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無職日記  作者: 松茸
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7/4 無職はとてもヒマである

 無職になってから二年半が過ぎた。


 無職というのは結構ヒマだし、仮に金銭的な余裕があったとしても、これを続けていくのは精神的に負担がかかるのであまりオススメはしない。働いているほうが精神衛生上いいのは間違いない。無職でプラプラしていると何も悪いことをしていないのに罪悪感のようなものが芽生えてくるのだ。これは多分目に見えない社会の圧力のせいだろう。社会って怖いよね。最近ホントにそう思う。


 最初の二年間はぐーたらしていた。ネットフリックスで海外ドラマを観るのが主な任務だったが、それもずっと観続けられるものじゃない。積んでいたゲームなんかもやったが、それだって夜通しできるものじゃない。こういう娯楽というのは限られた時間のなかで楽しむからこそ価値があるのであって、いくらでもやっていいということになると途端につまらなくなってしまうのだ。


 時間があればいくらでもゲームができる、ドラマが観れる、本が読める、と思っていたが、実際はそれらに対する興味がどんどん失われていくだけだった。海外ドラマも『ウォーキングデッド』と『ブラックリスト』を観終わったらもう新しいものを観る気力はなくなってしまった。


 ゲームだっていくらでもやりこめるが、そんな気はまったく起こらない。やりこんだからどうだというのだ。私は大抵のRPGは一回クリアしたらそれでもう手を付けることはない。二周目などただの苦行だ。本だって長いものを読み通す気力がない。いつか読もうと思って買った『カラマーゾフの兄弟』と『神曲』はずっと本棚にある。恐らく永遠に読まれることはないだろう。


 さて、二年が経ってヒマを持て余した私は小説を書くことにした。今年の正月に唐突に決心したのだ。43歳のことだった。2月に誕生日がやってきたからもう44になってしまったが。


 結構絶望的な年齢のような気もするが、40の手習いという言葉があるように、何かを始めるのに遅すぎるということはない。私は20年くらい前に趣味で短編や詩をいくつか書いたことがある。そのときのことを思い出して小説を書き始めた。


 何を書こうか迷った。だが先々のことを考えれば、短編や詩などを書いてもしょうがないだろう。仮にそれが運よく書籍化されたとしても、本屋の片隅でひっそりと埋もれていくのは目に見えている。なので王道の長編ファンタジーを書いてみることにした。長編もファンタジーも初めての挑戦だったが、このジャンルであればコミカライズやアニメ化といったような未来がないこともない。そんな甘い見通しで私は『盾と魔女』という長編を書き始めた。


 結論から言えば、このタイトルは失敗だった。よくある長々とした説明タイトルにする気はなかったので短くしたのだが、これでは何のことかよくわからない。とりあえず魔女が出てくる小説にしようと思っていたのだが、盾というのは魔女を守る役目の騎士のことだ。だから盾と魔女というわけだが、長く書いているうちに盾の少年の存在感がすっかり薄くなってしまった。67話でタイトル回収ができた点は満足しているが、それにしたって長くかかりすぎで、全体を見返してみればわざわざタイトルにするほどではないなと思ってしまう。かといって他にいいアイデアも思いつかないのだが。


 序章を入れたのも失敗だった。短い内容なのでせめて第一話と繋げるべきだっただろう。きっと序章だけ読んで「ふーん、よくわからんな」と思って離脱した読者も多かったのではないだろうか。最初のオーレンとミリザの個別のエピソードもいらない気がする。手探り状態で書き始めたので、いま見返してみるといろいろと粗が目についてしまう。


 二か月くらいかけて第二部の終わり付近まで書いて、それから投稿を始めた。なろうではすでにハイファンタジーは廃れてカクヨムに移ってしまったことを後から知ったが、もう手遅れだった。私がなろうに登録したのはもう10年以上も前の話で、それからほぼ開いていなかったのでそんなことは知らなかったのだ。


 そのせいか、あるいは単に内容の問題か、PVはあまり伸びなかったが、多少は見てくれているひともいるようだ。この場を借りて感謝を申し上げる。ありがとうございます。現在は第四部の終盤に差し掛かるあたりで、週に一回程度しか更新はできていないが、第四部で完結させる予定なので、それまではなんとか書ききろうと思う。


 最近は小説を書くためにずっとPCに向かっているのだが、なかなか長編の続きが書けないので気晴らしに日記を書くことにした。無職でヒマなので、恐らく毎日更新できる。毎日何かをやっていれば、無職であるということの罪悪感からも逃れることができるし、とりあえず続けてみようと思う。




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