8/28 ウサギとカメ
これはウサギとカメがかけっこ勝負を終えたあとのお話です。
「おれが寝てる間にゴールするなんてずるい!」
ウサギは泣きながら訴えました。
でもカメは知らん顔です。
「うるさい、寝てるのが悪いんだ」
「フェアじゃないぞ。そんな汚い真似をして勝ってうれしいのか」
「うれしいね。勝負は結果がすべてなんだ」
カメはウサギを起こすこともできました。
正々堂々と勝負をするのであれば、当然そうするべきだったでしょう。
でもそんなことをしたってカメには何の得もありません。
どんな手段を使おうが、勝ったほうがえらいのです。
「どうしてもというなら、もうひと勝負してやってもいい」
カメは言いました。
「ただし、今度は泳ぎの勝負だ。どうだ、受けるか」
ウサギは泳げません。
それを知っていて、カメは意地悪く提案したのでした。
「や……やってやる!」
ウサギは勝負を受けました。
勝負の当日、ウサギは替え玉を使いました。
カメの隣に並んだのはウナギでした。
「なんかこいつ、やけに雰囲気が変わったな……」
白くてモフモフしていたのが、黒くてニョロニョロしています。
何かがおかしいと思いましたが、勝負は始まりました。
ウナギはニョロニョロと水中を進み、大差でカメに勝利しました。
「どうだ、おれの勝ちだ」
ウサギは勝ち誇りました。カメは悔しがります。
「く、くそっ。次の勝負だ!」
そしてウサギとカメの争いは続きます。
彼らが仲直りすることは永遠にありませんでした。