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あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 23話 割り箸

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。






池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「はぁ……。」




ひいろはうなだれていた。




「……一応聞くけど、話を聞いた方がいいやつ?」


「……恩にきる。」




部室にはあさぎとひいろの2人、何も起こらないはずもなく……、




「で、何かあったの?」


「みどり先輩が……、




ひいろはうつむいたまま重い口を開いた。




「……お昼に割り箸渡してくるようになったんだ。」


「いや、しょうもなっ!?」


「しょうもなくは……いや、しょうもないな。」


「とりあえずひいろが冷静で安心したよ。」


「ああ、済まない。人に食器渡すときは未開封のものが1番衛生的だよな……。」


「今日、割り箸の歴史とか話すヤツ?」


「それもいいな……ハハ。」


「……恋バナでいいよ。」


「……恩にきる。」


「でもさあ、まだ間接キスなんて遠慮するような距離感なの?」


「それはない、と思う……。本人もあまり意識している様子はなかったしな。」


「ふ〜ん?」




ひいろは一呼吸おいて、俯いたまま再び思い口を開いた。




「割り箸が衛生的なのはわかってる……。わかってるんだが……、その、


「はいはい、『その』?」


「お箸をシェアしてた頃より、みどり先輩の笑顔が減った気がするんだ……。」


「じゃあ前はどんな時に笑顔になってたわけ?」


「話が早くて助かるよ……。」


「もう慣れたしなんなら最近はタイムアタックを楽しみつつあるからねえ。」


「笑っていた……って言うのもなんだが、みどり先輩……、ワタシにあ〜んした直後は、おんなじおかずを口に運ぶのが習慣になっててな。そのとき、とっても幸せそうな顔をするんだよ。」


「いやそれ絶対意識してる!?ひいろとの間接キスでご飯が進んでるヤツだって!?」


「みどり先輩はおかずを食べているんだぞ?」


「ぐあああ今日もダメなヤツかぁぁあ……!?」




あさぎは頭を抱えた。




「ダメ……か。確かに割り箸が悪いなんてことはないし、解決のしようもない話だもんな……。」


「いやそっちの方は別に。」


「そうなのか?」


「ひいろが口移ししてくれって言えばその場で割り箸叩き折るでしょ。みどり先輩なら。」


「えぇぇ……。」


「ちょっと待ってて?」


「?」




あさぎはスマホを取り出すと、通話アプリのPINEを起動した。








あさぎ、みどり(2)




あさぎ:みどり先輩今話せます?


みどり:珍しいですね

みどり大丈夫ですよ


あさぎ:みどり先輩、最近割り箸にハマってたりします?


みどり:ひいろさんから聞いたんですか?


あさぎ:そんなとこです


みどり:ハマっている訳ではないんです


あさぎ:衛生面とかを考えてですか?


みどり:衛生というか、不潔じゃないですか


あさぎ:そんな蔑むほどですか?


みどり:間接キスを指摘されてもなおあ〜んなんてしたら、間接キスをおかずにご飯食べて悦ぶ変態になってしまうじゃないですか!?


あさぎ:あ、はい


みどり:ひいろさんは純粋に私を愛してくださっているのに、私というものは……


あさぎ:みどり先輩はしたいんですか?


あさぎ:あ〜ん

みどり:したいに決まっているでしょう普段カッコいいひいろさんが無防備に可愛いお口あけて雛鳥のようにご飯をせびる姿が見たくない人なんてこの世にいるわけがないでしょう

みどり:しかもあ〜んされたあと、恥ずかしそうにほっぺ赤らめて手で口隠してもぐもぐしてると


あさぎ:みどり先輩?


みどり:すみません取り乱しました


あさぎ:賢者ですか


みどり:賢者ですね


あさぎ:間接キスじゃなくてあ〜んがメインなら、割り箸であ〜んしてあげればいいんじゃないですか?


みどり:なるほど……!?

みどり:それなら清潔感を誇示しつつひいろさんにあ〜んしてあげられて一石二鳥ですね♪


あさぎ:ひいろも悦ぶと思います


みどり:相談に乗っていただきありがとうございます

みどり:このお話はひいろさんには内緒でお願いしますね?


あさぎ:えっと、その

あさぎ:ずっと見られてます


みどり:そこを動かないでください






「「……え?」」




あさぎとひいろがスマホの画面に視線を落としていると、外からズバーンッとドアが開け放たれた。




「みどりさん……!?」


「みどり先ぱ




みどり先輩は顔を真っ赤にして無言でひいろの手を引っ張り連れ去った。




「…………おしあわせにー……。」








あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


白ちゃん:お疲れ様♪


あさぎ:え、投稿しちゃったの……?


きはだ:面白そうな気配


白ちゃん:何か悪さしてたんじゃないでしょうね


あさぎ:白ちゃん先生じゃあるまいし

ひいろ:鏡見るか?

きはだ:白ちゃんよりはしなさそう


白ちゃん:おいこら


あさぎ:みどり先輩知ってるの?


ひいろ:ささやかな復讐だ♪


きはだ:おやおや喧嘩かい?


あさぎ:わたししーらない

あさぎおやすみ


きはだ:逃げよった


白ちゃん:とりあえず見てみようかしら




きはだ:圧倒的自爆で草ァ!


ひいろ:自爆?


白ちゃん:死なば諸共……ね


きはだ:こりゃ、あさぎちゃんも裸足で逃げ出すわけだねぇ


白ちゃん:お幸せに

白ちゃん:おやすみ


ひいろ:もう寝るのか?


きはだ:せいぜい可愛がられることだなぁひいろちゃんよ

きはだ:おやすみ


ひいろ:なんなんだ一体

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