勇者の秘密
無事、山を越え国境の町へ着いた。
小さな町でちょっとさびれている
戦争の可能性があるの本当っぽい。
ガンナップ国の兵士がうろうろしていている。
城から逃げてきた身としてはちょっと不安だ。
町の外れの小さな教会の前に来た。
「ここって・・・」
「そうだ勇者とともに竜魔王ゾールを倒した英雄、僧侶のゾランの教会だ」
知っている、教科書に書いてあった。
勇者バルデウスの1人目の仲間、竜魔王討伐後は地元に帰り平穏な生活をしていると書いてあった。
まあ教科書の人っていうだけで特に何の感情もない。
教会の中に入る。
奥に杖をついた老人がいた。
あれがゾランだろうか?
近づき声をかける。
「なんですか?あなたたちは?この辺りは危険ですよ。もうすぐ戦争が始まるかもしれない」
「あの、ゾランさんですか」
恐る恐る聞いてみる。
「そうですけど、あなたたちは?」
「あっ私たちは・・・」
途中まで自己紹介しかけたその時アレクがしゃべり始めた。
「ゾランだ!ゾラン!一緒に竜魔王倒しに行こうぜ!」
「なんですか、あなたが急に失礼ですよ」
その通りだと思う。
これ以上失礼なことを言って怒らせるのは良くないのでアレクを黙らせた。
黙らせたうえで事情を丁寧に説明した。
「そうか・・・」
ゾランさんはうつむきつぶやいた。
「まだ・・・まだ戦っていらっしゃるんですね。あのお方は・・・」
そして涙を流し始めた。
えっなに?なんで?とは思ったけどこれ以上何かを言ってまた怒られるのも嫌なのでしばらくそっとしておいた。
しばらくして落ち着くとゾランさんは語りだした。
「あのお方、バルデウスは私の憧れ・・・憧れなんてもんじゃない人生そのものですよ。初めて会ったあの日私を勇者一行に加えてくれたあの日あの日から私はずっとバルデウスにあこがれ続けている。今もバルデウスが世界の平和のために戦い続けている。なぜ止める必要があるんですか」
正論ではあるけども相手も、もう抵抗しないって言っているし虐待になっているので1回やめてあげて欲しいとは思う。
でも勇者に対する気持ちが強すぎるので何を言っても無駄かと思いこの話題はもう終わりにすることにした。
「でも勇者ってなんであんなに若々しいんですか?もう70歳近くのはずなのに・・・」
ゾランさんはしばらく腕を組み考える。
「それは・・・あれです。アレのせいです」
「アレのせいって?」
「あなたたちはバルデウスがどのようにして竜魔王を倒したか知っていますか?」
「知らん!俺はその時すでに勇者に倒されている」
「あーああーああー、何でもないです」
これ以上余計なこと言わないでー話がややこしくなるからー。
「あーあれでしょ。世界中の力をもらってってやつ」
ゾランさんがアレクを睨む。
「口の利き方はなっていませんが正解です。勇者は世界中のありとあらゆる生命体からエネルギーをわけてもらい巨大な力を手に入れ竜魔王を倒しました」
確かに教科書にもそう書いてあった。
「生命体からエネルギーをわけてもらうスキルそれは竜魔王の本拠地ドグマに行く直前、ジグンドで身につけました。この時私たちは竜魔王を倒すことで頭がいっぱいで重要な事を忘れていたのです」
ゾランさんは苦悶の表情を浮かべる。
「重要な事って・・?」
「スキルの解除方法を聞いていなかったのです!」
「じゃあ今から解除方法聞いて解除すれば・・・?」
「無理ですよ。バルデウスはそれを拒んだ。そして今も戦い続けている」
「それは・・勇者一行のメンバーが止めてあげるべきではないですか?」
「それはできません。私たちなど所詮光り輝く彼の影でしかないのです。彼が力を使いまだ戦うというのであれば私はそれを拒むことはありません。そのおかげで世界が平和なのだとすればなおのことです」




