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第10話『めろすた東京ドームLIVE!』

 桜祐警部からの報告は首相官邸内閣危機管理センターにもたらされた。

 畠山正晴内閣総理大臣は、ゆーとの正体に関心を持たずにはいられない。

「そうか、ゆーとと言う青年は黒部総理大臣のご子息か」

 畠山総理大臣、当時は警察庁警備局長だったが、黒部新造内閣総理大臣に政界への誘いを受けたことを思います。

『畠山警視監、私の内閣でもう一働きをお願いします』

 そうして畠山は、衆議院議員に転身、国家公安委員長、防災担当大臣、法務大臣、財務大臣、副総理、内閣総理大臣臨時代理を経て内閣総理大臣になりおおせた。

「わしを政界にスカウトしたのは黒部さんだからな」

 畠山は一度黒部勇人とじっくり話がしたいと思う。

「首尾は?」

「一定音量で爆発する仕掛けのため、ゆーと君が会場の様子を見て曲目を変えています──あ、上回りそうです!」

 桜祐はゆーとに通信を試みる。

「ゆーとくん、ちょっと変えて」

 ゆーとが急に押し黙る。

「どしたん?」「ゆーと君?」「がんばれー」

 観客の声が耳に入る。

「今日のライブどうだったかな? みんなに俺の気持ち、届いたかな」

 観客がペンライトを振り、ゆーとに応える。

「ラスト一曲に行く前に、これだけは、伝えたくて」

 ゆーとは目を瞑る。観客も静聴しようとする。

「この世界はとても意地悪で、過酷なリアルが待ってる、だからこそ、俺は歌でみんなに夢を魅せたい!」

 めろすたりすなーの皆が一斉に声援を送る。

「俺の抱えてる秘密も、いつかちゃんと話すから、なんだろ、とても苦しいけど、俺はいつでも君のプリンスだから、ずっと一緒だよ!」

 歌い手特有の令和風の軟弱なスタイルに大河内二佐は呆れる。

「歌い手って、茶番だな」

「辛辣ですね、ところで爆弾解除は?」

 祐は報告を促すが、大河内はちょうど最後のコードを切ったところだった。

「終わった」

 大河内が爆弾を解除したのと、ゆーとがラストの曲目に入ったのはほぼ同時だった。

「ラスト、いっくよー!」


      *     *


 警察庁警備局警備企画課理事官の中村照警視正は、東京ドームに仕掛けた爆弾が爆発しないことに苛立っていた。

「ライブの演目が変わり、爆発しなかったのか」

「手動で起爆しますか?」

「遅い! 既に別班の忍が解除しているだろう。それに今の警視総監はクーデター鎮圧で名を馳せた元警察庁警備局長だ」

 中村は新たな作戦に着手するよう、テロ組織アバンギャルドに潜入中の公安警察作業班に指令を出した。


     *     *


「国会見学の方はこちらで……待て! その玩具の銃はなんだ!」

 それは、桜祐が怪しんでいたゲームセンターの景品の玩具銃だった。

「金属探知機に引っかからなかった!」

 アバンギャルド潜入中の公安警察官、山本剛志警部はすかさず発砲した。

「至急至急、議事堂敷地内にて発砲事案、被疑者は玩具銃を所持!」

 警察無線に呼びかけていた警察官を発砲で昏倒させると、山本は恐ろしい顔つきとなった。

「ゲームセンターの玩具銃を取り締まるべきだったな」

 急報は畠山正晴内閣総理大臣にももたらされた。

「総理、事態は深刻です」

「国会議事堂で銃撃戦だと!?」

 国会議事堂からは無数の煙が立ち上っていた。


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