからないよ~」


召使(※妹)の分際でお嬢様に教えを乞うなど、本当に躾がなっていない。


「どうして私が教えないといけないのかしら?ご自分で考えなさい。」


「もう!みーちゃんのいじわる!」


あまりの暴言に寛大なみのりお嬢様も声を荒げる。


「なんですって!?いい加減になさい!あなた朝から失言が多くてよ!?」


「うるさいうるさいうるさーい!みーちゃんなんかもうキライ!」


召使(※妹)はそう言い放つと自分の友人のもとへと向かった。

朝からの失言の多さにさすがのみのりお嬢様も青筋を立てて怒りで震えている。

家に帰ったら躾け直してやる・・・とご令嬢らしからぬ怖い顔で召使(※妹)を睨んだ。


学童から帰宅しメイド(※母)の帰りを待つ。

その間に召使(※妹)の腐った性根を叩き直してやることにした。


「ここにお座りなさい。」


「いいけど、どうしたのぉ~?」


召使(※妹)は朝からのお嬢様への無礼を何も気にしていない様子。

それがまたみのりお嬢様の怒りを買う。


「今日一日のあなたの態度はひどいものだったわ。反省なさい!」


「はぁ?どういうことぉ?かほちゃんなんもわるくないし!ぜんぶみーちゃんがわるいんだし!」


醜い言い争いをしていると、メイド(※母)が帰宅した。


「ただいま~すぐにご飯作るね~」


「母ちゃん!みーちゃんがひどいこといってきたぁ!」


「あなたこの子の躾をやり直しなさい。口の利き方もなってないし、今まで甘い顔し過ぎたようだわ。」


みのりお嬢様はメイド(※母)に召使(※妹)の躾のやり直しを命じる。


「はいはい、そうだね、いやだったね~。宿題はもう終わったの~?」


話を流されてしまい、みのりお嬢様は激怒した。


「あなたたちっ!私に対する態度がなってなくてよ!?謝りなさい!」


「はいはい。ごめんね~。さ、晩ごはんできたから食べよ~」


メイド(※母)は夕食の給仕を終え席に着く。


「・・・私の梅干しが用意されていないわ。」


「えー?そんなん今言われてもー!母ちゃんもう椅子座っちゃったし、食べたいなら自分でとっといで。いただきまーす!」


主人であるみのりお嬢様よりも先に夕食を食べ始めたことで、ついに逆鱗に触れてしまった。


「もういい!ごはんなんか食べない!」


「はいはい。食べたくなったら食べてね~。」


そこに寛大なみのりお嬢様の姿はなく、ただのみーちゃんになっていた。


「梅干しだして!みーちゃんは梅干しが食べたいの!」


「だーかーら!自分で出しなって!母ちゃんもうご飯食べてるの!」


「できない!みーちゃんももう座ってるもん!」


こういうとき妹は完璧な空気となり決して口は挟まない。さすがである。


そこへ執事(※父)が帰宅した。執事(※父)も日中は出仕(※サラリーマン)している。


「ただいまー。ってまたみーちゃんはわがまま言ってんのかー?」


「うるさい!父ちゃんには関係ない!」


「はあ・・・小さいときは可愛かったのに・・・」


「ふん!お風呂入ってくるから梅干し出しといてよね!!」


そう言ってみーちゃんは一人お風呂に入った。

ちゃぷん。イライラしていたが温かい湯船に浸かり少し落ち着いた。

足を延ばしゆったりとお風呂に入っていると、なんだか楽しくなってきた。

頭と体を洗ってさっぱりすると、そこにはみのりお嬢様が舞い戻っていた。

みのりお嬢様は気持ちの切り替えが異常に早い。さすが団地令嬢。

パジャマを着てリビングに戻ると梅干しが用意されていた。


「みーちゃん、さっきはごめん。母ちゃん言い過ぎちゃったね。」


メイド(※母)も自分の態度に反省しているようだ。

許してやることにしよう。みのりお嬢様は大変寛大である。


「今後気を付けてくださればよくってよ。それよりも飲み物お願いできるかしら?」


「う、うん。牛乳でいい?」


「ええ、もちろんよ。グラスは私のお気に入りのやつにしてちょうだい。」


メイド(※母)はピ〇チュウのプラコップに牛乳を入れてお嬢様に出す。


一口飲む。濃厚な牛乳(※一番安い成分調整牛乳)の味が口いっぱいに広がる。

すっかり落ち着きを取り戻したみのりお嬢様であった。

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