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無職日記  作者: 松茸
29/111

8/1 とんがり焼き

 手首がイタタタスなんだよね。


 サポーター巻いて頑張るしかない。無職も楽じゃないよ。


 相変わらずコーヒーは毎日飲んでいるわけなんだけど、スターバックスのコーヒーを1日2杯も3杯も飲むのは無職には贅沢が過ぎるのではないかということで、多少の工夫を余儀なくされている。


 朝はスターバックスのコーヒーを飲むのだが、夕方はAGFのちょっと贅沢な珈琲店プレミアムドリップ香り澄みわたるスペシャルブレンド(商品名長すぎ)に牛乳を入れて飲んでいる。ブラックで飲むほどのコク深さはないが、牛乳を入れれば結構いける。無職の涙ぐましい節約術である。


 外が暑すぎて引きこもっているしかない。


 無職なのでそのあたりは問題ないのだが、働いている人間は大変だろうなと思う。昨今の暑さは昔の比ではない。尋常ではない日差しが照り付け、ちょっと外に出ただけでも肩のあたりが日焼けしてジンジンしてくるほどだ。こんがり焼きになってしまう。


 そう言えば村上春樹の短編集『カンガルー日和』のなかに、『とんがり焼きの盛衰』というお話がある。とんがり焼きしか食べないカラスたちが互いに争って殺し合うというよくわからない内容なのだが、これも何かしらの寓意ぐういであるのだろう。


 寓意とは、


「ある事柄を、別の事物や物語、象徴的な表現を通して暗示的に示すことです。直接的な表現を避け、間接的に深い意味や教訓を伝える技法を指します」


 とネットで調べたら書いてある。


 この寓意的な語り口というのは村上春樹の物語の特徴で、文学かぶれの人間であれば一度はこういうのに触れて「なんかよくわかんないけどカッケー」と思ったことがあるはずだ。「よくわかんないけどこういうのが文学ってやつなんだよな」と。


 私も当然そう思っていた。


 でもおっさんになってくると、こんな回りくどい書き方をする必要があるのかしらと思うようになってきた。おっさんは感受性も衰えてきてるし、大事なことは直接言ってもらったほうがいいのだ。


 今日から8月だ。


 子供たちはみな休みだろうか。


 そう言えば『カンガルー日和』には「子供はみんな保護されているんだ」という文章が出てくる。いいことだ。子供は保護したほうがいい。無職は別に保護しなくたって構わない。


 無職は無職でなんとかやるだろう。


 きっと。



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