腐海の魔王
ジーナリアに着いた。
広大な農園広がる緑の大地・・・って教科書には書いてあったけど・・・書いてあったけどなんか全然違う。
広がる茶色い大地枯れた草花。
そして何より匂いが臭い。
「アレク・・・なんか臭いんだけど」
振り向くとアレクは何かいかついマスクをしていた。
「なにそれ・・・?」
「マスクだよ、マスク匂いを防ぐための」
「匂いを防ぐマスク?なんであんただけしてるのよ!私の分は?」
「いや欲しいって言われなかったから、ない」
「ない じゃないわよ。そもそもこの場所が臭いって知ってたの?なんで知ってるのよ!」
「だから何度も言ってるじゃん51回目だし知っているって」
しまった・・・またこのくだりになった。
会話終了、終了。
すごく臭いので鼻をつまみながら会話する。
「ガザエル達はなんで平気なの?」
「臭いにおいなんかしないぞ?むしろいい匂いだ。竜魔王様の城もこの匂いでいっぱいにして差し上げたいぐらいだ」
魔族は感覚が違うようだ。
とても耐えられそうにないのでアレクのマスクを奪い被った。
人が被ったマスクを被るのは非常に嫌なんだけど現実問題目の前の匂いを解決するほうが先決なので我慢することにした。
「うわぁぁぁぁ!鼻が!!鼻が!!鼻が!!!」
鼻を押さえてアレクがもだえ苦しんでいるけど自分の分しかマスクを用意しないアレクが悪いので放っておいた。
「そもそもなんでこんなに臭いの?」
「あーあれだあれ」
鼻をつまんだアレクが指を指したその先にはこちらに向かって歩いてくる人がいた。
人?人にしてはふらふらしてるし不自然な歩き方人かな?違う!!ゾンビ!!ゾンビだ!!
杖を構え戦闘態勢に入る。
ゾンビはふら〜と歩きながらぐちゃっと転んだ。
そしてそのまま動かなくなった。
ゾンビから悪臭が漂う。
「何?ぐちゃっと転んだきり起きないけど何?」
「何にもねぇよこれで終わりだ」
「終わり?なんなの?」
「ただゾンビが来て倒れて腐っていくそれだけだ」
「それだけ?」
「それだけだ」
「害は無い?」
「ないといえばないしあるといえばある。なんせ臭い」
「それかぁ」
それが致命的、この辺り一帯臭いのはコイツらのせい。
「本当に困っているんじゃ」
急に後ろから話しかけられちょっとびっくりする。
振り返るとそこには白髪の小さいおじさんが立っていた。
「あなたは?」
「ワシはこの村の村長じゃ」
「この状況って?」
「腐海の魔王じゃ腐海の魔王」
「腐海の魔王?」
「おぉ腐海の王ゾルトラーク、懐かしいな」
「あーゾルちゃん?腐海の素もらえないかな?」
「おぉ良いな!」
なんか魔族2人が盛り上がっているけど腐海の素って何?
「腐海の魔王って?」
「知らんのか?魔界では有名だぞ?」
魔界の有名人なんて知るわけない。
教科書にも載ってない。
「ゾンビを生み出し大地を腐敗させ芳醇な香りを作り出す香りの魔術師ゾルトラークだぞ」
「知らない」
「なんとかわいそうな」
「人生損してるー」
知らないしこんな臭い臭い知らないで済むならその方が幸せだ。
魔族の感覚はわからない。
「リオーネ・・・頼む・・・俺はもうだめだ・・・」
アレクが匂いに耐え切れず倒れた。
いやいや倒れないでよ。
マスク奪った私が悪いみたいになるじゃない。
思いっきりぶんぶんゆすって起こしてみたけど起きなかった。
まあ死んでもなさそうだったけど・・・。




