表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無職日記  作者: 松茸
73/109

9/14 二郎系の罠

 昨日の昼、新小岩のラーメン屋でつけ麺を食べようと思って入ったのだが、以前につけ麺があったと記憶している券売機のボタンがよく見ると『漢盛り』って書いてあることに押してから気が付いた。


 名前変わったのかな、とあまり気にせずに店の外の列に並ぶ。


 誰も並んでないと思ったら中で3人食券買ってて気が付かなかった。まあ3人くらいならいいかと思って私も並ぶ。外国人の店員がたどたどしい日本語で並んでいる人に何かを訊いている。「ヤサイ、ニンニク、どうしますか」みたいな。なんか二郎系みたいだなと思う。


 そういう種類のラーメンもあるのか。ふーんと思っていたら私の食券を受け取ったときも同じことを訊いてきた。あれ、と思ったが私はよくわからないので「全部普通で」と答えた。店員は「マシマシで」と勝手にマシマシにしてこようとした。「いや、普通普通」と頑張って訴えたら「OKOK」と言われた。


 そしてやってきたのが山盛りの二郎系ラーメンである。


 私はどこで何を間違えたのだろうか。


 つけ麺が食べたかったはずなのに、いわゆる二郎系ラーメンになってしまった。しかも多分マシマシである。ものすごい量だ。もやしが富士山のように聳え立ち、大量の油が頂上から雪のようになだれ落ちようとしている。ふもとにはニンニクを刻んだかたまりがうずくまっている。肉もなんか分厚いのがいっぱい乗ってるよお。そして麺は深く埋もれて救出できない。まずは野菜を除去しなければ麺を引き上げることもできないのだ。これが二郎系の気になるところなのだが、ひょっとしてこれはベジファーストというやつなのだろうか。


 私は必死にラーメンと格闘した。


 そしてなんとか食べきった。食べきってからレンゲを使っていなかったことに気づいた。レンゲはカウンターにまとめて置いてあってそこから取るシステムなのだ。だがこの二郎系ラーメン、ボリュームが凄すぎて運ばれてきた段階ではレンゲを置く場所もない。そのため私も忘れていたのだ。野菜を減らすのに夢中で。そして麺もなんとか食べ終わったが、スープを飲む気にはなれなかった。


 二郎系ラーメンのスープは塩分が多いと聞く。私ももう44のおっさんなので血圧などにも気を付けなければならない。なので健康を意識してスープは飲まなかった。これがいわゆるリスクヘッジというやつだろうか? 私も立派な大人になったものだと思う。昔ならスープまで完飲していたかもしれない。


 腹がいっぱいである。


 しばらく二郎系はいいや、と思う無職であった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ