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無職日記  作者: 松茸
80/110

9/21 パスタはゆでたほうがいいんじゃない

 起きたら娘の制服姿の男がいた。


 そんなニュースがあった。


 午前4時、男性が目を覚ましてふすまを開けると、そこに見知らぬ男が立っていた。男は干してあった男性の娘の制服を着ていた――ということだが、いや、これどんな状況? 脳の処理が追いつかないでしょ。現実とは思えない。私だったらまだ夢なんじゃないかなって思うよ。多分。


 でもこの父親は逃げようとする男を取り押さえて警察に引き渡したらしい。すごいね。素直にそう思う。大抵はフリーズすると思うよ。意味がわからなすぎて。何が起こってるのかもわからないままに逃げられてしまうと思う。


 事実は小説より奇なり、と言うが、毎日小説を書いている私でも想像できないことが世の中では起こっている。こわいこわい。



 ★



 ところで、パスタをレンジで作るみたいなのがあるよね。専用の容器に入れて、電子レンジでチンするだけみたいな。いままで興味はなかったんだけど、「ゆでるより美味い」みたいなことがパッケージに書いてある商品があって、そこまで言うなら試してみようと思って買ってみた。大した値段でもないしね、無職でも十分に買える。


 なになに、まずは熱湯を用意する?


 熱湯を用意するだと? 水から作れないのか? それでは鍋でゆでてるのと変わらないではないか。そこは水からできるようにしてくれないと、わざわざこんなものを買う意味がないではないか。私はそう思ったが、こんなところでつまづいていては始まらないのでポッドでお湯を沸かす。そして湯を線のところまで入れて、それからパスタをくっつかないように後から入れると。ふんふん。そんでもって中央に穴の開いたフタをして、レンジにぶち込んで既定の時間加熱する。


 ママーの7分のパスタ。それを600Wのレンジで7分加熱してみた。


 説明によると、フタの中央の穴――噴出口――からでんぷんを含んだゆで汁が溢れて、フタの他に空いた小さないくつもの穴からまた落ちていく。それによってゆで汁を循環させて、パスタ全体に美味しさを行き渡らせると。そしてでんぷんがパスタをコーティングしてもっちり食感になる。ソースも絡みやすくなる、ということらしい。


 なんかいいことばかり書いてあるような気がするが、果たして噴出口からは泡がボコボコと出てきた。すごい噴き出てくるけど大丈夫なのかしら。熱湯がレンジ内に飛び散っている。ゴポゴポいってて怖いし。心配になりながらも7分が経過する。レンジ内はでんぷん混じりのお湯が飛び散っている。フタも泡で白くなってるし、これ後で洗わないといけないよね? レンジの掃除もしないとだし。


 鍋でゆでるより手間なんじゃないかと思ったが、まあ大事なのは味だ。

 ゆでるより美味いと言っているのだから、それを確かめなければ。


 説明では取り出す前に残ったゆで汁をよく絡めるとある。10回くらいひっくり返せと。えらい指示が多いな。こんな作業が多いとは思わなかった。


 私はシンプルにペペロンチーノのソースを絡めて食べてみる。

 

 うむ。


 硬い。


 なんかモッサリしている。もっちりはどこいった? それともこれがもっちりなのか。


 ※食感には個人差があります。


 そういうことなのか? 私の食感ではこれはもっちりではなくモッサリなのだが。それは私が悪いのだろうか? 確かになんかコーティングされてるのか、いつもより太い感じはある。でも別に美味くはない。悪いけど。というか美味くない。なんだったら不味いまである。これは私の作り方が悪いのだろうか? 面倒な指示をすべて正確にこなしたはずなのに、どこかに瑕疵かしがあったのだろうか?


 まあ味覚にも個人差があるだろう。もしかしたらこれが美味いという人間が想像以上にたくさんいるのかもしれない。しかし私には合わない。手間も変わらないし。なんだったらこっちの方が手間だし。だったらいつも通り鍋でゆでたほうがいい。


 そう思う無職であった。



 

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