10/19 ザ・ロイヤルファミリー
録画していたドラマの『ザ・ロイヤルファミリー』の第一話を観た。
競馬関係の話で、私はだいぶ前に文庫本で読んだ記憶がある。
ドラマでは主人公が妻夫木聡、競走馬を所有する社長が佐藤浩市というキャストだった。原作のイメージからはかけ離れているが、ドラマになるというのはそういうことだ。原作を忠実に再現したドラマなんて見たことない。あちこちでいろんな改変が行われているのは仕方のないところだろう。
内容もだいぶ変わっている気がする。社長の息子みたいなのがいきなり出てきて、親父の競走馬事業を採算が合わないから中止しろといがみ合っている。
この物語のテーマは世代交代だったはずだ。サラブレッドの血脈が連綿と続いていくように世代を超えて受け継がれていく想い――それを描く物語だったような気がしたが、どうも雲行きが怪しい。いらないヒロインまで出てくるし、原作に対しても競馬に対しても平面的な理解で単なるエンタメとして扱われているような気がする。まだ一話の時点で決めつけるのは早計かもしれないが。
事業を中止したら競走馬の行先がなくなって処分されてしまうから可哀想ではあまりに一面的なんだよね。競走馬は勝てなきゃ結局処分されてしまう運命なんだから。勝つことを宿命づけられて生まれてきた競走馬と、そんな競走馬に夢を乗せる人間の善悪を超えた業のようなものを描かなければ、競馬の理解としては浅薄になってしまう。でもドラマとしてわかりやすい形にするには仕方ないのだろうか。
それにしても主人公の妻夫木聡のキャラがひどい。税理士の仕事を辞めて社長に仕えるという設定だから最初はつまんなそうに仕事をしてるんだろうが、現実世界で客前であんな仏頂面をしている人間はそうそういないだろう。完全に社会人失格であり、態度が悪すぎる。一般的な社会常識を持ち合わせていれば、現状に思うところはあれど、客前くらいではそれを隠し、平然と振舞うのが当然だ。これではただの社会不適合者ではないか。
最後に競馬場でいきなり自分語りを始めるのも意味が分からない。現実世界にそんなやついないよ。特に理由もないのに依頼主の意向に逆らうような仕事を勝手にするし、人間性に問題がありすぎる。
でもこうなってしまうのも無理やり原作から話を変えてるからなんだよね。
原作では結構唐突に社長に仕えることになるんだけど、それはそれで納得感がある。馬主っていうのはぶっ飛んでる。常人では測れないような人間力がある。そういったものに惹かれて仕えることになる。
この「仕える」というのが原作の主人公の特徴的な性格を表していた。常軌を逸しているがゆえに、周囲との折り合いがつけられない社長を献身的に支えるキャラクターなんだよね。
でもドラマではなんか我を出そうとしてるから違和感がある。どっちも自分勝手では一緒にいる意味がない。お互いに足りない部分を補い合うからこそ一緒にいる意味が生まれるのに。制作陣はホントに原作読んでるのかなって思うよ。
こんな風に色々不満はあるが、馬は可愛い。
武豊も出演していた。さりげなさすぎて、画面になじみすぎている。引退した勝浦騎手はちょっと目立ってたけどね。どうせならルメールもいればよかったのに。川田とかが怒ってる場面とかあったらすごく面白いのに。福永先生にも是非出てきてもらいたいものだ。
今日は第二話がある。
ベリーベリーホースの名言で有名な戸崎騎手が出演するらしい。
録画して観賞しよう。