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無職日記  作者: 松茸
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8/26 勇気と感動と期限切迫品と

 よくスポーツ選手がこんなことを言う。


「見ている人に勇気や感動を与えられるようなプレーがしたいですね」


 私はこの言葉に違和感を覚える。


 勇気や感動を与える?


 本当にそんなことを思っているのだろうか。だとしたら、それはなんというか、とても傲慢な考えのようにも思える。そもそも勇気や感動は他人から与えてもらうようなものなのだろうか。違うんじゃないか。私はそう思うのだが、そういう考えは異端なのだろうか。


 もちろん、結果として勇気をもらうとか、感動するということはあるかもしれない。でもそれはあくまで結果であって、選手が必死にプレーしている姿を見た人間がどう感じるか、ということにすぎない。選手が「ほら、これが勇気だ。これが感動だ。しっかり味わえよ凡人ども」と配っているわけではない。


 私たちは凡人ではある。一流のスポーツ選手などに比べれば才なき人間かもしれない。でも、だからといって誰かに勇気や感動を恵んでもらおうとは思わない。それが凡人の矜持きょうじ――凡人の一分いちぶんなのではないだろうか。私はそのように思う。



 ☆



 ところで、昨日ビックカメラに行ったら、スイッチ2のプロコンは品切れだったのだが代わりにいいものを見つけた。スターバックスのドリップコーヒーの期限切迫品である。9/13期限のものが30%オフで売られていた。ライトノートブレンドという名称のものはスーパーでも見かけたことはないのだが、これはお得だなと思って2箱買ってきた。しかも1箱に5つも入っている。最近は4つしか入ってないからね、この意味でもすごいお得感がある。


 ビックカメラってホントなんでも売ってるよね。千葉駅前のビックカメラは特にでかくてちょっとしたアミューズメントパークみたいだ。


 今日はこれから髪を切りに行ってくる。


 あと新しい詩を書いて「昔の詩集は黒歴史になるか」のほうに上げたのでよかったら見てほしい。完結済にしてたけど、連載中に戻してまた書いていこうと思ってる。ランキングもなぜか1位になってることだしね。


 短編集のほうも新しいものを書いた。


 簡単なやつだけど。


 ついでだからここで紹介する。



 ☆



『金のオノ』


「あなたが落としたのは、この金のオノですか? それともこの銀のオノですか?」


 湖から女神が出てきて私に問う。


「ど、どちらでもありません。私が落としたのは普通のオノです」


 この流れ、何かまずいなと思いつつも私はそう答える。


 女神はにっこりと微笑む。


「あなたは正直な人ですね。そんなあなたには、この金のオノと銀のオノを両方差し上げましょう」


「え、いや、ちょっと、いらな――」


「ではさよならです~」


 女神はブクブクと湖に沈んでいった。


 あとには私と、金のオノと銀のオノが残された。


「せっかく捨てたのに……」


 嘆く私を金の小野と銀の小野が冷ややかに見つめていた。


 ふたりはまったく同じ声色でしゃべった。


「さあて、よーっく聞かせてもらおうじゃないか。なんでおれたちを殺したのかをな」


 ピカピカのふたりが私を取り囲む。


 私は間違えたのだ。


 死体を遺棄する場所を。


 


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