ストーカーと気持ちの悪い鍵
そして再び洞窟の前
「よーしっ今度こそちゃんと攻略するぞ」
アレクが腕をぶんぶん振り回しながら楽しそうにしている。
「なんでそんなに張り切ってるのよ。私はちょっとうんざりしてきてるんだけど」
「なーに言ってるんだよ。まだ序盤だぞ。序盤中の序盤まだ何も始まってないぐらいだぞ。これからどんどん楽しくなっていくのに」
「え?何変な予告してるのよ。序盤とか長いとかさぁ私は早々に戻って普通の学校生活に戻りたいんだから」
アレクの不穏な発言にちょっとげんなりした。
状況は前に来た時と変わらずスライムの死骸があるだけで何事もなく進んでいた
洞窟内をどんどん進み最下層までやってきた。
「あー思い出した。さっき来たときはすっかり忘れてたよ。いかんいかん取りのがす所だった」
急にさっきとは違う道にそれた。
「たしかこの辺、この辺」
そういうとアレクが洞窟の壁を叩く。
壁が崩れ壁に空洞ができた。
「あったあった。やっぱりあったよ」
そういうと空洞から何かを取り出した。
「何があったの?」
「これだよ、これ、リオーネも必要だろ」
そういいながら見せてきたそれは土で汚れた草の束だった。
「何その汚いくさ?」
「汚いってなんだよ薬草だぞ、食べればHP回復するんだぞ」
「えっ?食べるのそれ?土だらけよ」
「天然ものだからな。店で売ってるのみたいにきれいじゃないさ。でも店で売ってるやつよりHP回復効果は高いんだぜ」
「えーっ?効果薄くても私は店で売ってるきれいなやつが良いわ」
そしてさっきミノタウロスが出て大慌てした扉の前に来た。
付近にはさっきやられたミノタウロスの死骸もある。
前回の不安がよぎりながらも洞窟奥の扉を開ける。
アレクが普通に入っていく。
今度は特に問題はなさそうだ。
恐る恐るそっと中に入る。
中には手足を縛られた女性が横たわっていた。
「フィーナ、もう大丈夫だよ。すぐにザンガ村に帰れるからさ」
女性を縛っている縄を外しながらアレクが声をかけている。
「あんた誰?なんで私の名前知ってるのよ?ザンガ村の人だってなんでわかったの?」
「知っているよ、当たり前だろもう君を助けるのは51回目なんだから」
「はあ?何言ってるの助けられたのも捕まったのも初めてよ!あんたのことなんか見たこともないし知らないわよ!!もしかしてストーカー?ストーカーじゃないの?きもっ!!気持悪っ!」
女性はアレクをすごく怖い顔で睨んでいる。
まあ当然よね。
私が彼女の立場でもそうなるわよね。
見ず知らずの人から急に名前呼ばれたり、どこの人か特定されたりしたらさ。
「さあ村に帰ろう」
「近づかないで!!1人で帰れるから!!」
そう言うと女性は走り去っていった。
「困ったな・・・まあ良いか」
アレクは部屋中を物色し始めた。
「そうそうこれこれ」
奥にあった小箱から『変な形の鍵』を取り出した。
本当に変な形をしている。
「リオーネこれ持っといて、とっても大事なものだからさ。後半の最重要アイテム、絶対なくさないでね」
なんか気持ち悪い形しているし持ちたくはなかったが渡されたのでそっとしまった。
「さて、この次はザンガ村に行くべきなんだろうなぁ。本来なら女性を連れて村に行くはずなんだけど・・・まあ良いか・・・リオーネ、ザンカ村に向かおう」